調査研究

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2005.02.24
部会・研究会活動 <国際身分研究会研究会>
 
人権条例等の収集と比較研究および提言プロジェクト報告書
「倉吉市部落差別撤廃とあらゆる差別をなくする条例」の
制定以降の取組みと課題

前田 寿光(倉吉市さわやか人権文化センター)

 どうも、ご苦労さまです。きょう、自分の方から報告にくる立場ではなかったと思いますが。友永所長からのご連絡でしたので、こさせていただきました。十二分な報告になるかどうか、実は不安なんですけれども。みなさんの議論の中で、深めていただければ、と思います。

 実は、昨年の全国研究集会の米子市でおこなわれたときにも報告させていただいたわけです(部落解放研究第34回全国集会 第6分科会にて「『交流と共生による』人権尊重のまちづくり」を報告)。

 今回の場合は、条例制定後の取り組みということでありまして、倉吉市として、どういうふうに取り組んでいくかということも含めて、自分なりに感じていることも含めて、報告させていただけたたらと思います。

 倉吉市は、鳥取県中部にあります、県内3番目の大きい街です。人口は約5万人を切って、4万9842人、所帯数は1万8549所帯、外国人が302人の251所帯。ま、5万足らずのちっちゃな市であります。

 まず「倉吉市さわやか人権文化センターの概要」を入れています。倉吉市の場合は、平成8(1996)年に、あらゆる差別をなくす総合計画を策定しました。翌年の平成9(1997)年から、旧隣保館を人権文化センターに改称いたしまして、人権文化という位置づけの中で隣保館運営をやっていくべきだということで、今、進めているところであります。

 倉吉市内には、5つの隣保館があって、すべて人権文化を基調にしているわけですけれども、旧来の隣保事業に加えて周辺地域をも含んだ交流啓発という運営にすべきだ、という位置づけられてきております。

 そういうふうなかたちで、事務分掌の中には、<1>人権啓発、調査研究等、<2>人権相談、<3>人権に関する市民の自主的活動の推進および学習機会の提供等も加えながら、進めているところであります。

「倉吉市さわやか人権文化センター運営協議会」

 以前の隣保館では、解放同盟とか地域住民の方たちを中心にして、運営協議会としてきたんです。(今回の運営委員会は)条例制定、総合計画策定も含めて、それの団体の方も、加わっていただいて、センター運営について意見交換をしていただくような内容にしてきたところです。だから(構成メンバーは)関係機関・団体10名、学識経験者8名(市職員2名)というかたちで、条例制定・総合計画策定をした団体の代表者も加わっていただいているという位置づけをしているところでございます。

 発足の経過は、このようなことであります。

 さきほども申しましたように、倉吉市さわやか人権文化センターは、市機構改革の中で次長級が所長になり、そこが1つの課になり(ました。)あとの4つの人権文化センターが支所という位置づけになっております。「やまびこ」「さわやか」「あたごふれあい」「はばたき」と施設名を入れていますが、これまで部落名が施設名になっていましたので、周辺地域との一体も含めて愛称を募集して、こういうかたちの文化センターの名称に変えてきました。

「倉吉市あらゆる差別をなくする総合計画」の推進

 総合計画ができたのが、平成8(1996)年12月。翌年4月1日から計画がスタートということになったんですけれども、前期の事業計画を立てるのが、1年遅れたことがあります。課題と施策と道しるべというかたちで、総合計画を書き上げてきたんですけれども、じゃあ具体的に、どういうふうにすればいいか、というところが、各担当課の方では議論をもっとも要するということで、1年遅れて前期事業計画がスタートしたということになります。

 「第2次倉吉市あらゆる差別をなくする総合計画」と書いていますが、実は平成9(1997)年から総合計画がスタートしたんですが、本体の倉吉市8次総合計画が、平成12(2000)年度いっぱいで切れて、平成13(2001)年度から、第9次総合計画に移行するということがありました。市の方は、1次計画(あらゆる差別をなくする総合計画)の中途で本体の計画(倉吉市8次総合計画)が再スタートするということになったので、それにあわせて第2次計画(あらゆる差別をなくする総合計画)という位置づけの中に、本体の第9次総合計画に含めて、第2次計画(あらゆる差別をなくする総合計画)として再スタートをきることで、スタートしたところであります。

