調査研究

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部会・研究会活動 <地域教育システムの構築に関する調査研究事業>
 
教育コミュニティ研究会・学習会報告
2002年3月16日
見て、ふれて、学び会える地域の学校

(報告)西久保信一
(高槻市立北清水小学校)

  私の勤務している北清水小学校は高槻市の北部、摂津峡の温泉の地域に属する学校である。高槻市の北部に位置していて広い校区を持つ。児童数は425名であり、去年創立30周年の催しをしたところである。

  私は一昨年まで違う学校に勤務していて、北清水小学校がこれほど変化していることを知らずに赴任してきた。

  北清水では地域の人々を通して子どもたちに生きる力を育てようと地域に学校を開く取り組みを進めている。例えば、<1>保護者によるクラスでの本の読み聞かせ、<2>図書館ボランティア「おはなしポケット」(木曜の二十分休憩にお話の会をしてくれる)、<3>地域の方や保護者の方の指導によるクラブ活動「ふれあいタイム」(21のクラブ)、<4>地域高齢者施設との交流、<5>地域ボランティアクラブとの交流、<6>地域の方に学ぶ学習活動(伝承遊びの指導、ゲストティーチャー、聞き取り学習、家庭科での学習ボランティアなど)といった活動を積極的に取り入れている。そして沢山の地域の方が学校に来られるようになっている。

  一方で、1997〜98年の文部省小学校課程研究指定校、同じ年度の高槻市教育センター調査研究委嘱、また2001年〜02年度の高槻市教育センター研究委嘱校、同じ年度の金銭教育研究指定校等、さまざまな研究指定を積極的に受けることで学校改革を実現してきた。研究指定を受けると忙しくなるが、校内は活性化するし、予算もつく。

  そして今のスタイルが生まれた。「開く」というときに学校のハードとソフトをどれだけ両立させるかが大切だと考えている。

  特に学校のなかで子どもがほっとできる場面が作れないかと考えた。クマやシカも現れる豊かな自然環境を活かしつつ動きの見える学校を作ろうとしたのである。

  例えば、季節が変わるごとに玄関を飾る。体育館と校舎の間の駐車場にテーブルと椅子を置いて集いの場にする。ふれあい広場と名づけたこの場所は、学習、給食、ミニコンサートと、地域のみなさんの憩いの場としてさまざまに活用されている。

  廊下に「元気っこコーナー」を作って机と椅子をおいた。6年が2年に勉強を教える。例えば九九を上級生に聞いてもらったりしている。そしてここは地域の人のだべる場にもなっている。

  学級の黒い札は学校のイメージがより暗くなる。そこで教師が便所の表示をトールペイントに変えることからはじめた。はじめると、トールペイントの先生が保護者にいることがわかり、保護者全体の活動へと広がり、「スポーツ以外で集まることもできるね」という保護者の感想が出てきた。そして学校中にある表示をトールペイントのものに変えることができた。トールペイントで学校全体が明るくなった。

  学校園は皆地域の方(通称、畑の先生)にやってもらっている。玄関を入った所の熱帯魚の水槽も地域の方が管理している。トイレの保守点検の業者さんは沢山の情報をもっておられる。そういう方の学校評価が大きな意味を持っている。「ふれあいタイム」ークラブ活動では21クラブに地域の方が入っている。子どもは大人の技を見ながら自分に返す。

  学校のスタイルが変わって教師の質も変わる必要がある。挨拶一つ、電話の対応から大切にしたい。そしてそうしたことに対する外部からの評価は皆で共有していっている。

  教室掲示の作品は廊下に張り出し「キタシミズアートミュージアム」として見ていただく。職員室では、職員のいすの後ろに何年何組と書く。

  もっともっと学校応援団がほしいし、絶対大事である。学校はやりがい、生きがいをもってつながれる場にしたい。教科学習に入ってきてもらうことも必要である。

  そのためにも、学校がいつでもコミュニケーションできる場所となりその雰囲気を持つことが必要である。学校に公民館的な機能が必要だと思う。そして学校と地域を結んでいた道を広場にしていきたい。地域、保護者、学校がともに育つことが大切である。

  説明責任の話はよくでているが、日々が大切であり、説明責任を果たさねばという局面になったときはもう終わりだと思っている。地域の人が来てよかったという学校を僕たち自身が作り出したい。それには管理職がいかにリーダーシップをとるかが一つの重要な鍵である。

(N.T)