私の資料は2つ用意しております。1つは「市町村合併について」という冊子。もう1つは、黄色いリーフレットです。こちらの方は、一般の人にはこれまで別のリーフレットがわかりにくいという指摘もあり、前のリーフレットが品切れになったのを機会に新たに作らせていただいたものです。わかりやすいものに心がけたということがございますので、その反面、内容的には物足りないものがあるかもしれません。これも参考にしてください。
きょうは主に「市町村合併について」の方で、ご説明させていただきます。
1、市町村合併をめぐる状況について
ご承知の通り、合併特例法の期限が2005(平成17)年3月で切れるということで、期限まで2年半になりました。市町村合併をめぐる議論は、今年度に入って急速な高まりをみせていると、私どもは感じております。
資料の始めに「市町村数の変遷と合併の特徴」の表を記載しております。これまで2回の大きな合併がございました。
1つは「明治の大合併」と言われるものです。これは近代的地方自治制度である「市町村制」が施行されたので、このときに300から500戸を標準規模として国の号令のもとに全国的におこなわれた町村合併です。概ね、小学校の運営、戸籍事務を適正に処理するというふうな基準で、300から500というふうにされたようです。1888(明治21)年71314自治体がございましたけれども、これが1889(明治22)年には15859になり、約5分の1になっています。
このときの大阪府の状況は、全体で1372市町村がありました。1889(明治22)年には324になっています。
つぎの合併が「昭和の大合併」と言われるものでございます。戦後の新制中学校の設置管理、市町村消防や自治体警察の創設の事務、社会福祉、保健衛生関係の新しい事務が市町村事務となりましたので、この事務を処理するために町村数を約3分の1に減少することでした。新制中学校1校を効率的に運営できる人口規模ということで、だいたい8000人という規模を最小単位で合併が進められています。この結果、1953(昭和28)年から1961(昭和36)年の間に、9868から3472と約3分の1になっています。
大阪の場合でもうしますと、1953(昭和28)年149で、1961(昭和36)年には47になっています。大阪においても、ほぼ3分の1強の合併が進んだということです。
この2つはいずれも国や府県の勧告をともなう強制的な合併であったことに、1つの特徴があろうかと思います。
現在、大阪の市町村は44でございますけれども、このときの47から基本的に大きな区域の変更はございません。
(1)市町村合併が求められる背景
今回は、明治と昭和に続き、「平成の大合併」と言われています。今回の合併が求められている背景について、お話をさせていただきます。
近年の市町村を取りまく環境は、大きく変化しています。
「日常生活圏の拡大」
市町村の区域を越えて大きく広がっている現状があります。交通網の発達や自動車の普及が進んだことにより、住民の日常生活の範囲が飛躍的に広がっていることがあります。
たとえば、1964(昭和39)年に自動車の保有台数は、大阪府内ですが、60万台であったのが、1998(平成10)年には380万台に増えています。道路整備状況も舗装率が、1962(昭和37)年には24.7パーセントであったのが、1998(平成10)年には94.3パーセントですから、道路事情はひじょうに改善され、進んだということがいえるんじゃないかと思います。
1962(昭和37)年といえば、阪神高速道路公団が誕生した年です。1964(昭和39)年6月に、やっと港町から土佐堀町までの2.3キロの区間ができた状況です。1964(昭和39)年に栗東尼崎間の名神高速道路ができた。
その時から今日に至るまで行政区域はほとんど変わっていない状況にあります。日常生活圏と行政圏とのかかわり、ギャップは、ひじょうに大きくなっているのではないか、ということが1つ言えるのではないか。今の市町村の行政圏域を越えて、大きく人びとは動いているということです。
「広域的行政課題への対応」
環境行政や少子・高齢化など、広域的な対応を要する課題が増えていることです。たとえば、ゴミ焼却場1つを取ってみても、ひじょうに経費がかかり、現在の1つの行政だけではなかなか難しいです。また、少子・高齢化の進展にともない、介護保険も含めて、大きなエリアで対応しなければいけない課題が増えてきているということです。
