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見下し意識については、同和地区で生活していることで“低く見られたりすることがある”(「しばしばある」「たまにある」「しばしばもしくはたまにの区分不明」の合計)という意見が、解放大学全体で83.3%、府全体で55.9%に対し、「そういうことはない」はそれぞれ8.3%、14.0%で、解大修了生調査の“低く見られたりすることがある”の割合が高くなっている。 府全体の「わからない」と「無回答・不明」の合計は30.1%であり、解放大学全体の8.3%と比べ高くなっている。 <4>見下し意識の解消に向けた将来展望(問15で“低く見られたりすることがある”と答えた人に) 問15-1 それは、近い将来、なくすことができると思いますか。(○は1つ)
表13 見下し意識の解消に向けた将来展望 (上段:人、下段:%)
“低く見られたりすることがある”と回答している人に、そのような見方を近い将来なくすことができるかをたずねたところ、“なくすことができる”(「完全になくすことができる」「かなりなくすことができる」の合計)が、解放大学全体で86.9%、府全体で63.5%、「なくすことは難しい」と回答した人はそれぞれ12.1%、35.4%で、解大修了生調査の“なくすことができる”の割合は高くなっている。 また、2005年調査の「なくすことは難しい」を職業別に見ると、民間企業・団体の勤め人(従業員数300人以上)の値は41.7%と公務員、教員より高い。
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4 同和問題に関する学習と経験(1) 同和問題についての学習経験問16 あなたは、学校、職場及び地域で、同和問題についての学習をしたことがありますか。(○はいくつでも)
表14 同和問題についての学習経験 (上段:人、下段:%)
同和問題について何らかの学習経験のある人(「はっきりおぼえていない」「受けたことはない」「無回答・不明」を除いた割合)は、解放大学全体で97.3%、府全体で56.0%である。 学習経験について解大修了生調査を職業別に見ると、「職場の研修で受けた」の値は公務員、教員で93.5%、民間企業・団体の勤め人(従業員300人以上)で90.9%と非常に高く、「小学校で受けた」「中学校で受けた」「市民対象の講座などで受けた」「PTAや民間団体が主催する研修で受けた」はそれぞれ3割前後となっている。ここには、問12-1でも見られたように、学校において同和教育を受けていない世代である50代が解大修了生の半数を占めることが影響していると思われる。また、「職場の研修」「市民対象の講座」「PTAや民間団体が主催する研修」は成人後に受けることが多いと考えられることから、解放大学修了生は成人後に同和問題について学習した経験を比較的多く有するということができる。 これに対し、2005年調査を職業別に見ると、「小学校で受けた」「中学校で受けた」は4割~5割と高い。また、「職場の研修で受けた」の値は公務員、教員で60.1%、民間企業・団体の勤め人(従業員300人以上)で25.6%であるが、「市民対象の講座などで受けた」「PTAや民間団体が主催する研修で受けた」は解大修了生調査と比べ低い値となっている。 (2)差別的情報・反差別的情報を聞いた経験<1>「同和地区の人はこわい」という話を聞いた経験問17 あなたは「同和地区の人はこわい」というような話をきいたことがありますか。(○は1つ)
表15 「同和地区の人はこわい」という話を聞いた経験(上段:人、下段:%)
「同和地区の人はこわい」という話を聞いた経験のある人は、解放大学全体で81.6%、府全体で60.7%であるのに対し、「ない」はそれぞれ18.2%、35.8%となっている。 同和問題について学習経験がある人の割合が高い解放大学修了生は、「同和地区の人はこわい」というネガティヴ・イメージについても多くの人が認識しているという結果となっている。 <2>「同和地区の人はこわい」という話を聞いた人との関係(問17で「同和地区の人はこわい」という話をきいたことが「ある」と答えた人に) 問17-1 それは誰からですか。(○はいくつでも)
