調査研究

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部会・研究会活動 <若年未就労者問題(小中高のキャリア教育/労働市場問題)>
 
若年未就労者問題
(小中高のキャリア教育/労働市場問題)
<若年未就労者問題(小中高のキャリア教育/労働市場問題)とは>
 現在、これまでのように新規学校卒業者が正規職員として就職していくという日本独特の「学校から職業への移行システム」が危うくなってきている。

 例えば、2001年4月の段階で高卒者の約10%が「無業者」であり、2002年の平均失業率は「15〜24歳」の男性で約15%にも達している。またいわゆる「フリーター」(日本労働研究機構:15〜34歳層で在学しておらず、女性は未婚者で、パート・アルバイト雇用者および無業で通学も家事もしておらずパート・アルバイトの仕事を希望する者)率が1997年で男性の15〜19歳で約24%にも達している。さらに女性であり、低学歴であればその実態はさらに厳しい傾向がある。また、高校生の学卒者で正規職員のうち、3年以内での離職率は約50%にも達している(ただし好景気の時でも40%は離職)。


 これらの背景には、不況も大きく手伝ってはいるが、高校生に対する求人の大幅な減少と事務職・販売業からサービス業といった求人内容の変化、会社中心主義的な働き方から個人中心主義的な働き方といった労働観の変化など、社会的条件の変化が根本的には存在している。さらに、こうした中での若年者の職業観・労働観の変化もある。


 この中で、部落の若年者の就労状況はさらにきびしい実態におかれていることが予想される。すなわち、大学進学率は平均の約2分の1で高校卒業後の就職希望者が多いこと、若年者も含めて部落の学歴構造は低学歴傾向であること、高校中退者も平均の2倍ほどであること、などの実態があるからである。大阪府2000年部落調査でも、部落の男性の15〜19歳の失業率が約31%(大阪府平均約16%)にも達しており、就労状況の厳しさの一端を示している。


 そして部落をはじめとした社会的にきびしい状況におかれている人々ほど若年未就職者が多い一方、彼/彼女らにとって、既存のキャリア形成や就職支援のための制度・機会は少なく遠い存在となっている。


 そこで本年度、大阪の若年未就職者20〜30名(部落出身者/非部落出身者、男/女で可能な限り同人数)を対象にインタビュー調査を実施し、その中で、(1)フリーターに至ったさまざまな背景、(2)小中高校やそれ以外の場でのキャリア教育の重要性、(3)アウトリーチ的な就職支援の必要性、などを少しでも明らかにできればと考えている。しかし、こうした重要な課題にもかかわらず、この分野はまだまだ調査研究の蓄積が弱く、私たちの力量も限られている。関係者の方々の率直なご助言をお願いする次第である。