「大阪府年齢階級別人口構成の推移(経過と予測)」を載せています。現在の2000(平成12)年の65歳以上の人口が14.8パーセントです。これが40年後には、人口が100万以上減って、なおかつ65歳以上の人口が占める割合が30パーセントを超えている時代がくるわけです。このまま推移しますと、このようになります。医療保健・福祉ニーズがますます高くなってくる。
一方で右肩上がりの経済に終焉を告げたということで、税収は伸びない、一方で少子・高齢化にともなう課題が、単独の市町村の規模では対応が難しくなってくるのではないか、というような状況があります。
「地方分権の進展」
2000(平成12)年4月に「地方分権一括法」が施行されました。市町村は自らの判断と責任で決められる範囲が増えたわけですけど、一方でその責任もついてまわってきます。今の行政体制は300人の村でも15万人の市でも、戸籍事務とか住民票の義務だけではなく、福祉事務、都市計画、土木とか環境行政とかのすべての仕事をフルセットですべて扱うことになっているわけです。今後、その分権が進んでいくにともなって、仕事の範囲が増えてくることがあります。市町村が自分で決める範囲が増えると、それに対して責任をもって遂行していく体制が求められます。
大阪府内には、300人の村はありませんが7000人程度の市町村はございます。フルセットの行政ができるのかどうかを考えたときに、今まで以上に体制の強化あるいは効率化をはかっていくことが求められているのではないかと思います。
「国、地方を通じた財政状況の悪化」
国も厳しいわけです。最近、長期債務残高が2002(平成14)年度末で693兆円になるというふうに予想されています。地方も、非常に厳しい状況です。このような状況の中で、必要な医療福祉サービスに必要な経費を捻出していく必要があるので、自治体の効率化がいっそう求められている状況です。
「府内市町村の財政状況」の表を載せています。大阪府内の市町村は、非常に財政状況が悪うございます。経常収支比率(財政構造の弾力化をみる指標で、高ければ高いほど住民の新しいニーズに応えていくだけの余力がなくなっていることを示す)は、70から80パーセントぐらいまでが適正な数字と言われています。
全国平均で2000(平成12)年度は、全国平均は83.6パーセント、大阪府平均は95.3パーセントです。全国平均より10ポイント以上を上回ってる傾向にあります。
赤字団体をみてみますと、2000(平成12)年度、全国では20、府内市町村の赤字団体は10です。つまり、全国の赤字団体市町村のうち10団体が大阪府内の赤字団体です。非常に厳しい状況です。
さきほど、2001(平成13)年度の数字を発表しております。1部構成団体が変わりましたが、赤字団体が10であることは2001(平成13)年度も変わってございません。泉州、北河内に悪いところが偏っています。
合併は、究極の行政改革であるとも言われています。こういうところからも合併によって効率化することで、合併が有効な手段として求められている背景があると思います。
今回の合併は、勧告や強制的な手段で進められるのではなく、「住民による住民のための自主的合併」が理念にされております。あくまで、市町村なり住民が自主的に決定していただくという進め方がとられている点が、これまでの合併と大きくちがう点です。
もう1つは、地方分権の流れの中で、分権をさらに進めていくためには、その受け皿となる地方自治体サイドが、しっかり行政を推進していくための基盤を強化していかなければならないというふうなことになります。地方分権のいっそうの推進も大きなポイントであります。平成の大合併を考える時にはこの2点を特に押さえておいていただきたいなと思っております。
(2)市町村合併に関する国の取り組み・全国状況
「国の取り組み」
こうしたことから、国の方では市町村合併の円滑な推進に向けて、いろんな制度を用意しております。現在の合併特例法は、1965(昭和40)年の法律でして、10年ごとに期間延長をして、現在に至っています。
2005(平成17)年3月が法期限になるわけですが、今朝の新聞にも昨日おこなわれた自民党プロジェクトの話が出ていました。「2005(平成17)年3月の法期限は延長しない」という方向の確認がなされそうです。政府も総務省も「2005(平成17)年3月の法期限は延長しない」と何度も公言されています。