表16 「同和地区の人はこわい」という話を聞いた人との関係(上段:人、下段:%)
「同和地区の人はこわい」という話を聞いた経験のある人に、その話を聞いた人との関係をたずねると、解放大学全体では、「友人」が39.2%と最も高くなっており、次いで、「家族」38.5%、「職場の人」25.9%の順となっている。 これに対し、府全体では、高い順に「友人」が40.6%、「家族」35.1%、「近所の人」30.5%となっている。 <3>「同和地区の人はこわい」という話を聞いたときの感想(問17で「同和地区の人はこわい」という話を聞いたことが「ある」と答えた人に) 問17-2 その話を聞いたとき、どう感じましたか。(○は1つ)
表17 「同和地区の人はこわい」という話を聞いたときの感想(上段:人、下段:%)
「同和地区の人はこわい」という話を聞いたときの感想として、解放大学全体では「そのとおりと思った」が3.3%、「そういう見方もあるのかと思った」42.9%、「反発・疑問を感じた」23.5%であったのに対し、府全体では「そのとおりと思った」が12.2%、「そういう見方もあるのかと思った」62.5%、「反発・疑問を感じた」12.3%となっている。 府全体と比較すると、解放大学修了生調査の方が「そのとおりと思った」「そういう見方もあるのかと思った」の合計が46.2%であり、「同和地区の人はこわい」という言説を疑問を感じずに受け入れているわけではないといえるが、この値は決して低いものではない。さらに、解大修了生調査の「無回答・不明」の値も18.6%と高い。 また、2005年調査の公務員・教員「反発・疑問を感じた」の値は24.4%と高く、解大修了生の公務員、教員の値との差はほとんどない。 <4>同和対策がやりすぎ・不公平という話を聞いた経験問18 あなたは、同和対策がやりすぎであったとか、不公平だ、というような話を聞いたことがありますか。(○は1つ)
表18 同和対策がやりすぎ・不公平という話を聞いた経験(上段:人、下段:%)
同和対策がやりすぎ・不公平という話を聞いた経験が「ある」と回答した人は解放大学全体で85.5%であるのに対し、「ない」と回答した人は14.1%である。 これに対し、府全体では、「ある」が47.8%、「ない」が47.5%であり、2005年調査で「ある」が最も高い公務員、教員62.8%と比較しても、解大修了生がこの言説を知っている割合は高い。同和問題について学習経験がある人の割合が高い解放大学修了生は、「同和対策がやりすぎ・不公平」というネガティヴなメッセージについても多くの人が認識しているといえる。 <5>同和対策がやりすぎ・不公平という話を聞いた人との関係(問18で同和対策がやりすぎ・不公平だ、という話を聞いたことが「ある」と答えた人に) 問18-1 それは誰からですか。(○はいくつでも)
表19 同和対策がやりすぎ・不公平という話を聞いた人との関係 (上段:人、下段:%)
同和対策がやりすぎ・不公平という話を聞いた経験のある人に、その話を聞いた人との関係をたずねたところ、解放大学全体では「職場の人」が43.1%と最も高くなっている。次いで、「友人」31.1%、「その他」19.0%、「近所の人」17.5%となっている。解大修了生調査の「その他」の値が比較的高いのは、解放大学の受講時にこの言説を聞いた人が、「その他」と回答したからではないかと思われる。 これに対し、府全体では、高い順に「友人」が42.4%、「近所の人」28.5%、「職場の人」28.3%、「家族」21.2%となっている。これにより、友人や近所同士で、あるいは職場や家庭において、「同和対策がやりすぎだ」という会話が交わされていることが想像される。 <6>同和対策がやりすぎ・不公平という話を聞いたときの感想(問18で同和対策がやりすぎ・不公平だ、という話を聞いたことが「ある」と答えた人に) 問18-2 その話を聞いたとき、どう感じましたか。(○は1つ)
