調査研究

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大阪における解放教育のあり方研究会・学習会報告
1999年09月05日
2000〜2001年度の実施予定の地域教育システムの構築に関する調査研究事業の構想(案)

(報告)池田 寛(大阪大学)



1.地域教育システムを調査研究する意義

  1. 学校の再生(人権教育や学力保障も含めて)、家庭の安定化のためにも、豊かな地域の教育力の創造は不可欠である。これは今日の解放教育の前進にとっても大きなテーマである。
  2. 98年9月の中央教育審議会答申では「地域コミュニティの育成」「地域コミュニティの拠点としての学校」が、7月の青少年問題審議会(首相の諮問機関)では「地域コミュニティ」の形成が指摘されている点にも、その認識の重要性が現れている。
  3. しかし、いかなる「地域」でいかなる教育力をどのように形成していくのか、という具体的な構想は全く明らかにされていない。この点を少しでも明らかにしていくことが大きな目的である。

2.具体的内容について

 地域とは、子どもと大人の関係づくりの場である。これまでの同和教育では、教育における家庭の役割について重要性は言われながらもあまり追求されてはこなかった。さらに、学校と地域との関係がどのように作られてきたのか、或いは、壊れてきたのか。地域の重点施策、重点課題、それらを取り組むに当たってそれを妨害している問題は何か。学校と地域の間に相互不信の関係のあるところと信頼関係のあるところ、それらの差はどこにあるのか。それらについても、これまでの経緯を踏まえてみていく必要がある。

 地域教育の新機軸には従来ないもの、新たな機関・組織が必要である。その様なヘッドクォーターについて具体的に構想を進める。即ち誰が、或いはどこがヘッドクォーターの担い手になるのかといったことが明確にされなければならないし、ヘッドクォーターの組織化に対しては行政の支援も要る。また、「開かれた学校づくり」についても青少年会館と学校との関係の実態を明らかにしていく中で総合学習の時間を具体的にどう進めようとしているのかを見ていく。

 更には、支部はどんな方針を持っているのか、青少年会館の改革の経緯、解放子ども会をどう位置づけるか、周辺地区とのつながりなど、明らかにせねばならない課題は沢山ある。

 具体的には、先進的な取り組みをしている、部落を含む中学校区2カ所、部落を含まない中学校区1カ所、の3カ所ほどを選定し、学校のみならず、地域住民や企業、民間団体などの具体的な取り組みについて調査し、分析する。学校と地域とのつながりを持ちながら、21世紀型の教育のすがたを模索するものにしたい。

3.質疑

 質疑では、(1)就学前の子育ての支援体制・内容や高齢者の教育への関わりをフォローする必要性、(2)「子育て」「学力」といったテーマ性、「部落問題だけでなく障害者問題への取り組みを軸とした地域」といった調査の前提となる理論的枠組みを明確にすべきこと、(3)しんどい地域も対象にできないか、といった意見が出された。

(N.T)