調査研究

各種部会・研究会の活動内容や部落問題・人権問題に関する最新の調査データ、研究論文などを紹介します。

Home調査・研究プロジェクト・報告書一覧人権条例等の収集と比較研究および提言プロジェクト > 報告書
2004.11.17
部会・研究会活動 <国際身分研究会研究会>
 
人権条例等の収集と比較研究および提言プロジェクト報告書
自治労の人権政策

大門正彦(自治労中央本部)

 自治労として、今、取り組んでおります課題や政策などについて少し説明をさせていただきたいと思います。

 資料の確認ですが、レジュメと『自治労 地域・自治体政策集』『男女平等の職場づくりLet's Step』というのをお持ちいただいていると思います。

 中身に入る前に、お断りしておきたいことがあります。『自治労 地域・自治体政策集』ついては、今週の会議用に印刷したものです。若干まだ修正を必要とする部分があります。「て・に・を・は」を含めて最終校正段階です。最終には、正式なものを印刷に入る予定で、その直前バージョンということで、口頭で一部きょうも修正させていただく部分もあります。そのことを前提で、ご活用いただければと思っております。

 それでは、レジュメに沿いまして簡単に、お話をしたいと思います。

 

 はじめに、政策の柱としていくつか並べております。この『自治労 地域・自治体政策集』の方から、概要ということで、お話を致します。

 『自治労 地域・自治体政策集』については、1961年から2年に1回ずつ基本的には政策を整理して、さまざまな課題に対応していこうと作らせていただております。私どもの自治労の運動の政策的ベースになるだけではなく、地域の中で市民の皆さんにご活用いただいたり、連合など他の労働組合などにご活用いただいたり。あるいは選挙のときに特に私ども自治労の組織内地方議員全部で600人ぐらいおりますので、そういった方々の日常の活動などにも参考にしていただくということで作っております。

 中身ついては、全国の地方自治、地方行政にかかわる課題について、基本的には網羅するかたちで、今回については10本の柱で具体的な組立てをしております。2頁から4頁までに、それぞれの柱について概要を簡単にまとめています。

 <1>分権型行財政改革、<2>市民自治の自治体改革、<3>自治体地域情報政策の確立の3つについては、地方自治にかかわる制度その他について、中心的に変えたい課題を整理をしたということです。

  1. 分権型行財政改革については、お金の問題、市町村合併の問題などが含めてあります。
  2. 市民自治の自治体改革については、自治体そのものの中身を変えていく立場で、いくつか整理をしてきております。
  3. 自治体地域情報政策については、住基ネットを含めて、さまざまな自治体にかかわる課題が今出ています。それに対する対応を整理したということです。

 人権ということでいけば、自治労の政策については、いろんなところで人権にかかわる課題がちりばめられることになるんですが、大きな柱としては、<9>平和・人権・国際協力の柱の中で、人権を1つのテーマとして整理をしてきています。

 お手元の資料の目次、「9.平和・人権・国際協力」「政策提言<2> 人権保障機構としての自治体」と「政策提言<3> 『外国籍市民も住民です』が基本の地域政策を」が、直接人権をとりあげている部分ということになります。のちほど、概要について少しご説明したいと思います。

 その他、「4.社会保障」のところでも「政策提言<1> 福祉のまちづくり」とか「政策提言<3> 高齢者の暮らしと介護」「政策提言<4> 子育ち・子育て支援」「政策提言<5> 障害者サポート」などの部分は、人権と大きくかかわる分野です。

 「10.男女平等」政策は、『男女平等の職場づくりLet's Step』もかかわりますが、そういった問題も大きく人権にかかわろうかと思います。

 <3>自治体地域情報政策の「住基ネット」は、個人情報保護の問題などを含めてプライバシーとか自己情報コントロール権とか、そういったかかわりが出てまいりますから、そのへんについてもかかわりが強い分野かなと思っております。

 細かくみていくと、教育の問題等その他含めて、それぞれかかわってまいりますが、とりあえず、よりかかわり方が強い部分から少し説明をしたいと思います。

(1)「平和・人権・国際協力」の「政策提言<2>人権保障機構としての自治体」「政策提言<3>『外国籍市民も住民です』が基本の地域政策を」

 これは来週に向けて、最終校正中で、全国から最後のチェックをお願いしています。私が自治労にもどったときには、文章を変えていなければいけないことになっているかもしれません。とりあえず、そういう前提で、作業をしてきました。