合併特例法は1995(平成7)年までは、合併の障害を取り除くことに主眼をおかれていたわけですが、1995(平成7)年の改正からは特に合併を推進する方向に変わっています。合併を推進するための、いろんな方策が盛り込まれてございます。
1995(平成7)年の改正では、地方交付税の合併算定の問題であるとか。1999(平成11)年にかなり大きな改正がございまして、このとき地方交付税の合併算定替の再拡充と合併特例債(たとえば市町村の合併にともなって道路等を整備する場合の地方債で交付税借置がある)の創設が盛り込まれました。
こういう法律の改正とともに、国の方は合併を支援するために「市町村合併支援本部」を内閣に設置(2001<平成13>年3月27日閣議決定)し、合併支援プラン(2001<平成13>年8月)を策定しました。そこでは、都道府県の支援事業に対する財政措置、合併市町村が実施する事業について省庁横断的な支援策を盛り込んでおります。
合併協議会の設置から合併の実現まで、作業がスムーズに進むように、先進合併市の事例をマニュアル化し各自治体に配っております(「法定協議会運営マニュアル」の作成 2001<平成13>年8月)。
「全国の状況」
最近の合併市町村は、資料には「全国で104の法定合併協議会が設置」と書いていますが、きょうの新聞にも出ていましたが、正式には103です。実は、この104のいうのは住民発議で、和歌山県橋本市・かつらぎ町・高野口町・九度山町・高野町・花園村が合併協議会に向けて、大筋の手続きを終えて、合併の法的協議が進むということですので総務省のホームページでは104となっていましたが、実際に協議会ができているのは103だそうです。
現在、全国3218市町村のうち、約8割の市町村が合併に関する検討組織を設けています。資料に4月1日と7月1日の全国の合併を検討する協議会の数字が出ています。この間に、270ほど増えています。法期限を前に、活発に合併の議論がなされているようです。
今の3000なにがしかの市町村数を1000に、という政府与党の方針が出ています。1000という総務省の方針が出ているわけではございません。このまま進めば、総務省では、3200ある自治体が2000を切るのではないか、というような予想をたてているような状況です。
(3)市町村合併に関する大阪府の取り組み
国のこういう取り組みに対応し、大阪府でも、市町村合併の推進に対する支援をいたしております。一昨年12月に「大阪府市町村合併推進要綱」を策定しました。
各市町村で議論をしていただこうと、30通りの合併パターンを掲示しております。
この間、シンポジウムの開催(5地域)、ケーススタディ調査など、補助金なども用意しまして、合併の研究会やシンポジウムを独自に開催するところについては、条件があえば大阪府の補助金を使っていただき議論を進めていただくことに取り組んできました。
大阪府でも、昨年7月に「市町村合併支援本部」を設置いたしました。今年度の七月には「大阪府市町村合併試験プラン」を策定しました。合併重点支援地域及び法期限内に合併した市町村については、府事業の重点的な実施とか、合併市町村がおこなう事業を支援するという内容を盛り込んだ内容でございます。
「大阪府市町村合併試験プラン」について
このプランは、具体的に何億円の補助金を出すとかの数字は入れておりません。策定の趣旨にも「このプランについては今後、市町村の取組や要望など、地域の実状を踏まえその具体化を図るとともに、引き続き支援策の拡充に努める」としております。具体の協議会をもった市町村の状況をききながら、支援の内容においては、固めていきたいと考えておるところです。
「府内市町村における合併に向けた取り組み」
府内では、南河内の富田林市・太子町・河南町・千早赤阪村の4市町村について合併重点支援地域に指定させていただきました。現在この地域は、7月1日に法定の協議会が設置され、現在、合併に向けての議論が進んでいます。
この地域も含め、全体で28の市町村が10の合併協議会及び研究会を設置している状況でございます。一番、進んでいるのは南河内で、大阪府で法定の協議会はここだけです。
北摂の方では、北摂広域連携行政研究会ということで10市町村は、たいへんに大きな研究会です。これは市町村合併パターンについて研究をしようということで進められています。
