調査研究

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2009.07.17
部会・研究会活動 <地域教育システムの構築に関する調査研究事業>
 
教育コミュニティ研究会・学習会報告
2009年3月17日

教育コミュニティづくりの拡大・発展:
学校支援活動の充実・定着に向けて

佐々中雄司(大阪府教育委員会地域教育振興課)

 大阪府では、これまでにも、学校・家庭・地域の協働を支援する施策を展開してきた。具体的には、まず、府内22市町村41中学校区で「ふれ愛教育推進事業」(1995年度-99年度)を実施した。1999(平成11)年に策定された、府教委の10年間にわたる行動計画「教育改革プログラム」でも、「学校教育の再構築」と共に、「総合的な教育力の再構築」が謳われ、その一環で実施された「総合的教育力活性化事業」(2000年度-07年度)を通じて、「ふれ愛教育推進事業」の成果を府内全域に広げることを目指した。

 「総合的教育力活性化事業」では、各中学校区ごとに「地域教育協議会(すこやかネット)」の設置を目指し、実際、2002年には、大阪市を除く334の全中学校区に設置が完了した。地域教育協議会は、1.校区内の連絡調整、2.地域教育活動の活性化、3.学校教育活動への支援・協力の3つを担うための組織である。

 地域教育協議会の活動の成果としては、1.学校・家庭・地域の協働の基盤ができ、「地域の子どもを地域で育てよう」という気運が醸成されたこと、2.学校を核としながらも、地域住民が主体となった活動が地域に定着したこと、3.子どもや大人・地域に様々な変化が生まれたことが挙げられる。一方、課題としては、中心となって活動を担う人材が固定化しており次の代を担う人材が少ないことや、イベント行事に偏っていて日常的な取り組みが少ないこと、などが挙げられる。

 こうした状況のもと、2008年度から、国の施策として、「学校支援地域本部事業」が実施されることになった。これは、東京都杉並区和田中学校の取組みや大阪府の地域教育協議会の取組みなどを参考にして施策化されたと考えられるもので2008年度は、全て国からの委託事業として実施されている。国としては、2008年度中に1800箇所(目安として各市町村に一箇所ずつ)の「地域本部」をモデル的に作ることを目標としていたが、大阪府では政令市を除く291の中学校区のうち、234校区で「地域本部」が立ち上げられた。

 大阪府内の多くの中学校区では、すこやかネットの活動が続いているので、「地域本部」を立ち上げたところでは、組織としてはすこやかネットが「地域本部」を兼ねる形とし、実施形態としては、すこやかネットの活動のうち学校支援の部分に「地域本部」の事業を活用する、というケースが多い。府教委としては、校長研修を実施するなどして、事業の主旨や仕組みについて、周知を行っているところである。

 さらに、2009年度-10年度には、大阪府独自の施策として、「大阪教育ゆめ基金」を活用した「地域が支える学校支援緊急対策事業で、生活習慣の確立に向けた取組みなどを実施する予定である。

(文責・諏訪晃一)