〈第2報告〉
続いて木村和美さんからも報告が以下のような概要でされた。教育保護者組織の性格として1.受給者組織、2.子育て・親育て、3.運動体という3つが挙げられるが、今日における教育保護者組織活動の停滞を招いた要因として、1.は特措法失効によって弱まり、2.はサークル活動化し参加層の偏りが見られ、3.はこれまで活動の中心であった安定層の運動離れや若い層の部落問題意識の希薄化があることが報告された。そしてこれら3つの性格の中でも受給者組織としての性格が全面にでていたため、法失効の影響を強く受け、停滞を招いた可能性が高いことが指摘された。
しかし受給者組織としての様相が強かったとしても、教育保護者組織の活動の場において保護者同士のつながりや世代を超えた交流がなされ、地域における子育て・親育ての基盤となっていたことは高く評価できる。家庭教育支援が教育課題として挙げられる今日、教育保護者組織は「子育て・親育ての場」として重要な役割を果たすことが期待される。
しかしながら、この間の訪問調査において、教育保護者組織への学校や青館からの支援が十分ではないという現状が明らかになった。この点を改善していくためには、今後、活動に参加している保護者たちが教育保護者組織を「部落問題を基盤とした子育て(親育ち)支援組織」として強調していくことはもちろんのこと、学校、青館側が教育保護者組織を旧来の「教育守る会」ではなく、新たな枠組みで認識することの必要性が提言された。
また、かつて青館指導員が行なっていた地道な家庭訪問や、電話、声かけなどの日常の継続的なふれあいが地区内における信頼関係をつくり、その信頼関係によって様々な活動への人々の参加・協力が得られていたと考えられるため、今日的な条件の下でも工夫して実施することの重要性が指摘された。
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