今年に入ってからの動きでは同じ北摂の研究会の中ですが、高槻市と島本町が個別に合併についての助役レベルの研究会を設置されています。堺市と高石市は4月1日に合併問題研究協議会を設置されました。泉大津市・和泉市・忠岡町の2市1町の広域行政研究会が8月7日に設けられました。忠岡町は、両方のパターンを示したいということで、岸和田市とも7月1日に勉強会を設置されています。
一番新しい動きは、泉州南広域行政研究会です。これは泉南市・阪南市・岬町の2市1町で勉強会が進められていました。8月26日に泉佐野市と田尻町が加入され、空港対岸の2市1町が1本になって、勉強会をしていこうというふうな方向です。
北河内の守口市と門真市は、今年の3月議会で、両方の首長さんから合併協議をしていこうという話があり、現在協議が進んでいます。ただ、公式な研究会は設立されていません。
枚方市・寝屋川市・交野市は、行政レベルであまり動きがございませんが、ここは商工会議所が3市1本になり北大阪商工会議所として動いています。商工会議所が主導になって、合併に向けて住民発議をしていこうということでございます。ここが仮に1本になりますと、人口が70万を超えますので、政令市になることも考えられます。先ほど申しました堺市・高石市も、合併すれば政令市になる可能性があります。北摂広域連携行政研究会の10市町はあわせて人口170万ですので人口的にも面積的にも、軽く要件はクリアするところであります。ここも仮に進めば政令市になる可能性があります。
政令市都市は70万人と言いましたが、法律には「政令指定都市は50万人以上」としか書いてございません。実際には、総務省の裁量が働くことになります。
今回の合併の流れの中で、静岡市と清水市が合併すれば70万人を超え、政令市に移行する可能性があるということで政府の方も、それについては弾力的に対応するということでございます。これまでは、100万をめざしている都市というのが政令市の条件であったようですが、今回は70万程度でも政令市として指定されるのではないかということでございます。
守口市、門真市、大東市、四條畷市、堺市、高石市、忠岡町、藤井寺市、富田林市、太子町、河内長野市の市町村議会では、合併問題を考えていこうと特別委員会が設置されています。
熊取町は、昭和の合併のときに貝塚市と泉佐野市とに経緯があることと、人口的に4万3千ぐらいですので人口増によっては単独で市制施行ができるということで、今のところ合併問題には慎重だということです。仮に貝塚から南で、合併が議論されることになりますと、熊取町も巻き込まれていくことになります。そうなれば合併問題は検討するという話でございます。
いずれにしましても、法期限を間近に迎え、議論が行政でも議会でも住民団体でもいろんな動きが加速されている状況にございます。
2、合併に係る協議について
(1)市町村合併の手続きと合併協定項目
「市町村合併の手続きの概要」
基本的に、議会の議決を経て合併協議会の設置をおこなっていただく必要があります。その前に、合併に関する事前協議がおこなわれるのが普通でございます。
先ほど申しあげた研究会や勉強会の場で、いろんな調査・事例研究をされます。その後、合併について具体的な協議をしようということになりますと、議会の議決を経て、合併協議会の設置されることになります。
合併協議会は、合併の是非も含めてあらゆることを協議する場になっています。
資料に「富田林市・太子町・河南町・千早赤阪村の合併協議会の合併協定項目」を載せています。そこに「自治体の存立に係わる基本的な事項」「事務事業一元化に係わる事項」「新市建設計画に係る事項」となってございます。
この合併協議会で、新市の名称、吸収合併なのか対等合併なのか、合併はいつするのかの期日、新市の市役所などの合併の方針、条例規則の取り扱いについても議論して決めていくことになっています。
そこで整いますと、それぞれの市町村議会に持って帰り、最終的な議決をして、合併する申請書を作成することになります。
この中で、市町村建設計画については、たとえば合併市町村を通っている府道なり事業をどうするかということの建設計画も盛り込まれますので、大阪府に協議をしていただくことになります。
協議に入り、最終的に申請書がまとまりましたら、各地の都道府県議会の議決を経て合併が決定され、合併の効力が発生する流れになります。
資料の「富田林市・太子町・河南町・千早赤阪村の合併協議会の合併協定項目」を見ていただくと、「事務事業一元化に係わる事項」の24番目に「各種事務事業の取扱い」というふうに右側にのしています。人権対策に関する取り扱いも項目を出しています。
