(第一報告)
2004年度の研究会活動について、意見交換をおこない、以下の基本方向を確認した。
- 昨年度に引き続き、「学校発・人権のまちづくり」の視点からの部落内外の協働による人権意識の変容について調査・研究を進め、『報告書』としてまとめる。(調査地域は、松原市立布忍小学校区、茨木市立三島小学校区、大東市立北条中学校区、田川市立金川小学校区、の4地域)
- 大阪府『すこやかネット』、大阪市『はぐくみネット』を中心に、府内外の教育コミュニティづくりの実践についての情報を積極的に収集する。
- 上記2点に関わって、オープン学習会を企画・開催する。
(第二報告)
2004年2月に実施された田川市立金川小学校区の調査について。
1990年代初頭の「福岡県同和教育実態調査」をきっかけに校区事業が推進され、学校と保護者、地域との協働の子育ての取り組みが前進し、「学校vs地域」「部落vs部落外」という対立の構図が変化してきた経緯が関心を呼んだ。
今後の調査では、これらの協働推進の要ともなった「小中合同研究推進委員会」や「PTA小中合同推進委員会」、さらには地域の「校区活性化協議会」が果たした役割とともに、協働推進の過程で校区住民の部落差別に対する認識がどのように変化しつつあるかを明らかにすることが求められている。
(第三報告)
同法はブッシュ政権の看板とも言える教育改革法であり、学力の底上げ(人種間・社会階層間・地域間の格差是正)を目的として、各学校の学力を測る標準テストの実施と結果の公開を全州に義務づけたもので、テスト結果が悪い学校に子どもを通わせる保護者には転校を認めるなどの「拒否権」を与え学校間の競争を促す等、これまでにない施策を実施し議論を呼んでいる。
同法のもと、全米レベルでは、とりわけリーディング(英語)と算数に力をいれて学力向上策が取り組まれているわけだが、人種間・階層間の学力格差の縮小というその意図とは裏腹に、マイノリティ集住地域にある学校にとってはむしろ、学力テストをクリアするための高いハードルを課せられ、テスト準備中心の学習が浸透し、美術や社会などの標準テストにない教科の時間数が削減されていくなどの事態が進んでいるという。これでは逆に、格差が拡大していく恐れのあることが報告者から指摘された。
(文責・事務局)
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