人権文化センターの(現在の)取り組み

 先ほども申しましたように、同和地区住民を対象にした各種の学習会、5館共同事業。うちの倉吉市には、19カ所の被差別部落がございます。少数点在、混住地域。一番大きな部落で、200所帯。混住地域で一番小さな部落が10所帯、農業地域に位置づけられています。古くからある部落は、だいたい3カ所、あとは明治以降、移住、開拓団。というふうに、さまざまな部落形成のスタイルがあり、市内に19カ所も散らばっています。それぞれを5つのセンターが網羅するかたちで運営しております。そういったかたちの、全同和地区対象の事業を、これまでは、やってきたわけです。

 その事業の中にこれからは部落外の方たちも含めた事業を創造していくことを、現在取り組んでいます。

 館報とか市報とか、啓発資料とかというものを、人権文化センターの啓発分野というところで、今、取り入れられて、進めているところであります。

「倉吉市同和対策事業の概要」

 同和地区の概要は、市内に19地区あり、市街地6地区、農村地域に13地区が点在しています。平成11(1999)年1月29日現在では、846所帯で、人口率は倉吉市全人口の4.8パーセントにあたります。たいだい2500人ぐらいが同和地区住民という位置づけです。

「取り組みの概要」

 住環境整備は、だいたい整った、と。住環境整備が必要な地域は、あと2カ所ぐらいだと言われております。

 隣保館は、これが隣保館時代の資料なんですけれども、職員が25名。定数内が、まだまだ少ないわけですけれども、たいだいこういうかたちで位置づいています。

 同和対策事業の状況は、昭和45(1960)年度から平成10(1998)年度まで、総事業費、320億円というような事業の経過であります。うちわけというと、細かいところまで資料は持ってきていませんが、周辺地域も含めた同対事業が倉吉市の場合、一番早く取り組まれたのは、大きな特徴ではないかと思います。

倉吉市あらゆる差別をなくする総合計画の体系図

 第1次総合計画では「交流と共生による人権尊重のまち」というのを都市像としていたんですが、第2次総では、「交流とふれあい」という言い方にかわってきたところです。もっと、もっと、部落外の方との交流をめざそうという意図が見えるのではないか、と思っておるところであります。

 施策の目標では、部落問題、障害のある人の問題、男女共同、在住外国人、先住民族、身近な差別、という位置づけで取り組んでいるところです。

 この総合計画を策定して、特徴的に取り上げられるようになってきたのが、ようやくにして、庁内に助役をトップにして、差別事象対策検討委員会と人権啓発推進委員会が立ち上がったことが、あります。3つめに、差別事象とか差別落書きの対応マニュアルを、ようやく策定いたしまして、市の職員全員に徹底を図っているところであります。というところが、部落問題の(取り組みの)、大きな特徴ではないかな、と思っています。

 障害のある人の問題になってきますと、1次総合計画に入れましたのが、倉吉駅構内に電話・ファックスを設置して、障害のある人が自由に使えるようにということ、あわせて,市役所の庁舎内にエレベーターの設置、点字ブック、誘導燈、点字プリンター等々が位置づけられて、障害のある方の人権尊重、プラバシーを守るという位置づけが、ようやくにして、できあがった、ということがあります。

 男女共同参画につきましては、みなさんご存知のように、県の施設がパークスクエアの中に、「よりんさい」という施設名で男女共同参画の拠点施設ができましたもので、そちらの方が中心に動いていているわけです。女性の活動も、活発になってきたということがあります。

 在住外国人の問題につきましては、当然、条例制定、総合計画策定、先ほど申しました運営協議会の中にも、民団、朝鮮総連の方、それぞれ2人が代表で、ずっと、かかわってくださっていましたので、現在でも審議会委員として加わっていただいております。よく議論がありましたのが、第1次のとき在住外国人の方の実態調査を審議会としておこなっているわけです。現在でも、在日外国人の方の実態調査ができ切れてない要素がありますが。主としていち早く取り組んだのが、在住外国人の無年金者の保障ということで、月額2万5千円を支給しているわけです。しかし、本市の場合は、無年金者の方が当初は7名、現在は5名で、ごく少数ですから、できやすかった側面もあります。

 先住民族の問題につきましては、なかなか市民啓発の中には入りにくいわけですけど、学校教育について位置づけていたということです

 身近な差別については、子どもの人権とか、いじめ・不登校、エイズ、特定疾患と書き上げているんですが、具体的な施策というのは旧来以前の福祉政策の中で位置づけがあるということです。また、ご意見をいただければ、と思います。

 倉吉市あらゆる差別をなくする推進計画推進組織図を入れています。
 この組織図が、倉吉市については大動脈と言いますか、そういうことになります。かいつまんで、説明いたします。