「最近の合併事例における条例・規則の取り扱い」
新設合併というのは、対等合併です。対等合併の場合、いったん条例はすべて失効しますので、新たに条例等を定めます。
兵庫県篠山市の場合は、
「構成町がすべて同じような条例を制定している場合、あるいは構成町のうち1町だけが作っていて他の町が作っていない条例については、原則として現行のとおりとする」。
「類似、相互又は数団体に制定されているものについては、いずれかを基本に調整統一し、事務事業に支障のないよう適切な措置を講ずるものとする」と合併協定書の内容にあります。
合併協議会の中で、早くから準備をしていたものについては、協議内容も細かいものになります。時間があまり合併に向けてない場合には、新市で決めるというふうにしているところもございます。細かいものについては、新市で調整するというパターンになっています。
西東京市の場合は、
「条例、規則等の制定に当たっては、合併協議会の協議・承認された各種事務事業等の調整内容に基づき、次の区分により整備するものとする」と合併協定書の内容にあります。また、市民生活に深いかかわりがある条例などは、市が合併したときに、できていなければ困るものについては、「市長職務執行者(市長は選挙で決まるので)の専決処分により、即時制定し、施行させるものとする」という合併協定書での取り決めになっています。
潮来市の場合は、編入合併です。
この場合は、「潮来町の条例・規則を適用する」ことになっています。
基本的に対等合併の場合は、基本的に条例がいったん失効しますので新たに制定ということもしますが、編入合併の場合は、編入する吸収する方の条例が適応されるパターンが、普通のようです。
資料に「新設合併と編入合併の比較」を載せております。
新設合併は名前も変わりますし、事務所も変わりますし、市町村の長は、新設合併の場合は合併関係市町村の長はすべて失職する。
編入合併の場合は、基本的には、吸収側の市町村の長は変わらず、吸収される市町村の長は失職する。合併市町村の名称は、新設合併では新たに定め、編入合併の場合は原則として吸収する市町村の名称となる。
条例・規則については、新設合併では合併関係市町村の条例・規則はすべて失効する、その後、新たに制定する必要があるので、協議会で、しっかり議論する必要がある。
編入合併の場合は、吸収する市町村の条例・規則を適用する、合併に伴い必要な改正をおこなう。
3、合併特例法の概要について
「市町村の合併の特例に関する法律(合併特例法)」は、1965(昭和40)年に制定された法律です。現在は、先ほど申しましたように、2005(平成17)年3月31日までにおこなわれた市町村の合併について適用となっています。
1 趣旨(第1条)
「自主的な合併を推進し」が明記されています。これが1つの大きなポイントになります。
2 合併協議会(第3条)
「合併をしようとする市町村は、合併の是非を含め、市町村建設計画の作成やその他合併に関する協議をおこなうための協議会を設置する」とあります。
合併協議会のメンバーは「関係市町村の議会の議員、長、その他の職員、(地元の代表、区長なども含み、地元の)学識経験者の中から選任できる」。
3 住民発議制度(第4条、第4条の2)
これは説明いたしませんでしたが、協議会を設置するために議会の議決が必要であるとなっています。仮に、この協議会を設置する議決をしない場合、住民が求めているにもかかわらず議会なり首長が合併に消極的である場合、「有権者の50分の1以上の者の署名をもって、市町村長に対して、合併協議会を設置を請求を行うことができる」ことになっています。この請求を経た場合には、合併協議会についての議案を首長は議会にかけなければならないということになります。
ここでも否決をされるケースがございます。そうなった場合は、さらに「有権者の6分の1以上の署名による請求により、合併協議会設置協議について選挙人の投票に付するよう請求することができる。有効投票総数の過半数の賛成があったときは、議会の議決があったものとみなす」。そして、合併協議会が設置されることになります。
ただ、合併協議会設置までは住民発議で請求できますが、最終的には合併の是非を判断するのは、あくまでも、それぞれの議会であることを押さえておいてください。
6 地域審議会(第5条の4)
