調査研究

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2005.02.24
部会・研究会活動 <国際身分研究会研究会>
 
人権条例等の収集と比較研究および提言プロジェクト報告書
人権条例・人権行政の調査にむけて

友永 健三(部落解放・人権研究所)

 どういうかたちで何を集めていくか、ということを、今回は第1回めとして議論してもらって、いろいろ意見を出していただきたいと思います。次回に、まとまったものを出したいと思っています。

 何もなかったら議論できませんので、私の方で出してみたわけです。

 まず調査の内容としましては、条例にかかわって、条例そのもの、審議会、総合計画、条例の普及宣伝です。

 部落差別撤廃あるいは人権条例という組み立て方をみてみると、条例の中で審議会を設置するというのが多いんですね。総合計画を作るという場合が多いので、そういう仕組みになっています。

 それから、2番めとしましては、1-1となっていますが2-1の間違いですね、行政機構。これは首長部局と教育委員会と分けて考える必要があると思います。推進本部、担当部局が、どうかっているか。

 3番めには、同じく教育委員会がどういうふうになっているか、を調査します。

 4番めに人権行政にかかわっては、総合計画への位置づけがどうなっているか、ということと基本方針。総合計画というのは、地方自治法に基づいて義務づけられている総合計画です。この中に人権行政というものの規定が入っているのか知りたいんです。基本方針、基本計画、実施計画、評価システム。この評価システムは、先ほど質問したものです。これから大事になってくると思います。

 5番めに、人権教育にかかわっても、総合計画への位置づけがあるのかどうか、基本方針、基本計画、実施計画、評価システム。

 ちょっと悩ましいのは、現時点においては、人権教育においては「国連人権教育の10年」があるんです。できているところが、けっこうありますので、推進本部、行動計画、後期行動計画、実施計画について、6番めに聞く必要があるんじゃないかなと思います。

 7番めに、こういうことにかかわって、どの程度、実態調査をしているのか、ということで、これまで実施したもの、直近に実施したもの、今後計画しているもの。できれば、この直近に実施したものは、現物を集めたいなと思っています。

 8番めに、女性センターと同じように人権センターというのも、今、かなりできてきています。これについても調査することはあると思いますが、どこまで何を調査するかということは、今のところ悩んでいるところです。これだけでも、かなり大きな項目になりますので、ちょっと空白にしています。

 調査の対象についてです。先ほどの大西さんの報告を聞きますと、拠点設定方式ということになっています。『部落解放・人権年鑑』ということで、もうちょっとおおざぱな調査を、ずっとやってきています。『部落解放・人権年鑑』の場合は、都道府県と政令指定都市です。それから思い切って、すべての自治体という方法もあります。この辺は、議論がいるのではないかと思っています。

 調査方法としては、アンケート方式で割り切ってやるのか、または大西さんがやられたような訪問方式ということでやるのか、あるいは両方組み合わせるのか、ということになると思います。

 実施主体としては、このプロジェクトチームでやる方法が1つあります。また、全国日本同和対策協議会という地方自治体の組織があるんです。これは、同和対策事業に取り組んでいるおもな府県と政令都市などが入っている自治体の組織です。おそらく同じような必要性を感じていると思うので、ここに話をもっていって協力してもいいということになったら、協力してもらうというということもありうると思います。これは、まだ話をしていませんし、手続きとかいろんなことがあるので、クエスチョンマークです。

 調査の時期としては、年内に調査をして、年度末に中間まとめ、2002年の秋頃には最終報告をしたいと思っています。秋というのは、部落解放全国研究集会があり、1万人ぐらい集まりますので、そこで知ってもらうと、波及効果が大きいと考えるからです。

 1つの具体的な事例として『部落解放・人権年鑑』というのを作っています。それに必要なアンケートを、現在、やっています。それは純然たるアンケート方式で、どんなことを聞いているかということは、裏側にあります。条例と宣言について、同和行政にかかわって審議会や庁内検討会議等があるか、人権行政にかかわって審議会や庁内検討会議等があるか、人権条例に基づく総合計画があるか、同和行政基本方針・基本計画があるか、人権啓発の基本方針・同和教育基本方針・人権教育基本方針があるか、2000年度の人権啓発推進部局について、人権行政推進部局、同和・人権行政推進部局について2000年度から2002年度まで年をおってたずねています。なぜ、このように細かくしているのかというと、今、同和対策部が人権・同和対策部などに変化しつつあるからなんです。3年間ぶんは、きこうということで、このようになっています。

 それから「人権教育の国連10年」推進本部と行動計画・懇話会について、きいています。その次は、啓発にかかわって、きいています。これは、われわれのプロジェクトの内容を超えると思いますが、参考までに入れておきます。

 あと、テレビ番組とかラジオ番組を提供しているところがあります。それも参考として入れています。

 それから、北海道から都道府県名が出ているものがあります。これは、アンケートを送っているところです。右端の○がついているところは、回答を返却してくれているところです。北海道から沖縄まで、同和対策事業をやっていないところでも出しています。沖縄県の後、札幌市からはじまって尼崎市までは、政令指定都市と、尼崎市は政令指定都市ではありませんが全国日本同和対策協議会に入っていますので送っています。

 具体的に、どういうかたちで回答がきているか、ということです。資料に、川崎市の回答を、例として入れています。これ、江橋先生なら判断してくれると思っていますが、川崎市は宗形さんって方が回答してくれています。条例はない、同和行政にかかわって審議会はないが庁内検討会議はある、ということですね。人権行政にかかわっては「かわさき人権啓発推進協議会」があるんですね。

次のページにいって、ここに書いてありますように、同和行政基本計画については1981年のものがある、人権行政基本方針は2000年12月のものがある、同和教育基本方針については1982年のものがある、と回答してくれています。人権啓発推進の担当部局は、川崎市の場合は、健康福祉局地域福祉部同和対策事業担当市民局人権・男女共同参画室にあります。同和行政推進部局は、ここに書いてある通り。同和教育もここに書いてある通り。川崎市の場合、人権行政推進部局は、市民局人権・男女共同参画室になっています。人権教育推進担当は、教育委員会総務部人権・共生教育担当となっています。「人権教育国連10年」についての推進本部は、ない、ということです。

 ざっとこういうかたちのものを考えています。男女共同参画にかかわった地方自治体の調査なんかの経験も踏まえて、ちょっと議論をしていただき、肉付けをしていただきたいと思っています。

2001.08.20に報告されたものです