 「政策提言<2> 人権保障機構としての自治体」については、世界人権宣言の課題から始まって、四角囲みで概要的な問題点を指摘した上で、自治体と国に対して、それぞれ政策提言ということで具体的に柱立てをしております。

 自治体に対しては、自治労は1997年から「自治体改革運動」を提起しています。自治体のシステム、住民と行政の関係とか、地域づくりなどについて、それ以前の上下関係、対立関係をなくしていこう。大きく自治体を変えていこうという運動として取り組んでいます。

 そういう一環として自治体の施策・政策、具体的なシステムについても、人権の分野から求めていく政策課題として整理しております。

 最初に、人権基本条例を制定することが大きな柱です。人権基本条例と、今こちらで作業いただいている「人権条例プロジェクト」の関係がこれでリンクすることになります。こちらのプロジェクトの作業を、できるだけ全国の自治体を今後具体化すれば、広げていきたい。そういうかたちで進めていきたいと思っているところです。

 自治体そのものを地域における人権保障機構として作り直していく。そういう機能に自治体を変えていくことが、大きな課題ということで、<1>として整理しています。そういった大きな柱をベースに、職員の意識の確立のための研修とか、人権教育のための国連10年を基本とした自治体の中での推進本部の設置・計画の策定など具体的な提言。

 自治体行政の場での教育政策、権利擁護機関などの設置などについても、順次並べています。

 部落差別の問題などについては、<4><5><6>とそれぞれつづいています。<6>については外国籍市民に対する問題などについても、整理しています。

 その他、子どもの関係なども、ここの分野で入れております。人権にかかわって、こういうかたちで記載しておりますが、社会保障の部分、子育ち部分とか同じ項目が各分野重なって、それぞれの分野を開いたときに同じ項目が出てくることもあり得ます。この冊子のつくりとして、どっかに1ヵ所だけ書いておけばよい、ということに今回しておりません。それぞれの分野で、同じパターンの部分が出てくるところもあります。少し整理の仕方が、むつかしいところがあるんですが。基本的には重なっても、人権は人権として並べるということであります。

 今年については、1991年から2年ごとに改訂してきており、ベースとなる部分は大きく変わっておりません。世界人権宣言を含めた1つの大きな流れとして、この間、自治労としては積み上げてきたことになりますし、今後とも具体的な実践を図っていきたいということで、<11>まで整理しています。

 「国に対して」は、それぞれの地域の自治体を変えていくことが、自治労の大きな役割なんですが、そうは言っても国とのかかわり、国の制度や法律が変わらないとどうにもならない課題について止むを得ず「国に対して」として項目を作っております。分野では、できるだけ自治体に対する要求を中心にして、「国に対して」の要求については、いつ実現できるかどうかわからないですから、少し減らしていこうと作ってはいるんですが。なかなか「国に対して」の要求についても、数を減らしていくのは、むつかしい状況です。

 少なくとも、これは自治体に対する要求なのか、国に対する要求なのかがわかるように、今回は作ろうということで、「国に対して」の項目を作っています。

 ここでは、人権条約関係の早期批准の問題を最初に持もってきています。日本が世界の先進国の中でも、こういった分野については、そうとう遅れていることについても含めて、自治労という全国組織が政府に対して、しっかり意見を反映をしていこうということで<1>ができてます。

 <3> 仮称「差別禁止法」について、こちらの人権条例プロジェクトの議論などで、中身についても具体的に明らかにされるのだろうと期待しておりますが。そういった差別の定義なども含めた整理した上で、「差別禁止法」というかたちで法律の制定を求めていくことを、従来から、そのようなかたちで整理をしてきたということです。

 <5>では子どもの関係、<4>ILO111号(雇用と職業上の差別禁止)条約の関係は、みなさんもご承知のことかと思います。今年は、そういえばエイズとかハンセン病などの病気の方に対する差別偏見の部分が、前回よりは項目として少し強調して入れている部分があるかと思います。

