調査研究

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2004.08.09
部会・研究会活動 <若年未就労者問題(小中高のキャリア教育/労働市場問題)>
 
若年未就労者問題 報告書

『社会的に不利な立場に置かれたフリーター
その実情と包括的支援を求めて』
本報告書の概要

第3章 「フリーターの『語り』からみた学校教育の課題」

 第3章「フリーターの『語り』からみた学校教育の課題」では、フリーターの語りから見えてくる学校教育の課題について分析が行われている。

フリーターの「語り」から見えてくる学校教育の課題として、大きく3点が指摘できる。

第1は、小中学校段階からいくつかの課題が顕在していることである。

象徴的な実態として、調査協力者の半数20名が、勉強がわからず授業が面白くないと話していることや、中学校で不登校9名、保健室登校3名がいたことである。これらに対し、1つは、低学力の子どもをしっかりと視野に入れた学力保障の取り組みが必要である。2つめは、友人との仲間づくりを重視することである。3つめは、「上からものを言う」という子どもの言葉に象徴されるような否定的関係を克服し、教員との信頼関係を確立していくことである。4つめは、中卒就職者の深刻な実態である。特に部落の場合、20〜24歳で最終学歴が中卒の割合が約18%もあり、深刻である。この関係で、中卒就職者全員へのフォローアップはぜひ必要である。5つめは、教員の働きかけや友人などの人間関係が十分あれば、家庭状況などが厳しくても、高校進学の可能性は全ての子どもに十分あることである。豊かな人間関係と高い自尊感情は、進学だけでなくそれ以降の生き方にも大きく影響するのである。

 第2は、高校の進路指導が「出口時点」中心から、1年生から卒業後も含めた総合的な取組みに転換を迫られていることである。

 1つは、3年以内に約5割が辞めてしまうという新規学卒就職者の一定期間のフォローアップと都道府県段階の集約の必要性である。2つめは、在学中のキャリア教育の拡充である。具体的には、中退者を出さない学校づくり、身近な人による多様な職業モデルの提示・「役立ち感」の体験、ジェンダーの視点の重視、アルバイト体験を有効な素材として活用する必要、現実の企業の厳しさと労働者の権利を知ること、などが指摘できる。

 第3は、中卒者や高校中退者、学校斡旋に乗らなかった人などが、「やり直し」ができる社会的仕組みづくりである。1つは、現在進められている大阪府地域就労支援事業によるコーティネータの相談活動の抜本的拡充と多様な雇用先の確保である。この点では、イギリスの「コネクションズ」のパーソナル・アドバイザーの取組みが、重なる点も多く興味深い。2つめは、中学校や高校がやり直しを模索する若者を地域就労支援事業などへ繋げていく接点の機能を期待されていることである。3つめは、普通科高校ならびに生涯学習におけるキャリア教育の明確な位置付けと取組みの確立である。4つめは、奨学金の給付化や就労年数の短い若年者を排除している雇用保険制度の抜本的改革により、キャリア・アップを希望するフリーターの若者への経済的支援を進めることである。

問合せ 研究所 研究部(06-6568-0064)