調査研究

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2004.08.09
部会・研究会活動 <若年未就労者問題(小中高のキャリア教育/労働市場問題)>
 
若年未就労者問題 報告書

『社会的に不利な立場に置かれたフリーター
その実情と包括的支援を求めて』
本報告書の概要

第7章 「失業・フリーター状況にみるジェンダー」

 第7章「失業・フリーター状況にみるジェンダー」では、失業・フリーター状況にある彼女・彼らのライフコース展望について、ジェンダーの視点から分析が行われている。

 今回の調査対象者について、多くの女性は就業への動機づけが剥奪されている状態である。こうした状況に至る要因としては、低学歴による非キャリア志向・周囲の早婚傾向・正社員達成女性モデルの貧困があげられよう。女性は結婚という道筋がひらかれる(見えてしまう)ことによって、いわば「トレードオフ」の関係にある就業しなくてもよいという道を「主体的に」選択していくと言える。そして、経済力を身につけているフリーターではない男性を結婚相手の条件としてあげるのである。逆に、男性も結婚する場合には就業していなければならないという意識を持っている。そして、フリーター状況では結婚することができないという判断を下している。失業・フリーター状況にある男性も正規職員ではないことを「一人前」ではないとみなしているのである。すなわち、男性・女性ともに結婚するからには男性が働いていないといけないという価値観が共有されている。ライフコースにおける結婚への展望はジェンダーの再生産装置として強力に機能しているのである。

 彼女・彼らの就業意識にとって、ジェンダーは非常に大きな影響を与える可能性が示唆される。

問合せ 研究所 研究部(06-6568-0064)