一月二〇日、部落解放センターにて『大阪の部落史』発刊を記念する集いが約九〇名の参加の中、開かれた。
友永健三(部落解放・人権研究所所長)の司会で始まり、参加いただいた大阪府・市、大阪府市長会、部落解放同盟、大阪府同和事業促進協議会、リバティおおさか(大阪人権博物館)の関係者の紹介がなされた。
そして、上田正昭(大阪の部落史委員会委員長、京都大学名誉教授)より発刊の意義として、第一にイデオロギーにとらわれず収集された具体的史料に基づく史実を重視したこと、従って、第二に、従来の部落史と比べて部落の生活実態や文化、意識等に比重を置いたこと、第三に一九五〇年代の市町村合併に伴う部落差別と部落問題の再編や部落と在日韓国・朝鮮人の関係など従来の史料集にないテーマを取り入れたこと、第四に地名・人名の掲載、表記について関係団体とかなり綿密な打合わせをしたこと、そして第五にこの史料集が日本の人権文化の創造の大きな一翼を担っていること、が述べられた。
続いて、里上龍平(大阪の部落史委員会)より『大阪の部落史』第七巻(現代1)の内容の特徴として、地名については基本的に小字レベルまで記載したこと、府県単位の部落史編纂では初めて戦後史をカバーしたこと、生活実態では単に低位性だけでなく部落内の社会構造にもスポットをあてたこと、解放運動も多様な団体による多様な活動が草の根的に存在していたこと、戦前の大阪の同和行政の連続・非連続の両面があったこと、市村町合併に際して独立的存在であった所ほど差別や部落問題の位置の変化が大きかったこと、等々が述べられた。
最後に村越末男(部落解放・人権研究所理事長)より閉会の挨拶がなされ、集いを閉会した。