大阪の各地区で組織されてきた「教育・保護者組織」は、大きな役割と意義を果たしてきた。特別措置法失効後の特別対策から一般対策への移行等の過程で、大きな変化を受けているが、今日的な意義とその役割、活動のあり方を検討するため研究会が始まった。
最初に木村和美さん(大阪大学院生)より、保護者組織を軸に「解放教育運動の歩み―成果と課題―」の報告を受けた。
大阪の解放教育運動の歩みの概略の後、教科書無償化、奨学金問題等の運動の中で、「部落子ども会」が組織されだし、「教育・保護者組織」も、最初は要求別組織(その後、事業の受給者組織)として、1965年以前に1地区、1965-69年に7地区、70-75年に23地区、76年以降9地区、組織されていった。他方、1970年前後、保育所建設・保育条件の変革等の運動の中で、「保育守る会」も組織されていった。
そして1974年の「解放教育計画運動」以降、<1>教育条件から教育内容の創造、<2>子ども会、奨学生、保護者会活動の強化、<3>学校(保育所)と地域が一体となった取組、が提起され、一定の取組が進んた。しかし全体的には様々な要因により、保護者組織の停滞、学校や青館への依存傾向などが生まれた。
1991年の部落解放同盟大阪府連「解放教育改革への提言」を機に、地域の教育改革の気運が強まり、1995年からは大阪府の「ふれ愛教育推進事業」(CCP)も始まり、和泉、高槻、西郡の取組み(『部落解放研究』100号と研究所編『地域の教育改革と学力保障』)での新しい試み・問題意識も報告された。
しかし、小学校入学時の「特別就学支援費」の廃止や特別措置法失効後の一般対策への移行(青少年会館や奨学金など)等に伴い、教育保護者組織は大きな変化を受けている。今日の課題としては、<1>保護者活動の自立、<2>その元での学校との新たな関係作り、<3>多様な選択肢のある保護者活動、が提起された。
また2000年以降の大阪府の「総合的教育力活性化事業」に基づく地域教育協議会の取組も進みだし成果を生みだしているが、<1>取組の多様性・日常性の弱さ、<2>学校と地域の双方に意味のある取組みがなお弱い、<3>社会的困難層へのサポートが立ち遅れている、等の課題が示された。
一連の質疑では、保護者組織の現状やあり方、歴史的経過等について意見が出され、特に保護者組織をめぐる論点の整理を、各地区の実態把握を通して進めていくことが確認された。
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