表20 同和対策がやりすぎ・不公平という話を聞いたときの感想(上段:人、下段:%)
同和対策がやりすぎ・不公平という話を聞いたときの感想を見ると、解放大学全体では、「そのとおりと思った」が6.8%、「そういう見方もあるのかと思った」71.2%、「反発・疑問を感じた」19.5%であったのに対し、府全体では、「そのとおりと思った」31.4%、「そういう見方もあるのかと思った」51.5%、「反発・疑問を感じた」9.8%となっている。 2005年調査と比較すると、解大修了生調査の「そのとおりと思った」の値は低いのだが、「そういう見方もあるのかと思った」は7割を超えている。「そういう見方もあるのかと思った」という言葉の意味合いは様々であろうが、解放大学をはじめ人権教育・人権啓発の場面にてこの問いを考える機会を作っていくことは必要だと思われる。 他方、2005年調査の公務員・教員を見ると、「そのとおりと思った」が21.5%と高い半面、「反発・疑問を感じた」の値も20.4%と高く、解大修了生の公務員・教員の18.2%より高くなっている。
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5 同和地区に対する忌避的意識・態度(1)同和地区に住む人とのつきあいの状況<1>同和地区に住む人とのつきあいの有無問19 あなたご自身、同和地区に住んでいる人とつきあいはありますか。(○は1つ)
表21 同和地区に住む人とのつきあいの有無(上段:人、下段:%)
同和地区に住む人とつきあいが「ある」と回答している人は、解放大学全体で60.7%、公務員、教員72.0%、民間企業・団体の勤め人(従業員数300人以上)45.0%である。この要因として、解大修了生が解放大学を通じて同和地区に住む人と出会う機会を持っていることが考えられよう。 2005年調査では、府全体が23.4%、公務員、教員41.2%、民間企業・団体の勤め人(従業員数300人以上)18.8%となっている。2005年調査の公務員、教員の値は比較的高い。 <2>同和地区に住む人とのつきあいの程度
(問19で同和地区に住んでいる人とつきあいが「ある」と答えた人に) 問19-1 その方とのつきあいは、どの程度ありますか。(○はいくつでも)
表22 同和地区に住む人とのつきあいの程度 (上段:人、下段:%)
同和地区に住む人とつきあいがあると回答した人に、つきあいの程度をたずねたところ、解放大学全体では、「同じ職場で働いているなど、仕事の関係でつきあっている」が68.4%と最も高く、次いで、「学生時代からつきあっている友人である」が21.1%、「その他」17.6%となっている。「その他」は、解放大学を通じたつきあいを示しているのではないかと思われる。 また、解大修了生調査の公務員、教員では、上記の3つに加え、「福祉や子どもの教育のことなどで、地域での取組みを一緒にしている(したことがある)」17.5%、「盆踊りやまつり、スポーツなどを一緒にしている」13.6%も比較的高い。 これに対し、府全体では、「学生時代からつきあっている友人である」が最も高く35.7%、次いで、「同じ職場で働いているなど、仕事の関係でつきあっている」が35.0%、「近所づきあいをしている」20.0%となっている。 また、2005年調査の公務員、教員では、上記の3つに加え、「福祉や子どもの教育のことなどで、地域での取組みを一緒にしている(したことがある)」23.0%、「盆踊りやまつり、スポーツなどを一緒にしている」19.7%も高く、解大修了生調査の公務員、教員の同項目より高くなっている。両調査とも、公務員、教員が地域を場として同和地区に住む人とつきあう程度が高いという結果が出ている。 また、両調査とも、民間企業・団体の勤め人(従業員300人以上)では、「同じ職場で働いているなど、仕事の関係でつきあっている」「学生時代からつきあっている友人である」(解大修了生調査では「その他」も)で高くなっており、これらの人々が地域で同和地区に住む人とつきあう程度は公務員、教員と比べ低いようだ。 (2)住宅を選ぶ際の忌避意識問20 もし、あなたが、家を購入したり、マンションを借りたりするなど住宅を選ぶ際に、同和地区や同じ小学校区にある物件は避けることがありますか。(○は1つ)
