去る11月19日、「大阪における解放教育のあり方」研究会が、実際の同和教育実践の総括を通して、同和教育と人権教育の関係を考えていくことをテーマに開かれた。
最初に、松原市立布忍小学校より、布忍小の1985年以降の新たな実践(人権部落問題学習)の意義について報告された。
主な内容は、第1に、部落問題学習では
- 部落差別の学習から生き方、人間観の学習へ
- 差別を訴えることから自分を知ってもらう、仲間のことも知っていくへ、と学習のねらいを広げ、深めていく中で、部落問題を位置づけ直してきたこと
その具体的象徴的取り組みとして
- 地区の人から自分の親の聞きとりへ
- 地区内だけでなく地区外の人も聞きとりへ
- 1〜6年までの系統化(総合学習としてのカリキュラム化、紀要116号参照)、
が進められた。
第2に、集団づくり(生徒指導)では、
- しんどいことから逃げない集団づくりから本音で語り合える集団づくりへ
- ゆれるのはダメからゆれの中に子どもがみえる(葛藤があって当たり前)へ
- 個をより知るための仲間関係の分析
- 自己実現のための仲間づくり
etc.の発展があったこと。
第3に、地域連携として、より地域に開かれた学校作り(親の学校参加を通じた地区内外の親や子育て力の高まりや交流)が進められた。
これらの積み上げの中で、今日の「ぬのしょうタウンワークス」という総合学習としての人権教育に到ったことが述べられた。
続いて、大同教より、大同教大会と信貴山研を通じた「85年以降の大阪における解放教育の変化」について報告がされた。
この後、2つの報告に対して参加者から、
- 各学校での同和教育と人権教育との関係をめぐってのさまざまな課題や現状、同和教育で先進的取り組みを進めてきた布忍小学校が1985年以降の新たな方向へ踏み出したことの意味(なぜ1985年以降だったのか、それ迄の人権部落問題学習とどう違うのかetc.)
- 参加体験型学習がアクティビティだけにどうしても走りがちな傾向があること
etc.活発な質疑がなされた。
そして今後、
- 人権教育の理解のバラツキ
- 同和教育実践(人権部落問題学習)の到達点の大きなバラツキ
- 欧米社会と違った土壌をもつ日本社会etc.の現実をよくふまえて、同和教育と人権教育の関連、個別の人権教育を力強く進めていくと共に全体の中に位置づけることの重要性
を検討していくことが確認された。