2003年に(社)部落解放・人権研究所若年未就労者問題研究プロジェクトとして実施された「大阪フリーター調査」(若年未就職者問題の実態調査)から5年が経過した。
この間、「格差」の拡大が社会問題化するにつれて「フリーター」に対する実証的な調査研究が行われており、その成果から「フリーター」は自由で気ままなライフスタイルを満喫する若者というイメージから、不安定な生活を強いられる世代を代表する存在となった。
私たちが実施した「大阪フリーター調査」は、被差別部落出身の若者27名を含む社会的に不利な立場に置かれた40名の若者たちに対するインタビューから、生育家族の複合的な困難(経済的困難・ひとり親家庭等)をスタートとして、「社会的排除」と「学校からの排除」が互いに原因と結果として連関」することによる、不平等の再生産過程を明らかにし、彼/彼女らの厳しい生活の状況を描き出した(『排除される若者たち』(解放出版社))。
とはいえ、調査対象者の年齢は当時15歳-24歳であり、「移行」過程にある若者の流動性を踏まえた場合、一時点をとらえるスナップショットだけではなく、時間的経過をたどるパネル調査が求められる。また、先の調査研究においては学校生活から職業生活への「移行」にウェイトを置いたため、若者の労働生活をとらえる視点が弱くなっている。
そこで、かつて調査対象となった40名の若者に可能な限りアポイントメントをとり、「移行」のプロセスと当事者にとっての意味を同時に把握できる生活史インタビューのメリットを活かし、この5年間の労働・生活のありようと今後の展望を把握することによって、継続的な支援のあり方について分析・提言を行う。