「政策提言<3> 『外国籍市民も住民です』が基本の地域政策を」

 地域において、そこに住んでいる人たちに対して住民として権利を与えよう、ということを基本に、具体的な課題について整理をしていくことです。

 ここで人権基本条例の対象に、外国籍市民を入れるのは当然のこととして。今、自治労的には、地方参政権の問題の取り組みが、国会対策、法案対策の中でも、かなり大きなウエイトを占めております。できるだけ早急に、ここのところは実現を図っていきたいと考えています。

 なかなか法案が国会の場では先に進まない状況で、議員立法でいろいろ出ていても、実現まで道は遠いんですが。今のところ、自治労的には今国会においても、重点課題として、実現をめざしていきたいなと思っています。

 外国籍市民の市議会員の登用、住民投票条例などの関係については、徐々に自治体の中では具体化されつつあります。

 特に「住民投票条例」などについては、20歳以下の方がたも入れたり、外国籍の方も入れたりする中で、今進んでいる市町村合併の課題などを中心に、条例制定をして具体的に実践する自治体が増えてきております。そういった動きを加速させながら、すべての自治体にそういった条例を作らせていく、あるいは実績を広げていくことが、それぞれ全国組織である自治労の大きな課題かと思います。

 <6> オーバーステイあるいは不法就労などの関係で、かなり外国籍の労働者の皆さんが賃金も含めた差別をされていますから、そういった部分について労働行政なども含めて国が権限の多くを握っておりまして、自治体でできることは、かなり限られているんです。少なくとも相談などについては、自治体が責任をもってやれる体制を作りたいということを、ここで記載しています。

 <7> 年金法の関係については、改正されて国籍条項が撤廃されているんですが、そのときに救済ができなかった方が制度上残っております。そこの救済を、国はもう既に改正は終わったと具体的な手を差し伸べることがないものですから、自治体として代わりに、それに見合うようなかたちで独自の救済策ができないかということで書いています。年金というかたちは自治体の場合取れませんが、何らかのかたちの支給をすることで、そういった救済をすることが趣旨です。ま、具体の設計については、これから詳細について考えていく必要があるかなと思います。

 <8> 外国籍市民への入居差別などについては、この間、多く全国でも事例として出ていますので、自治体としてそのことに対応することが、非常に今重要になっていることが書かれています。

 <9> 日本語のわからない方がせっかくサービスが受けられる分野があっても、なかなか活用ができないとか、そもそもどこに相談に行けばいいのかわからない状況があります。自治体で外国籍市民のための、そういった手続きなどについても、きちっと教えられる、そういった体制などは、たぶん英語圏の方については、比較的行政の側も対応がしやすいと思いますが。それ以外の言語の方、特に日本の中でも、なかなか言葉に習熟している方を見つけるのがむずかしいような国の方もかなりおられますから、そういった方なども含めて、本来すべて対応できるようにするのが理想ですが。せめて、英語以外のいくつかの主要な外国語などを含めた「暮らしの手帳(仮称)」に類するものを作って、きちっとフォローができる体制を作らせよう、ということです。

 <10> それにかかわるんですが、英語ぐらいですと、たいていの自治体でも対応できると思うんですが、それ以外ですと、なかなかむつかしいということで。だからといって、職員としていろんな分野の外国語の専門家を抱えるのも、コスト的にもなかなかできない。地域で、そういった分野に習熟している学生、主婦とかを含めて、言葉をご存知の方がおられれば、登録いただき、何かあったときにお手伝をいいただくシステムを、大きな都市は何とかなると思うんですが、できるだけ規模にかかわらず自治体として用意をさせようと考えています。

 <11> 健康保険の今の制度では、不法就労者でない限り、健康保険などにも入れられるわけですから。そのことが1つあること。加入資格のない外国籍市民については、自治体として独自のサポートを考える必要があるかな、ということで、整理をしました。

 ‡M 「多文化共生」という言葉について、自治労的には、かなり強調して使うようにしております。いろんな国の方がたと、いろんな文化を交流させていく前提で、地域の中で、さまざまな取り組みを広げていこうということが、あります。