表23 住宅を選ぶ際の忌避意識 (上段:人、下段:%)
家を購入したり、マンションを借りたりするなど住宅を選ぶ際、解放大学全体では、4.1%が「同和地区や同じ小学校区にある物件は避けると思う」と回答し、8.1%が「同和地区の物件は避けるが、同じ小学校区の物件は避けないと思う」と回答、これらを合計した“避ける”は12.2%となっている。「いずれにあってもこだわらない」は62.4%となっている。 府全体では、27.2%が「同和地区や同じ小学校区にある物件は避けると思う」と回答し、16.2%が「同和地区の物件は避けるが、同じ小学校区の物件は避けないと思う」と回答、これらを合計した“避ける”は43.4%となっている。「いずれにあってもこだわらない」は20.8%となっている。 2005年調査と比べ解大修了生調査では、問14、15、17、18の結果からわかるように、同和地区や同和問題に関するネガティヴなイメージの存在を認識している人が多く、その上で、同和地区を避ける人の割合が低くなっている。 2005年調査において、企業や行政などの職場で同和問題研修を受けたことがある人の忌避意識は低いという指摘がなされているが(大阪府土地差別問題研究会啓発WG奥田均近畿大学教授報告(2006年7月19日))、人権についての研修を受ける機会が多いと考えられる公務員・教員を比較しても、解大修了生の住宅を選ぶ際の忌避意識は低いといえる。 だが、「わからない」と回答している人も、解放大学全体で24.4%、府全体で32.1%おり、この問いに対する態度表明を留保している人の割合は少なくないと見られる。 (3)差別的発言に対する態度問23 学校や職場、日常生活の中で、誰かが同和地区の人に対する差別的な発言をしたとき、あなたはどういった態度をとりますか。または、とると思いますか。(○は1つ)
表24 差別的発言に対する態度 (上段:人、下段:%)
学校や職場、日常生活の中で、誰かが同和地区の人に対する差別的な発言をしたときの態度は、解放大学全体では、65.9%の人が「差別的な発言があったことを指摘して差別について話し合う(と思う)」と回答している。次いで、「おもて向きは話をあわせるが何とか差別はいけないことを伝える(と思う)」と回答している人が27.7%であり、この二つの回答で93.6%を占めている。「おもて向きは話を合わせ自分も差別的な言葉を口にしてしまう(と思う)」は0%であった。 府全体では、「おもて向きは話をあわせるが何とか差別はいけないことを伝える(と思う)」と回答した人が最も多く31.9%、次いで、「何もせずに黙っている(と思う)」が22.8%、「ほかの話題に変えるよう努力する(と思う)」が18.2%となっており、解大修了生調査と2005年調査では、かなり異なる傾向が出ている。しかし、2005年調査の公務員、教員では「差別的な発言があったことを指摘して差別について話し合う(と思う)」が38.5%で他の回答より高くなっており、この層の意識の高さがうかがえる。
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6 差別解消に対する意識・考え(1)「差別」に対する考え問11 一般的に「差別」というものについて、あなたはどのようなお考えをお持ちですか。次にあげる(1)~(11)のすべてについてお答えください。あまり深く考えず、頭に浮かんだことを気軽にお答えください。(○はそれぞれ1つ)
表25 「差別」に対する考え
<解大修了生調査> (上段:人、下段:%)
<2005年調査>