 倉吉市市長部局でかかわる「倉吉市あらゆる差別をなくする審議会」「倉吉市同和対策雇用促進協議会」「倉吉市同和対策推進協議会」という3団体に「部落解放基本法制定要求倉吉市実行委員会」という組織があります。この内「倉吉市あらゆる差別をなくする審議会」の会長は「倉吉市同和教育研究会」の会長であり、今月あります全同教(全国同和教育研究協議会)の会長である宇山先生が会長になってくださっています。

 そういう位置づけの中に、民主団体を多く含む組織を作っております。「倉吉市同和対策推進協議会」というのは、どちらかと言うと活動する団体ではなく、市の方向性を検討する機関というわけで、個別に行動する組織ではありません。

 「倉吉市さわやか人権文化センター運営協議会」と倉吉市さわやか人権文化センター(支所含む)が5つあります。それぞれの支所の方にも、運営委員会を位置づけていますから、地域性を出しながら独自性を出しながら、市内全域を網羅してきているということです。

 「人権啓発推進委員会」は、助役をトップとして、各部長が委員となり、人権文化センターが事務局という位置づけで立ち上がっております。これは、どういうことをするかというと、差別事件が起こったら、どういう対応をするか、ということを含めて、前後どういう啓発が必要なのか、施策が必要なのかを指示し、行動提起をする機関として、人権啓発推進委員会がようやく動きかけたなというあたりであります。

 「倉吉市教育委員会」は、教育長部局の方に、公民館があります。

 倉吉市の場合は小学校区が12ありまして、すべてに地区公民館が設置されております。各地区公民館に、地区同研(地区同和教育研究会)があります。地区同研は、各地区の住民で構成される同和問題研究会です。この地区同研の事務局は、公民館にあります。(地区同研の事務局は)校区ごとに、校区の同和教育の推進をどのようにやっていくかということにかかわりがあります。また公民館サイドからも、人権問題講演会、巡回講演会も、進めていますから(人権)文化センターとかさなる部分があります。公民館サイドからも、各住民に対する人権啓発事業が取り組まれているというところが、大きな特徴ではないかな、と思います。

 「倉吉市教育委員会」から地区公民館をへて、地区同和教育研究協議会があります。これは、先ほど申しました。その下に、地区同和教育推進員・市の同和教育推進員と2通りが位置づいてあります。同和教育推進員というのは、教育長が直接、委嘱をします。倉吉市には192の町内会あり、そのうち100所帯以内は1名の同和教育推進員を設置する、100所帯以上は2名を設置するということで、合計220名の方が同和教育推進員に位置づいているところであります。

 地区同研の活動と、各町内や自治公民館に位置づいた同和教育推進員が協力しあったりとか、自治公民館長とか、社会教育部長が、各自治会の中にはあるんですが、その方たちと、たとえば年に1回ある同和教育町内学習会を、どのように呼びかけるべきか、どのような内容で運営していくべきか、その後、を含めて協議をして進めているところです。

 このなかに、小鴨地区というところがあるんですが、ここが一番歴史が古く、28年前から町内学習会が、いち早く取り組まれています。だから、小鴨地区の場合は、だいたい7月中に同和教育町内学習会をおこない、他の地域は、たいだい10月から11月に同和教育町内学習会取り組まれているところであります。

 ぼくが、今、勤めさせていただいている「さわやか人権文化センター」は、高城地区同和教育研究会のグループにありますので、今、同和教育町内学習会の開催の最中です。

 「推進指定町内学習会(18町)」について説明しますと、倉吉市の教育委員会の方で、小学校区に2カ所ずつ、1年間に1回ではダメだ、2カ所ずつ年に4回はやってくれ、継続性をもってやってくれ、と委嘱をしているところです。本来で言うと、12校区ですから、24町内委嘱されないといけないんですけれども、中にはでききれないというところもあって、まあ、18町内ということになっています。

 年に1回の町内学習会で集まってくれればいいんですけれども、集まらない人にとっては、情報が入らないことがあるので、その地域、その地域の独自性を立てて、連続講座的になるように、年4回、町内学習会をやってくれ、という位置づけの中で、進めているところであります。

 「中学校区同和教育研究協議会」に移りますが、4カ所に各中学校区同研(中学校同和教育研究会)があります。中学校区同和教育研究協議会は、中学校区を単位として、保・幼・小・中と高校も含めて、保育園や学校の先生方を中心にした同和教育研究会の組織です。この中に、各地区同研の社会教育の活動者メンバーも加わりながら、社学一体となって学校同和教育は、どうあるべきか、を年に1回、公開授業をしながら研究会を重ねているところであります。

