調査研究

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2006.07.24
部会・研究会活動 <人権条例・人権のまちづくり研究会>
 
人権条例・人権のまちづくり研究会・学習会報告
2006年05月25日
国際文化公園都市「彩都」〜時代を先導するユニークな都市づくり

品川 忠司(大阪府 住宅まちづくり部)
小原 啓蔵(UR都市機構)
植松 宏之(阪急電鉄株式会社)

〈第1報告〉

 「国際文化公園都市 彩都」とは、大阪府茨木市北部から箕面市東部に渡る広大な新たな開発都市であり、742ヘクタールの開発エリア、5万人規模の人口を予定している。居住地区と、施設地区とが混合する事業であり、西部・中部・東部に分かれているが、その中部は「ライフサイエンスパーク」というシンボルゾーンを配置し、その周辺にはバイオ関連の研究施設が設置され、教育振興を図り、産業界との橋渡しをするという機能を有している。

 この取り組みの基本的な目的とは、都市と自然が調和するアメニティの高い環境を整備することであり、国際交流、学術文化、研究開発という特色ある都市づくりを行うものである。

現時点では、住居の第1期分譲が行われ、戸建て・マンション合わせて1400戸ほどが完売した。道路や公園、モノレール駅、小学校、保育所などが建設されつつある。

〈第2報告〉

 この彩都では、都市コミュニティ再生の取り組みとしては、ニュータウン作りの集大成として、「新郊外居住」を提案している。大量供給ではなく、一人一人のニーズにこたえていくという姿勢である。美しい風景を残し、そして住民参加のもとで街づくりを進めている。そのために、従前販売拠点として利用していた施設を「彩都まちづくり館」として、地域住民の各種活動のために開放している。この施設で、「まちそだてネットワークミーティング」を開催し、住民の各種サークルのネットワーク化を図った。

 また、まちびらきフェスティバルでは、近隣の学校等にも協力を得た。その後、ウェルカムパーティを開催し、夏祭りの実施を決めた。ほぼ全ての住民が企画・協賛依頼・模擬店出店に参加した。また、タウンミーティングを行い、それぞれができること、やりたいことを出し合い、ニーズ調査を行った。

 掃除や防犯、自治会の設立、子育て支援、花植え、シニアサークルなどの取り組みが進められている。その後も、「おしゃべりサロン」を開催し、住民が気軽に立ち寄れるように、サークルの作品を展示するなど、毎月企画を立てている。また、「コミュニティ活動最初の一歩助成金」制度を立ち上げ、総額3万円を限度に助成し、住民の自主活動促進をはかっている。

〈第3報告〉

 阪急電鉄の立場としては、開発地区の半分以上の土地を所有しているが、その活用について、大阪府ニュータウン事業を通じてテーマを出してもらい、これを事業者が実現するという枠組みである。住宅と事業施設とがミックスされたプランであり、行政と連携して進めるというのが特徴である。その中で、住宅作りと施設誘致のほかに、若い方々、子育てを大事にするというメッセージを発している。

 住宅販売においては、単に住宅ではなく、この「彩都のまち」を買っていただきたいと提案している。その結果か、販売状況は盛況であり、即日で完売した。また、まちの住み手と作り手とがともに「コミュニティ」と「街のデザイン」を作っていくという姿勢も、大事にしている。また、共用施設をみんなでシェアリングすることがコミュニティの醸成につながるという発想で取り組んでいる。

 なお、質疑においては、これまでのニュータウンが、子育て世代の集中という現象を生み、その後20年を経てまちが急激に高齢化した点をどう踏まえているかという課題や、想定される住民層がミドルクラス以上という点から、多様な人びとが住む町というイメージが乏しくなってはいないかという問題、さらには、複数の自治体にまたがっていることから、行政サービスの齟齬が生じていないかといった論点が出された。(文責:李嘉永)