解放大学全体を見ると、選択肢のうち積極的な意見について、“賛成”(「賛成」と「どちらかといえば賛成」の合計)が9割を超えたものは、高い順に『(8)差別される人の言葉をきちんと聞く必要がある』97.6%、『(10)差別問題に無関心な人にも、差別問題についてきちんと理解してもらうことが必要である』97.6%、『(1)差別は、人間として最も恥ずべき行為の一つである』96.9%、『(3)あらゆる差別をなくすために、行政は努力する必要がある』96.3%の4項目であった。 また、選択肢のうち消極的な意見について、“反対”(「反対」と「どちらかといえば反対」の合計)が9割以上、あるいはほぼ9割に達したものは、高い順に『(11)差別問題は、差別されている人の問題で、自分には関係がない』98.8%、『(9)差別を問題にすることによって、より問題が解決しにくくなる』90.5%、『(2)差別は世の中に必要なこともある』89.9%、『(7)差別だという訴えを、いちいち取り上げていたらきりがない』88.0%であった。 平均スコアを見ると、4点を超える意見(『(1)差別は、人間として最も恥ずべき行為の一つである』『(3)あらゆる差別をなくすために、行政は努力する必要がある』『(4)差別は法律で禁止する必要がある』『(8)差別される人の言葉をきちんと聞く必要がある』『(10)差別問題に無関心な人にも、差別問題についてきちんと理解してもらうことが必要である』)と、1点台の意見(『(2)差別は世の中に必要なこともある』『(5)差別の原因には、差別される人の側に問題があることも多い』『(6)差別されている人は、まず、自分たちが世の中に受け入れられるよう努力することが必要だ』『(7)差別だという訴えを、いちいち取り上げていたらきりがない』『(9)差別を問題にすることによって、より問題が解決しにくくなる』)とにはっきりわかれている。 他方、府全体を見てみると、解放大学全体で“反対”が多かった項目(『(2)差別は世の中に必要なこともある』『(5)差別の原因には、差別される人の側に問題があることも多い』『(6)差別されている人は、まず、自分たちが世の中に受け入れられるよう努力することが必要だ』『(7)差別だという訴えを、いちいち取り上げていたらきりがない』『(9)差別を問題にすることによって、より問題が解決しにくくなる』)で“賛成”の値がそれぞれ18.9%、41.5%、51.3%、33.8%、33.4%と高くなっている。これらは「被差別者責任論」と呼ばれる考え方であり、解放大学全体と府全体では、差別問題に対する意識・考えに大きな違いがあることがわかる。 表26 「差別」に対する考え(項目別) (1)差別は、人間として最も恥ずべき行為の一つである (上段:人、下段:%)
(2)差別は世の中に必要なこともある (上段:人、下段:%)
(3) あらゆる差別をなくすために、行政は努力をする必要がある (上段:人、下段:%)
(4)差別は法律で禁止する必要がある (上段:人、下段:%)
(5)差別の原因には、差別される人の側に問題があることも多い (上段:人、下段:%)
(6)差別の解消には、まず、自分たちが世の中に受け入れられるよう努力することが必要だ (上段:人、下段:%)
(7)差別だという訴えを、いちいち取り上げていたらきりがない (上段:人、下段:%)
(8)差別される人の言葉をきちんと聞く必要がある (上段:人、下段:%)
(9)差別を話題にすることによって、より問題が解決しにくくなる (上段:人、下段:%)
(10)差別問題に無関心な人にも、差別問題についてきちんと理解してもらうことが必要である(上段:人、下段:%)
(11)差別問題は、差別されている人の問題で、自分には関係がない (上段:人、下段:%)
(2)同和問題を解消するために重要なこと問21 同和地区出身者に対する差別をなくすために、次にあげる意見はどの程度重要だと思いますか。(1)~(8)すべてについてお答えください。(それぞれ1つに○) 表27 同和問題を解消するために重要なこと~差別をなくすための意見~
<解大修了生調査> (上段:人、下段:%)
<2005年調査> (上段:人、下段:%)
