調査研究

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07.05.18
部会・研究会活動 < 児童養護施設経験者に関する調査研究事業>
 
児童養護施設経験者に関する調査研究事業
< 児童養護施設経験者に関する調査研究事業会とは>
若者の労働の著しい不安定化と不安定な階層への強い影響

 現在、若者をとりまく状況は極めて厳しくなっている。高い若年失業率や、フリーター・ニートの増加などがその典型である。

 このような状況が生じた背景には、長期にわたる不況以外に、製造業からサービス業への産業構造の転換や、非正社員化の進行、高校生に対する求人の大幅な減少など、若者をとりまく社会的条件の構造的変化が存在している。加えて、階層的不平等の拡大、学力格差の拡大も大きな要因である。家庭背景が厳しい人、学力・学歴的に厳しい状況におかれている人など、相対的に低い社会階層的背景にある若者が、失業率が高く、フリーターやニートになりやすいことが明らかになっている。また、同和地区の若者など、マイノリティの若者は生活を営んでいく上での困難に加えて、差別の問題に直面することもある。

総合的視点からの児童養護施設経験者へのアプローチの弱さ

 このような現状認識のもと、家族という資源を活用することができない/難しい児童養護施設の子どもたちの学力問題・職業達成・社会生活の営みなどは、大きな課題であり続けている。また、就職差別や地域社会における差別など、児童養護施設あるいはその子どもたちが差別の対象となっていることも否めない。社会的に厳しい状況におかれている人々ほど若年未就職者が多いことを考えれば、彼/彼女らに対する学力保障・進路保障など、人権の視点からのキャリア形成や就職支援のための制度・機会を充実させていく必要がある。

 しかし、これまで経験者の現状と課題を、教育・福祉・労働・生活といった総合的視点から探っていくというアプローチは弱く、教育機関(行政)や福祉施設(行政)、労働行政等の連携も弱い。そして、そのような経験者に対する調査研究も極めて少ない。

「経験者に関する人権保障ならびに市民啓発の課題」の整理

 そこで、児童養護施設経験者へのインタビュー調査(質的調査)ならびに経験者が在学している学校関係者からの実践報告等により、<1>経験者の学校から職業への移行問題、<2>学校教育のあり方、<3>経験者への「偏見」、の3点にわたる現状と課題を分析し、「経験者に関する人権保障ならびに市民啓発の課題とあり方」をまとめていきたい。

(文責:中村清二)