「ユネスコ反人種主義教育国際会議」(6月4、5日、於:大阪)は、2001年に南アフリカで開催されたダーバン会議(国連反人種主義・差別撤廃世界会議)におけるユネスコへの勧告を受けて開催されたものである。本会議で報告された「反人種主義・反差別に関する戦略案」では、次のような3つの「目標」と6つの「優先課題」が提起された。
<目標>
- 人種主義と闘うための啓発、研究、教育、コミュニケーションなどの能力を高めてユネスコの行動を再構築していく。
- 国連システムにおける他の機関との連携を強める。
- 市民社会との連携を強化する。
<優先事項>
- 人種主義や外国人排斥に関する科学的調査を深めていく。
- 1960年の教育差別禁止条約の再活性化および人種差別撤廃条約の実施を監視するとともに、外国人排斥に対する新たな国際文書の整備に向けた研究に取り組む。
- とりわけ、人種主義に関する教科書の作成や歴史教科書の改訂のための基準やガイドラインを設定するなど教育的アプローチを図る。
- 政策立案者、アーティスト、若者、スポーツ選手、ジャーナリスト、科学者、教員、宗教者などを巻き込んでいく。
- 多民族、多文化社会における多様性を尊重する民主的市民社会を構築していく。
- インターネットに関わる倫理憲章を策定するなど、サイバースペースでの差別扇動と闘うこと。
また、アジア・太平洋地域に対して「勧告された活動」として、子どもや女性の人身売買の問題や新たに台頭する反イスラム主義の問題に取り組むことが勧告された。その一方で、カーストによるダリッド差別がこの地域の重要な人種主義の問題であるにもかかわらず、取り上げられていない点について、報告者より指摘がなされた。
続いて「一般的な活動」として提起された中から、いくつかの項目の紹介があったが、紙数の関係上ここでは省略する。
以上、「戦略案」の概略の報告の後、報告者より次のようなコメントがなされた。