合併によって地域が広がりますので、住民の声がなかなか役所に届かないのではないかという心配がございます。その場合に「合併前の関係市町村の協議により、旧市町村の区域ごとに、合併市町村の長の諮問により審議又は必要な事項につき意見を述べる審議会(地域審議会)を置くことができる」ことになっています。これまでの旧市町村の意見をくめる機会を作ることによって住民の声をくみ上げるということがある。
7 議会の議員の定数・在任に関する特例(第6条、第7条)
議会の先生方は、合併によって身分を失うことになりますので、このあたりが合併の障害になるかねないケースが多いということで特例を設けてございます。
基本的には、合併をした場合、選挙をすることになるわけです。
(1)新設合併の場合
- 定数特例を活用する場合 合併市町村の議員定数の2倍まで最初の選挙では、定数を増やすことができる。
- 在任特例を活用する場合 合併前の議員が最長2年まで在任することができる。
(2)編入合併の場合
- 定数特例を活用する場合、増員選挙を実施することができます。
- 選挙をおこなわない場合は、在任特例を活用することができる。
12 地方税に関する特例(第10条)
合併がおこなわれた市町村で税に不均衡が生じる場合、合併がおこなわれた日の属する年度およびこれに続く5年度に限り、課税をしない又は不均一の課税をすることができる。
13 地方公交税の額の算定の特例(第11条)
合併すれば、地方交付税が減ってしまいますので、そうならないようにという財政支援です。
合併がおこなわれた日の属する年度及びこれに続く10年度について、合併関係市町村が合併しなかった場合と同様に算出し、その後5年度については段階的に増加額を縮減する。
11年度め以降は、12年度が0.9、13年度が0.7、14年度が0.5と、0.2ずつ縮減するかたちになっています。算定替と呼ばれているものです。
14 地方債の特例等(第11条の2)
市町村建設計画に基づく事業あるいは地域の一体化ということで基金を積む場合には、合併特例債(充当率95パーセント、後年度元利償還交付税措置70パーセント/1999<平成11>年度の改正により創設)によって、最初に一般財源として用意する金額が5パーセントぐらいですむというかたちになっています。最終的に自前で必要な金額は、3分の1ですむというかたちです。
現在おこなわれている国の交付税措置がされるような事業では、だいたい充当率75パーセント、後年度元利償還交付税措置30パーセントぐらいが普通です。それから言いますと、かなり手厚い措置であると言えると思います。
いずれにしましても、これは借金ですので返していく必要がございますので、先ほど申しあげた協議会の中で、真に必要な施設は何かを十分議論しないと、最終的に借金として返す額が膨らむことになります。
榎下:現在、協議会が開かれている富田林市・太子町・河南町・千早赤阪村の例でいきますと、10年間で約400億の合併特例債事業が認められる、ということになります。
蜷川:与党がそこまでやると、かなりの額のお金が要るとなってきますので、そういうことからも17年3月の期限を抜かすことはできないとなっているのかな、と思うわけであります。だいたい制度は以上でございます。
合併後、法期限後の基礎的自治体のあり方ということで、すでに議論が進んでおります。今日も、新聞に出ておりましたが、自民党の地方自治に関する検討チームから、1万人未満という基準を引いて、小規模自治体と定義して、住民票の交付や窓口業務に限定しましょう、と。つまり、先ほど申しあげたフルセットですべての業務ができる能力がないとみなされ、限定的な事務でよろしい、と。その他の福祉とか土木とか医療事務については、近隣の大きな市町村に代わってやってもらう、水平的補院や都道府県がおこなう垂直的補院を行っていくような意見が、今日の新聞に紹介されていました。
国の地方制度調査会で、合併後の一つのあり方ということで基礎的自治体をどうするか。大都市、政令市をどうするか。合併が進んだ後、都道府県の役割はどうなるか。そういうことについても、来年の春をめどに論点をまとめていこうということになっています。いずれにしても、2005(平成17)年3月まで地域でどういうふうに取り組むかについて、住民を巻き込んで議論をしていただきたいなと思います。
大阪府でも市町村に対して、情報を提供したり、合併を選択されたところには合併支援を盛り込んでいこうというふうに考えているところであります。
私の方からの説明は以上にさせていただきます。