調査研究

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2005.07.11
部会・研究会活動 <地域教育システムの構築に関する調査研究事業>
 
教育コミュニティ研究会・学習会報告
2005年5月27日

茨木市立郡山小学校区の取り組みを振り返って

太田貴子(前郡山小学校校長)

 さる5月27日、茨木市立郡山小学校元校長・太田貴子さんより、郡山小学校における地域に開かれた学校づくりの取組についての報告が行われた。概略は以下の通り。

2000年に郡山小学校に校長として赴任して、地域住民5000人に、児童200人の学校の姿が見えるように取り組もうと考えた。まず、創立30周年のイベントで運動場に人文字を描くのに児童だけでは足りないので、地域住民に協力を求めたところ、約350名の人が来校し手伝っていただいた。学校と地域の協働の出発点である。学校の運動会と地域の運動会を合同で開催することも始めた。

2001年には、学校週5日制完全実施に向け、地域住民が参加する5日制会議が発足し、クラブ活動を地域に任せたり、子どもたちの行事に地域住民が参画するなど、地域と保護者が一緒になって子育てすることを学校から提案した。地域住民にはとまどいや反発があったが、2月の参観日には地域住民が19講座の講師となる「ハッピートライアル」を実施し好評を得た。

2001年4月からは、学校・地域・家庭がそれぞれの役割と責任を共通理解し、地域の活性化を目指すために、毎月第3土曜に地域住民がものづくりやスポーツなど多くの講座の講師となる「サタデートライアル」を始めた。また、子どもたちに継続してがんばる力をつけることを目標に、土曜日と平日の放課後に地域住民がクラブ活動(現在12クラブ)の指導を行う「サタデークラブ」もスタートした。さらに土曜日の夜に実施している「にこにこ親子スポーツ教室」は、父親や中学生も参加するなど輪が広がっている。

また地域行事としての餅つき大会、ふるさと祭りや合同運動会も盛況となり、地域の中国籍住民に水餃子の店を出してもらい大好評を得た。こうしたふれあいを通じて、住民間の意識も変化してきている。

サタデートライアルでは避難所生活体験の取組も行った。地震発生を想定し、全住民の安否を確認して小学校に集合して炊出しなどを行うもので、2年目には全2000世帯の安否確認を達成した。この取組は子どもだけでなく、障害者、高齢者、外国籍の人にも安心して住める地域づくりを目指したものである。このことがきっかけとなり、地域で郡山自主防災会が発足した。退職した男性を中心としたレスキューネットは、子どもたちの交通安全などでも活躍している。

このように、子どもたちのための行事づくりを通して地域は確実に元気が出てきている。しかし、地域との協働が効果を上げている一方で、子どもの学力向上に必ずしも結びついていない等の課題も存在している。

(文責:事務局)