 ‡N ずいぶん前から自治体としての大きな課題となっています。国籍条項についても1部あるいは一般の職員、決定権のない職員とか、そういった分野には国籍条項の撤廃は広がっています。なかなか管理職レベルまでは開放されていない現状があります。長野県田中知事は「すべての国籍条項を撤廃する」と先日、おっしゃっていたようです。そういった分野を広げていきたいということで整理しています。

 「国に対して」は、先ほども申しました「地方参政権」の問題が自治労的には最大の国会対策の柱です。人権分野について、一番重点をおいている柱ということで具体的な取り組みをしていこうと思っています。

 そういったことも含めて、具体的な取り組みを、これから全体で確認をすれば、具体的に進められるということで人権として整理をしてきたということになります。

(2)「社会保障」

 社会保障関係では、少し戻ることになりますが「4.社会保障」でいくかの分野について、人権ともかかわるので記載をしております。

「政策提言<2> 安心のための生活設計と安定のための年金制度・健康保険制度」

 ここではユニバーサルサービスとしての行政サービスを、きちっと確立していこう。そこに差別がない、あるいは国籍など問わない。地域としてきちっとやっていくことを前提に、かなり細かく課題について整理をしております。残念ながら、この分野について、年金とか健康保険とか国の制度にかかわる分野が多いものですから、自治体ができる範囲がかなり少なくて、国に対する要望が中心になっております。細かな制度で、現行制度で矛盾がいっぱいあるものですから<1>から‡Rまで、相当細かく改善策を入れています。その中で、外国籍市民の無年金の方に対するフォローとか、女性差別などに対するフォローとか、高齢者に対するフォローとか、いくつか人権に対する課題があるということになります。

「政策提言<3> 高齢者のくらしと介護サービス」

 高齢者に対する差別をなくす、あるいはフォローをする、あるいは障害者に対するフォローをすることで、いくつかの柱を立てて整理をしてきています。この分野は、介護サービスなども含めて、自治体が独自にやれるものもかなりあるので、自治体に対する要望の方が多くなっております。

 国よりも自治体として、自分たちの権限を生かして、きちっと対応していこうということで、具体的に整理をしてきたということです。

 介護サービスについては提供者にもなれますし、そのチェックもできることがありますし、それらを活用して対応したいことがあります。自治体として相談窓口、苦情なども含めて、ちゃんと確立をしていこうということが、中心になっております。

「政策提言<4> 子育ち・子育て支援」

 自治体と国に対して、いくつかございます。「子育ち」と「子育て」で、何がどうちがうのかというのは、なかなか私もうまく説明できないんですが。主体的に子どもが育っていくことを家庭や地域でサポートしていくのは「子育ち支援」。「子育て」は基本的には、教育なども含めて、周りの方が子どもたちに積極的にかかわって、フォローアップをしていくというニュアンスが強いかと思います。

 自治労は、一時「子育て」は使わないで「子育ち」一本で用語としてはいこうか、という時期もありました。「子育ち」「子育て」なかなか使い分けのできない用語ですが、両方並べて、今回については支援策として整理しているということです。

 ここでは「子どもの権利条約」とのからみが、1つ大きな柱としてあります。保育と幼稚園も含めた教育の関係を整理する。とりわけ、行政の中でも、都市よりも山間地域や離島など、環境の厳しいところで保育や教育を、きちっと確保していくかということが、今課題になっておりまして。それらについても意識をしていることがあります。

 障害児保育などについても、この分野で入れています。

 学童保育、体育指導の増大にもふれていますが、一方で小泉内閣が保育所の増設などを大きく掲げていたりしています。単純に数だけ増やすだけではなく、自治労的には、その中身、質も問いながら具体的な対応をしていこうということが前提になっております。それらも踏まえつつ、この分野では政策として掲げています。

 1つひとつみますと、1行1行簡単に記載していますので、本来その専門分野の皆さんが読んでいただければ、ある程度言わんとすることは、ご理解していただけるかと思いますが。専門ではない皆さんが、パッと読んで、こういったそれぞれの分野について、なかなかそうもいかない「つくり」です。そういった意味で、これはカタログ集、メニュー集というようなかたちで位置づけております。実際の具体的な中身について取り組もうとするときは、個別にわれわれの専門局がフォローしていくことが前提になっておりますので。冒頭申しあげればよかったのですが、その点をご理解いただければ、と思っております。

