調査研究

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2009.02.23
部会・研究会活動 < 人権啓発の現状把握と効果検証に向けた指標作成研究事業>
 
人権啓発の現状把握と効果検証に向けた指標作成研究会
2008年09月1

昨年度調査から見た人権啓発の内容面に関する分析

内田 龍史(部落解放・人権研究所)

本研究会は、昨年度に大阪府内自治体に対する調査を行い、そこで得られた知見をもとに報告書(『人権啓発の現状把握と効果検証に向けた指標作成研究事業報告書』大阪人権教育啓発事業推進協議会』)を発刊したが、それぞれの人権啓発実践の内容に関する分析は積み残されたままであった。そこで本報告では、人権啓発実践の内容面についての分析を行った。ここで分析の対象とするのは、大阪府内自治体における、2006年度に実施された、職員向け・人権協(人推協)会員向け事業を除く677事業である。

事業の方法・媒体としては、「イベント」(22.0%)「講座」(20.8%)「講演会」(15.2%)が多い。これら講演会・講座・イベントの内容としては、「講演・講話」が61.1%と最も割合が高く、以下、「その他」(26.7%)「映画・ビデオ」(15.3%)「ワークショップ」(14.5%)「見学・フィールドワーク」(12.2%)と続く。

人権問題のテーマとしては、「その他」が55.7%と多数を占めており、以下、「女性」(21.6%)「子ども」(21.4%)「障害者」(18.5%)「同和問題」(17.6%)「外国人」(14.3%)「高齢者」(11.2%)となっている。現状において、「同和問題」をテーマとした人権啓発実践の割合は多くはないことがわかる。

事業の効果測定については、行っているのが36.4%であるが、その内容はアンケートの実施がほとんどである。

また、各実践のねらいについても把握しているのだが、これらの事業は人権問題学習としては成立しているものの、具体的にどのような「人権(権利)」概念に該当するのか明確でないものが多く、人権問題学習と具体的な人権(権利)学習の連関・統合が今後の人権啓発事業の課題であると言えよう。