2005年4月1日より、「個人情報の保護に関する法律」が全面実施された。これに伴い、各事業者は、全ての個人情報について、適正に取り扱うことが法律上求められることとなった。この個人情報保護法は、顧客や取引先のみならず、従業員(採用段階から退職後を含めて)の個人情報についても適用されることとなり、厚生労働省は、個人情報の取扱いのうち、雇用管理、さらには従業員の健康情報について、別途ガイドラインを設け、各事業者の取り組みを促している。
雇用管理における個人情報の取扱いに関していえば、社会的身分などのセンシティブな情報の取得が、社会的差別を助長する場合があることから、部落問題と極めて密接な関係を有している。また、健康情報の漏えいが、本人の権利利益を損なうことはいうまでもない。
そこで、当研究所では、とりわけ雇用管理における個人情報の取り扱いについて、個人情報保護法の全面施行を踏まえ、各企業の取り組み状況について調査を進めるべく、「労働者の個人情報保護」研究会を設置した。具体的な研究内容としては、労働者の個人情報保護に関して、企業アンケートを実施し、全般的な取り組み状況を把握するとともに、特に先進的な企業の取り組みについて聞き取り調査を行なう。これらを通じて、労働者の個人情報保護について、より円滑な取り組みの推進に貢献することとしたい。