 その他、障害者のサポートなどもあります。四角囲みは、そのときどきの重点的課題について概要として整理しておりますので、もしお気づきの点があれば、まだ直りますから、これは問題ではないかということがあれば、ご指摘いただければありがたいなと思っております。

(3)「男女平等」

 男女平等政策について自治労の場合は、大きく3つの課題があります。

 自治労という組織そのものに男女平等の理念、具体的システムとして、きちっと作りかえていく。労働組合がまず実践できることを前提に、自治労を変えていこうという課題です。

 2番目に、職場。行政の中身、仕事をしている職員に、あるいは仕事の中身、分野、審議会とかも含めて男女平等を進めていこう。

 3番目には地域。それぞれの自治体の、地域の範囲すべてに男女平等の理念を広げていく。

 この大きな3つの柱を前提に、進めていこうとしています。一番遅れているのが、自治労の中身をちゃんとすることです。これが一番むずかしくて、いつも江橋先生にも、たえずご批判をいただきながら、頭を抱えながらやっています。具体的には、自治労には100万を超える組合員がいますが、それぞれ各県ごとに大きなまとまりの組織がありまして、その他に各自治体ごとに組織があります。その中で、組織の代表、主要な役員がどうしても男性で占められる。組合員の数でいきますと、四割が女性なんですが、役員レベルでいきますと女性は1割にも満たない現実があります。特に本部などの主催する会議などは、更に女性の割合が減ってしまいます。いつまでたっても男女平等は、進めない。女性のための枠を強制的に用意することを試みてはいるんですが、単組レベルの役員の選出の仕方なども含めて根本的に全体の仕組みと意識が変わりませんと、このへんはむずかしいところもあります。本部的に、まず当局にものを言う前に、自らの襟を正すためには、どうすればいいか。自治労の規約その他で、役員は半々にしないとダメだ、と強引に決めてしまうかという議論が、内部ではあるんですが。なかなか、そんなふうにはいかないな、というのが、率直なところです。

 そういったところを踏まえて「自治体に対して」「国に対して」でいくつかの課題を進めています。

 特に、今自治体に関しては「男女平等参画」が条例とか計画について、きちっと取り組ませるのが大きな課題です。それらを基本に採用差別とか、団体の中での委員などの差別の問題なども含めて、少し整理をした(政策提言<1> 政策方針決定過程への男女平等参画の推進)。

 雇用の問題で、これは地域的にかかわる課題でして、もちろん自治体の中の雇用を平等にしていくことが基本なんですが。地域に対しても、条例などのシバリを使って、できるだけやっていく。どこまで強制力を持てるかという問題はありますが、少なくともそういう積極的な対応を自治体の側に求めていく必要があるかなということも含めて、雇用の問題について進めていく(政策提言<2> 雇用の男女平等の促進)。

 「政策提言<3> 仕事と生活の両立支援」では、家庭と仕事の両立ということで、進めようとしています。ここも、なかなか具体的に制度として、その部分についてちゃんとやることは難しいところもあります。

 支援策としていくつか並べていますが、社会的にはなかなか変わっていかない分野なのかな、ということです。4番目に、具体のさまざまな制度について男女平等の視点が欠けている分野について、自治労的な視点で拾い出せる部分について並べてきたということです(政策提言<4> 男女平等の視点での制度慣行の見直し)。

 政策的には、そういったかたちで、男女平等についても進めていこうということになります。

(4) その他、運動として、レジュメの後ろの方「男女平等についての取り組み」ということで方針をもっております。

 昨年2002年から、産別の統一闘争として29分のストライキ配置なども含む一大闘争として、男女平等の推進を掲げ、スタートをしました。今年も6月を重点期間、集中取り組み期間ということで、対応していくことになります。内部的には、産別統一闘争を設定したんですが。ひじょうに全国的には意思統一が悪くて、「なぜ統一闘争にするのか」というレベルから、特に多くの男性役員の方から批判などをいただきながら、今ほんとうの意味で自治労として受けとめ頑張っていこうという意思統一をするため、2年目に入って頑張っています。今年の春闘の1つの柱として「男女平等」について進めようとしております。

