調査研究

各種部会・研究会の活動内容や部落問題・人権問題に関する最新の調査データ、研究論文などを紹介します。

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2008.03.31
<部落解放・人権教育啓発プロジェクト>
 
部落解放・人権教育啓発プロジェクト
2007年11月27日

(第1報告)

大阪市人権教育研究協議会の現状と課題

報告:大阪市人権教育研究協議会

 1958年に「大阪市同和教育研究協議会」として発足して以来50年になろうとしている。同和施策の特別措置法の期限が切れ、大阪市からの補助金も終了した。「差別の現実から学ぶ」の同和教育の原点から、今日的な人権課題をテーマに「人権教育のキーステーションをめざして」を組織の再編と研究活動の内容の充実を進めているところである。今年度から大阪市内の幼小中学校園に研究活動の協力金を募り、自主的研究団体として本格的活動を始めているところである。

 1972年に人権教育読本「にんげん」が大阪府の小中学校に配布され、その具体的活用を広めていくために大阪市内の行政区単位で「にんげん」実践交流会が始まり、現在では24全区で開催されるようになっている。各学校園が教職員研修に位置づけるようになって、参加者の数は年々増加し、その成果を上げてきた。その集大成として毎年6月に開催している人権・同和教育研究大会も2007年度で33回を迎え、人権教育を推進してきた「旧同推校」だけではなく全市校園での人権教育の実践が報告されている。

 大阪市内でも教職員の世代交代が著しい。子どもの生きる力を育む教育を受け継いでいくために、新しい世代を対象にした研究、研修の具体的な取り組みを進めていくことが今後の最も大きなテーマであると考えている。

(第2報告)

大阪府立学校人権教育研究会(府立人研)の現状と課題

報告:山下克弘さん
(大阪府立学校人権教育研究会 共同研究スタッフ、府立四條畷北高校教諭)

 大阪府立学校人権教育研究会は、全ての府立学校の管理職と登録された教職員で構成されている。その登録部員もここ2年連続で400名を超え、参加人数も増えてる。 活動の三本柱として、研究部会(教材/ケーススタディ/進路保障/人権総合ファシリテーター)、地域交流部会(豊能/三島/大阪市内北/北河内/中河内/南河内/大阪市内南/泉北/泉南)、教材・資料開発プロジェクト(定通教育/多文化教育/性差別撤廃教育/障害者教育/部落問題学習/進路調査・奨学金/自主活動育成/情報と人権/若手工房)があり、活発な研究討議を実施している。

 特にここ数年、人権課題は広がりを見せており、従来から取り組まれている部落問題を始めとする人権課題に加え、ケータイを舞台とした人権侵害事象への取り組み、特別支援教育、セクシュアルマイノリティの問題、コミュニケーションスキル育成、キャリア教育、奨学金などの経済的支援の問題等々、現場のニーズは多様化している。

 また府立学校の教員構成も課題で、現在、現場では40代後半以上のベテランと20代の若手という二極化の様相を呈しており、今まで培われてきた人権教育の実践をどう繋いでいくかも大きな課題となっている。本研究会では、前述の若手工房チ-ムを中心にこの課題に取り組んでいる。ただこの問題は、現場で実践する層の少なさにも密接に関係しており、実践報告の減少もここ数年の課題となっている。

(文責:事務局)