1.アンケート分析結果について
(1)「人権教育のための国連10年」に関する行動計画の(中間)総括について
上記行動計画は、2003年3月までに大阪府及び府内43市町村の全てにおいて策定されたが、大阪府を含む36自治体が、現在(2005年8月)までに計画期間の終了を迎えている。この中で、計画の総括をした自治体は17自治体あり、その内、14自治体では総括文書が作成された。
また、現在計画期間中もしくは計画期間を定めていない8自治体の中でも、2自治体が中間総括を行った。
(2)後継計画の策定について
上記行動計画の後継計画については、9自治体で既に策定されている。
その策定の根拠として、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」と条例を挙げているのが5自治体、法律のみが3自治体、条例のみが1自治体である。
また、計画の庁内推進体制は9自治体全てにおいて整備され、庁外の団体・個人の参画を得た推進体制は5自治体において整備されている。
(3)「人権教育のための世界プログラム」の取組状況について
上記プログラムの普及・宣伝については、既に9自治体が実施している。庁内、住民、教職員・保護者に対し実施が1自治体、庁内及び教職員・保護者に対し実施が1自治体、庁内のみに実施が3自治体、教職員・保護者のみに実施が4自治体である。
なお、その他の自治体については、大半が今後実施する予定としている。
(4)小中(高等)学校における人権・同和教育について
人権教育基本方針の策定については、大阪府を含む41自治体が策定し、その内18自治体が人権教育基本計画を策定している。
また、同和教育基本方針については、大阪府を含む36自治体が策定し、その内6自治体が同和教育基本計画を策定している。
(5)部落差別をはじめあらゆる差別撤廃に関する条例・人権尊重の社会づくり条例について
上記条例については、大阪府を含む41自治体が制定しており、その内40自治体が審議会を設置している。また、その中で審議会から答申を受けたのが17自治体あり、現在諮問中なのが2自治体である。
なお、条例に基づく基本方針については、大阪府を含む18自治体が策定しており、また条例に基づく基本計画は15自治体が策定している。
2.アンケート結果を踏まえたコメント
「人権教育のための国連10年」にちなんだ計画が終了した自治体は、総括を行いその結果を公表するとともに今後の取り組みに役立てる必要がある(終了期限が来ていないか期限を定めていない自治体についてはこの機会に「中間総括」をし、今後の取り組みに反映させる必要がある)。
「国連10年」にちなんだ計画が終了した自治体は、人権教育・啓発に関する包括的な後継計画を策定することが必要である。その際、「国連10年」の総括、「人権教育・啓発推進法」、人権条例等を踏まえること。なお、人権条例に基づく人権全般の計画の教育・啓発部分を「国連10年」の後継計画と位置づけている自治体がある。この場合、教育・啓発部分は抽象的なものにとどまらざるを得ないと言う弱点を持っている。このため、条例を踏まえた計画の教育・啓発部分のみでなく、人権教育・啓発に関する包括的な独自の後継計画を策定することが望まれる。(例:大阪府人権教育推進計画)
「人権教育のための世界プログラム」については、自治体として市民や教職員を対象に普及・宣伝につとめるとともに、上記「後継計画」に反映させることが求められる。
「世界プログラム」の第1段階(2005〜07年)として初等・中等学校制度における人権教育の推進に重点を置くとする「行動計画」が2005年7月14日に採択されたことに鑑み、すべての自治体で人権教育基本方針および基本計画を策定する必要がある。また、その重要な柱として同和教育基本方針および基本計画等の策定が必要である(すでに存在している自治体については、この機会に改定を検討すること)。さらに、「世界プログラム」やこれらの基本方針・基本計画を受けて、すべての小・中・高等学校で人権教育や同和教育等を推進していくための計画が策定される必要がある。
大阪では、部落差別をはじめあらゆる差別撤廃条例や人権尊重の社会づくり条例が寝屋川市、堺市、岸和田市を除くすべての自治体で制定されている。早急にすべての自治体でこれらの条例が制定される必要がある。また、条例が制定された自治体においては、審議会を設置し答申を得、条例を具体化するための基本方針、基本計画が策定される必要がある。