 ですから、倉吉市内の中学校区が4校区ありますので、それぞれの4校区の独自性を出しながら、会員研修会をやったり、PTA独自の研修会をやったり、教員独自の研究会をやったりしながら、年1回の公開授業をしながら、全員がそろって研究を深めていくという位置づけがあります。その中に、年次的に1カ所、倉吉市同和教育研究会として、同和教育研究公開授業をやっていきます。

 「倉吉市同和教育研究会」ですが、これが立ち上がったのは、昭和45(1970)年です。当時は54名の会員でしたが、昨年では1433名という会員数になっております。この場合も、保・小・中・高のPTA、地区同研、学校教職員、自治体職員も含めた会員制度になっています。1433人というのは大きい数だと思いますが、有名無実の方も中にはいますから、どうかな、というところであります。

 「おもな生涯学習関連施設」についてですが、市内には以下のような施設があります。「幼稚園(私立)3 保育園10 保育園(私立)13 小学校12 中学校4 養護学校(県立)1 生涯学習センター1 博物館1 図書館1 地区公民館12 教育集会所3 児童館6 児童集会所8 人権文化センター5 地区会館13 老人憩いの家11」

 このなかで、教育集会所、児童集会所、地区会館、老人憩いの家は、みんな無人です。そういうところはあるんですが、これを有機的にネットワークを作って、人権啓発を進めていくのかが、今の私たちの課題であると思います。

 「倉吉市部落差別撤廃とあらゆる差別をなくする条例制定後の主な取り組み」というのは、だいたいこんな流れで、倉吉市は、現在に至っているところであります。

 昨日も、全国大行動で、倉吉市と行政交渉を重ねたところです。これまで、全体会と部会を含め審議会が48回、全体会と部会を含めた市の職員の幹事会が37回。開催されておりまして、開催の回数から見れば、県内から見れば、よく進めている感じはするんですが。そういうふうな感じで、すすめられてきたところであります。

 次は、第1次総合計画の計画と実績を抜粋しています。

 たとえば、総合計画の第1章「部落の完全解放の実現」で、第1節「人権擁護の確立」のうちの「人権情報の保護」ということで下の方の「取り組み状況」見ていきますと、評価は、<1>となっています。つまり「道しるべに沿った具体的な事業実施を行なわなかった」という、何もしないという実績をあげております。

 「相談窓口の設置」。私たちが働かせていただいている人権文化センターの中では人権相談窓口の設置をうたっています。差別事象対応マニュアルの策定、人権相談日の創設、ということで、ようやくここまでこぎつけたということがあります。「取り組み状況」では評価は、「<3>成果や効果が低かった」ということです。

 平成13(2001)年度から、外国人の方たちも相談ができるようにということで、市の企画課とタイアップして、韓国語の方、中国語の方、英語の方、もう1つ、3つの言葉が話せる方に相談員として委嘱をして、月ごとに開いていただいていることも、ようやく始まったということです。

 「検討委員会の設置」。立ち上がった検討委員会は、どんなことをやっているか、ということです。平成12(2000)年度に、やっと「マニュアル案の決定」というところですので「取り組み状況」の評価としては、「<4>一応の成果や効果があった」としていますが、ようやく町内組織として動き始めたところではないかな、と思っております。

 学校教育にかかわることですが「保護者啓発とPTA活動の充実」。同和教育課の方で、学校PTA同和教育研修と「たくましくはばたく力育成事業」を市内7小学校を指定して、年次ごとに、こういう事業を位置づけています。これは鳥取県の同和教育課の方でも、補助制度としてやっています。子ども、保護者、教師で、絵本の読み聞かせをやったりとか、子ども会行事をしたりとか、子どもと親のかかわりとか、部落問題の学習の機会だとかを、指定をしながら、地域の教育力を育てていこうというところに「たくましくはばたく力育成事業」を組み込んで、今に至っているところであります。これは県の指定事業も含めてあります。「取り組み状況」の評価としては、「<5>成果や効果が高かった」となっています。

 「社会教育における同和教育の推進」としては、部落解放研究倉吉市集会が、年1回、1200-1300人集まってくる集会をおこなっています。その集会と、それとは別に部落解放倉吉市女性集会が位置づいています。これは女性を中心にした集会で、たいだい600人が集まってきます。同和教育町内学習会は、平成11(1999)年度には「市内190町で開催」、つまり開けていない町が2町あることだと思います。そういうふうに位置づいてきていることだと思います。それから、同和教育指導者養成講座。人権問題巡回講座、人権問題講演会ということが、地区公民館の方からも位置づいているということで、啓発活動が進められているところです。

