調査研究

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大阪における解放教育のあり方研究会・学習会報告
1998年09月21日
これからの同和保育を考える
−保育実態調査の結果から−

(報告)堀正嗣(子ども情報研究センター)



 今回の調査は、1986年に行われた「乳幼児実態調査」から10年以上が経過した状況の中で行われた。

 調査は大阪府内の9同和地区の保育所に入所している乳幼児とその保護者及びその保育所に勤務する保育者を対象として行った。また、比較の為に、地区外の保育所との乳幼児とその保護者及び保育者についても、調査を行った。

 調査の結果は、まず社会領域に於いては、社会全般の条件の悪化もあり、社会性の大体において、同和地区の子どもの方が良好な発達をしているという結果が見られた。しかし、「言い聞かせれば、我慢して待つ」について「見られない」と言う回答が、1〜2歳で地区の方が高くなっている点などに課題が見られる。

 探索・操作領域に於いては、ごっこ遊びの経験やお絵かき、折り紙など、随所に取り組みの成果が見られるが、「菱形をかく」や「鬼ごっこのルールを変えて遊ぶ」といった項目で同和地区の子どもの割合が下回っている。(例えば6歳においてそれぞれの項目について「見られない」子どもの率は、、前者が同和地区38.7%、地区外29.4%、後者が同和地区38.7%、地区外15.7%となっている。)

 言語領域に於いては1〜2歳ではほぼ全ての項目で同和地区の方が通過率が高くなっているが、3才児以上では、較差が縮小した項目もあれば拡大した項目もあった。特に抽象的な概念に関わる言葉の育ちの面で弱さが見られる。

 保護者の関わりでは、差が見られない項目が殆どだが、寝る時刻の遅さやテレビが付けっぱなしである状況は、同和地区に顕著であった。

 調査結果には、同和保育の取り組みの成果が現れている。だがそれを踏まえつつも、調査結果を更に分析する中から、今後の同和保育の課題、子育てへの支援の課題等を検討していく必要がある。

(N.T)