(5) 政策とは別の自治労の人権の運動

 昨年2002年8月の山口大会、2003年1月31日に開催した中央大会等で、当面の人権にかかわる課題についての取り組み方針を、参考までに載せさせていただきました。ここでは、人権擁護法案の対応などが大きな課題ですので、それらを中心に参政権の問題などを含めて、対応していこうということが記載されております。

 基本の大会の方針と、中央委員会はその3カ月ごとの具体の取り組みということで作っておりますので、中身について読み比べていただいて、当面の対応ということで見ていただければと思います。

 その他、徳島自治研全国集会ということで記載しています。10月30日から31日にかけまして、全国から2500人ぐらい徳島に集まりまして、この政策集の10本の柱などをメインに、それぞれ分科会を持ちまして、課題について議論をいてきました。人権については、ここで記載しております通り、部落解放の問題については解放同盟から西嶋さんにメインスピーカーとしてご参加いただき、議論をしてきたところです。在日外国人(自治労的には「外国籍市民」とするんですが)の人権ということで、2日めにはレポート発表やビデオ上映などもおこなってきました。

 自治研全国集会については、すべてテキスト化してCD-ROMにして、必要な方にお配りできるように準備しています。そもそもの全国集会のレポート集あるいはそれに関する資料などについても、CD-ROM化して作成しております。もし、ご関心がある方は本部の方にご要請いただければ、そのかたちで資料はお送りしたい。全国のレポート、実践について、具体の状況などについて報告がなされておりますので、それらの必要があればお送りし、参考にしていただければと思います。

(6) 『男女平等の職場づくりLet's Step』

 うちの基本政策集は、予算がなくなり白表紙になると思います。去年から取り組んでいます男女平等の関係は、お金をかけて、立派なガイドブックを作っております。

 中身については、セクシャル・ハラスメント対策、労働時間関係、仕事との両立の関係家庭責任との両立の関係、健康・妊産婦保護を含め整理をしてお読みいただいて、具体的に参考にしていただけるような資料として整理しております。

 中身的には、法律がどうなっているかがわかる分野とか、条例として何か作るとすればどんな条例がいいのかという素案を用意したり、具体的に要綱として必要なものとしてどういうものがいるのかという用意をしたり。そういったことを分野別に整理して、読みやすく整理してまとめたものということになります。

 政策集も、こんな感じになれば、もう少し使い勝手がよくなると思うんです。が、こういうかたちにしますと、資料も含めて政策集の中身が膨大なものですから、そうとう厚くなってしまうこともあり、今回はカタログ集、メニュー集みたいなかたちで文言についても整理しております。そのへんは、もう少し予算と時間がありましたら、きちっと資料集もつけたものに変えたいなと思っています。

 自治労のホーム・ページに政策集の完成版を載せ、一般公開するかどうかを決めておりませんけれども。できるだけ広く国民、市民の皆さんに公開したいと思っています。その辺も含めて、3月には間違いなく完成版は用意致しますので、必要があれば、ぜひこのバージョンではなく完成版をほしいと申し出いただきたいと思います。

 政策そのもので1カ所、大きな誤りがありまして訂正をお願いしたいのです。

 「8.教育・文化・スポーツ」「政策提言<1> 市民参加による学校運営の推進」の「<9>少子化に伴い統廃合を進めるのではなく、地域の複合的なコミュニティ施設・機能として学校を新しく位置付け児童生徒や保護者による学校選択権の拡充を目的として通学区を自由化するよう求めます」となっていますが、これを「学校選択権を拡充するよう求めます」というかたちに修正をお願いします。

 「通学区」ということは、結果としてそういうこともあり得るかもしれませんが、意図と違ったかたちで原案を担当の方で作っておりまして。チェックがもれていて、気づいていなかったものですから。ここは、本来の趣旨、通学区の自由化というと違った意味のさまざまな問題を生じますので。そういうことではなくて、子どもの権利にも配慮して学校選択権など、もう少し自由にできる分野を広げれる部分をめざしましょうという趣旨ですので。そのように整理をさせていただきたいと思います。

 教育の部分についても、子どもにかかわる部分で、人権とかかわっていくつかございますが、時間が過ぎておりますので、たいへん雑駁ですが自治労の人権政策についての概要について報告をさせていただきました。ご静聴ありがとうございました。

2003.02.21に報告されたものです