 「相談活動の充実」では、平成11(1999)年の生活相談設置事業では、468人の相談者があったことがあります。

 生活環境部会の部分です。これは、ことさら同和対策事業に限らないわけですけれども、第1次総合計画を立てるときに、総合計画の内容が、被差別部落だけを焦点にした内容になっていないか、というのは、よく議論になったところであります。総合計画の中では、被差別部落もよくなるんですが、部落以外にも、まだまだ劣悪な部分があるのではないか、とあげたところの中で、たとえば「水道施設の整備」をあげています。そのなかに、環境課で飲料水配水管整備事業の中で、事業概要に「A地区」「B地区」が書いてあります。このA地区は、部落を含んでいますが、B地区は、まるっきり部落ではないんです。そういったところも含めた事業になってきたということが、特徴ではないかな、と思っております。

 ですから、総合計画の中で「劣悪な環境」のところは部落外も網羅していこう、と言うことになりました。たとえば平成10(1998)年の事業概要に、C地区で、簡易水道整備事業が位置づけられてきた。平成12(2000)年度には、D地区に簡易水道配水管布設工事がおこなわれました。

 だから、総合計画の中では、部落外の劣悪な環境も含めてきているんだ、ということが、環境課サイドから位置付けてきたということがあります。

 「取り組みの状況」の評価としては「<5>成果や効果が高かった」というものでした。

 次に「集落排水事業」についてです。集落排水事業で、今からやるところと、倉吉市の場合は中山間地域、農村地域の奥になってきますと、集落排水事業がおこなえない地域があります。そのなかで「合併処理浄化槽設置事業」ということで、合併の浄化槽で、とりあえず水洗化を図るべきだ、という議論ができてきた。これを被差別部落だけに留まらず、そういう地域には、9基とか15基とかってことで、位置づけてきた事業が、今、展開してきたということであります。

 なお、上水道が設置されていない地域が、まだ倉吉市の中には、数箇所あります。うちの解放同盟の出身議員の方からも、市の方に働きかけている現状であります。ですから、市の方としては、1つひとつの事業を、こういうふうに計画と実績を評価しながら、事業を進めているという姿勢は評価できるんではないかな、と自分なりには感じております。

 次に「倉吉市人権・同和教育に関する市民意識調査(1部抜粋)」です。これは、分析に、ぼくが、かかわっていない部分なので、資料をコピーしたということになるんですが。平成11(1999)年度9月におこなった意識調査で、対象者数が3578人、うち回答者総数は、1465人。そのなかに、21人、白票というのがあるんです。まったく回答してない、でも返信しているというのです。これを見たとき、総合計画を作っているという上においては、回答率から言うと40.4パーセントですので、あまりにも低いのではないかという反省としては、あげてあります。

 あとは、見て読んでもらたったら、わかると思います。やっぱり「結婚のときの身元調査」というところでは、だいたい意識は高まってきているんじゃないかな、と思います。身元調査を容認する回答が、前回と比べて、8.3ポイント低くなり、否定する回答は15.7ポイント高くなっている、ということです。回答してくださった方々の中には、同和教育の成果ではないかと言えると思います。これは、読んでいただければ、と思います。

 が、しかし、「同和教育の学習会」については「参加者の固定」が指摘されると言われております。3分の1ちかい人が、学習会にまだまだ参加していないということです。先ほど申しましたように、町内学習会がおこなわれ、高いところではようやく50パーセントを超え、低いところでは30パーセント前後というとこらへんが、同じ市内のなかでも温度差があります。そういうふうなところを、どう底上げしていくかということが、今後の大きな課題ではないかと考えております。

 総合計画を作ったからといって安心はできない。この総合計画を市民の生活レベルまで、おろしながら、啓発をしていくというところが、今、現状の課題としてあるということであります。

 最後になりますが、ぼくの率直な感想を言わせていただきます。この町内学習会・研修会の中で、市の職員の参加が低い、市の職員が参加していても発言が少ないという問題があります。そういう意味からすれば、市の職員の意識調査も取っているんですが、まだまだ、同和問題を理解している世代と、そうでない世代(がいる)。どちらかと言うと同和教育を学んできた世代が、低いんではないか、と言うことも感じる面があります。ですから、きのうも、行政交渉の場で言ったんですけれども、市長の考え方が市の職員全体には浸透してないんではないか。そういう点においては、職員研修のありようを計画を立てて見直してみるべきだ、と昨日も、申しあげさせていただいたところです。

 まだ、特段の成果が上がっていませんが、みなさんの方から、また、ご意見をいただきたいと思います。どうも、ありがとうございました。

2001.11.09に報告されたものです