近年、日本においてもフリーターの急増に伴い、若者未就労者問題に対する関心が高まり、具体的な政策が求められているが、いち早く産業構造の転換が起こった欧米諸国では、すでに若年未就労者問題に対する様々な施策が試みられている。
イギリスでは、1998年より試行されてきた「ニューディール政策」をもとに、今年4月からコネクシオンズ(ConneXions)・サービスと呼ばれる新政策が本格的に開始された。その背景としては、義務教育のカリキュラムと義務教育後の職業への移行におけるギャップ、不十分なキャリア教育や、社会的排除の状態に陥りやすいグループに行き届かず、短期的なプロジェクトに終わることの多い政策、現場の負担が大きいなどの制度上の問題など、これまでの若者支援の政策が総じて失敗に終わったことがあげられる。
これらの失敗を踏まえて、コネクシオンズは、産業界の支援を受けるために経済競争力強化のための教育・訓練を行うこと、Youth省、Youth大臣の設置などに見られる縦割りではない一体性のある政策を推進すること、若者との共存のための若者の社会的統合(Social Inclusion)への支援を行うこと、若者が参加と関与を行うことによって質の高いサービスを提供するとともに若者自身のエンパワメントを計る、若者政策(Youth Policy)の進展させることを政策理念として掲げている。
具体的には、13歳〜19歳の若者を対象として、社会・コミュニティそして若者自身の将来へのConnectのために、若者の参加・関与を促し、個人的発達支援を行うことを目的としている。その核となるのがパーソナル・アドバイザー(PA)である。PAを各地域に配置し、若者一人一人のために継続的な1対1のサポートを行っている。
コネクシオンズ・サービスはこの4月から開始された政策であり、PAの育成・確保など、様々な課題も抱えている。今後の評価が待たれるところである。
<参照>
・日本労働研究機構『諸外国の若者就学支援政策の展開〜イギリスとスウェーデンを中心に』
・研究所ホームページ「若年未就労者問題」