今日、企業の社会的責任に関する取り組みが進んでいるが、このCSRの一分野として人権の尊重が挙げられている。現在、多くの企業でこのような取り組みが既に先進的に進められており、中にはこれらの取り組みを積極的に社会に紹介する企業も見受けられる。このような動きは、企業内における人権の取り組みが社会の認知を受け、かつ社会的な評価を得ることにより、企業内での取り組みを一層促進する意味でも、極めて重要である。
また、これらの情報公開の内容が、より一層的確に企業内の人権の取り組みを反映するものとなるよう、現時点での記載のあり方を検討することもまた、有用であるように思われる。
そこで、この研究事業では、CSRに関連するコミュニケーションの一つのツールとして800社ほどの企業がCSR報告書(名称は環境報告書や持続可能性報告書など、多彩)を発行しているが、この報告書において、人権の取り組みがどのように紹介されているかをサーベイし、その先進的な事例を紹介することを通じて、人権分野における企業コミュニケーションの現状を把握し、さらに一層円滑な企業コミュニケーションを図るために踏まえるべきポイントを指摘することを目的とする。
(文責:李嘉永)