調査研究

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2005.07.11
部会・研究会活動 <「労働者の個人情報」研究会>
 
「労働者の個人情報」研究会・学習会報告
2005年4月13日
労働者の個人情報保護」研究会の趣旨と、今後の予定について

はじめに:田中昭紘企業部会長

 本年度、研究所企業部会に、「労働者の個人情報保護」研究会を設置した。この前段には、今後評価される企業とは何か、これを「企業の社会的責任」(CSR)の評価項目を軸として検討を進めてきた。今回はさらにテーマを絞り、「労働者の個人情報保護」に焦点を当てている。そういった意味では、同企連・企業部会の研究としては第2ステージと捉えることができる。参加者の力を結集して、研究を進め、研究所企業部会としての成果を収め、企業・社会の役に立つ研究テーマをこなしてまいりたい。ぜひご尽力賜りたい。

研究会の趣旨と内容について:中村清二研究部長

 本年4月1日から個人情報保護法が全面実施された。とりわけ雇用管理、労働者の個人情報の保護に関しては、採用段階から退社後の取り組みも含まれている。つまり、採用に関わる就職差別の問題も関わってくる。その意味では、同企連加盟企業の皆さんが進めてこられた公正採用選考の取り組みなどが、今回の個人情報保護法の全面実施によって全体化していく可能性がある。厚生労働省のガイドラインの前段では、職安法改正に伴う労働大臣指針や、2000年の行動指針が策定されている。この保護法に関しては、いわゆるセンシティブ情報の収集禁止の規定がない点で、解放同盟も批判してきた経緯があるけれども、今般の厚労省の指針には、センシティブ情報に対する配慮が盛り込まれている。そこで、この中に人権という視点を明確に位置付けることが可能かということをぜひ検討していきたい。

 具体的には、個人情報保護に関する企業の取り組み、とりわけ労働者の個人情報保護の取り組みに関するアンケート調査を実施したい。それに加えて、先進的な企業におこしいただいて、実際の取り組み状況をインタビューしていきたいと考えている。この二点を整理して、これをまとめてまいりたい。

アンケートの内容について:李嘉永

 アンケートは、大きく分けて4つのパートに分かれている。パート1は簡単な企業のプロフィールをお聞きしている。パート2以降が、実質的な内容である。パート2は、一般的な個人情報保護に関して、保護方針や保護規程を取りまとめているか否かを尋ねている。

パート3は、これらの方針に基づいて実際に取り組みを進めておられるか否かを伺っているのであるが、全般ではなく、削ぎ落とした内容となっている。基本的には、いわゆる「安全管理措置」としてどのような取り組みを進めているかという側面で項目を立てている。すなわち、「組織的安全管理措置」、「物理的安全管理措置」、「技術的安全管理措置」などである。さらに、従業員に対する啓発・教育や、相談窓口の設置などの有無について尋ねている。

パート4においては、実際に雇用管理の枠内でどういった取り組みが進められているかを伺っている。まずは、労働者の個人情報としてどのようなものを保有しているかを尋ねている。続いて、雇用管理に関する個人情報の取扱規程の内容、責任者の選任、研修の実施等について伺っている。さらに、個人情報の処理に関する委託の関係、情報取得の際の同意のあり方、採用応募者や退職者の個人情報の管理、第三者提供(健康情報の管理など)、さらには、本人からの開示請求、とりわけ人事考課情報についても伺っている。また、労働者の個人情報保護に関しては、労働者代表(とりわけ労働組合)の関与が望ましいとされており、この点についても伺っている。

アンケート内容はかなり盛りだくさんになっているので、どのようにスリムにするかという観点からご意見をいただきたい。

(文責:李 嘉永)