解放大学全体で“重要”(「非常に重要」と「やや重要」の合計)の割合が9割を超えるものは、『(4)学校教育・社会教育を通じて、差別意識をなくし、人権を大切にする教育・啓発活動を積極的に行う』(98.3%)、『(3)同和地区と周辺地域の人々が交流を深め、協働して「まちづくり」を進める』(96.1%)であり、極めて高い割合となっている。これらに次いで、『(1)行政が一般的に行っている施策により、同和地区住民の自立を支援する』(80.2%)、『(5)差別を法律で禁止する』(72.7%)、『(2)同和地区住民が差別の現実や不当性をもっと強く社会に訴える』(72.1%)でも高い値となっている。 これに対し、“重要ではない”(「重要ではない」と「あまり重要ではない」の合計)の割合が高い意見は、『(6)同和地区のことや差別があることを口に出さないで、そっとしておけば自然に差別はなくなる』(89.7%)、『(7)同和地区の人々が、かたまって住まないで、分散して住むようにする』(78.5%)であり、解大修了生は同和問題に関するいわゆる「寝た子を起こすな論」や「部落分散論」などの考えを重要と思わない人が多いようである。府全体のこれらの項目を見ると、“重要”の値が“重要でない”を上回っており、さらなる人権教育・人権啓発が必要といえる。 平均スコアでは、『(4)学校教育・社会教育を通じて、差別意識をなくし、人権を大切にする教育・啓発活動を積極的に行う』(4.77)、『(3)同和地区と周辺地域の人々が交流を深め、協働して「まちづくり」を進める』(4.67)で高いが、府全体の平均スコアもそれぞれ3.81、3.69と高くなっている。 他方、解放大学全体の『(8)戸籍制度を大幅に見直す・廃止する』の値は、“重要”52.1%、“重要でない”31.4%と、“重要”の値が比較的低くなっており、同和地区出身者への差別と深い関わりを持つこの問題についてさらに議論する機会が必要といえる。 表28 同和問題を解消するために重要なこと~差別をなくすための意見~(項目別)
(1)行政が一般的にやっている施策により、同和地区住民の自立を支援する (上段:人、下段:%)
(2)同和地区住民が差別の現実や不当性をもっと強く社会に訴える (上段:人、下段:%)
(3)同和地区と周辺地域の人々が交流を深め、協働して「まちづくり」を進める(上段:人、下段:%)
(4)学校教育・社会教育を通じて、差別意識をなくし、人権をたいせつにする教育・啓発活動を積極的に行う(上段:人、下段:%)
(5)差別を法律で禁止する (上段:人、下段:%)
(6)同和地区のことや差別があることを口に出さないで、そっとしておけば自然に差別はなくなる(上段:人、下段:%)
(7)同和地区の人々が、かたまって住まないで、分散して住むようにする(上段:人、下段:%)
(8)戸籍制度を大幅に見直す・廃止する (上段:人、下段:%)
(3)同和問題に対する勢力観問22 同和地区出身者に対する差別について、A、B二人の意見が次のように分かれました。
あなたはA、Bどちらの意見に近いですか。(○は1つ)
表29 同和問題に対する勢力観~同和地区出身者に対する差別についての意見~(上段:人、下段:%)
解放大学全体では、『A.今日では差別は許されない状況にあり、差別する人がやがて孤立してしまう』という意見に“賛成”(「Aの意見に賛成」と「どちらかというとAの意見に賛成」の合計)と答えた人は66.1%で、『B.世間では、まだまだ差別が残っており、差別をなくそうとする人が孤立してしまう』という意見に“賛成”(「Bの意見に賛成」と「どちらかというとBの意見に賛成」の合計)と回答した人(24.2%)を大きく上回っている。 これに対し、府全体では、『B.世間では、まだまだ差別が残っており、差別をなくそうとする人が孤立してしまう』という意見に“賛成”(「Bの意見に賛成」と「どちらかというとBの意見に賛成」の合計)と回答した人が36.5%で、『A.今日では差別は許されない状況にあり、差別する人がやがて孤立してしまう』という意見に“賛成”(「Aの意見に賛成」と「どちらかというとAの意見に賛成」の合計)と回答した人(31.8%)をやや上回っている。 「差別が許されない」社会を作っていくためには、Aの意見が多数を占めるようより一層人権教育・人権啓発に力を注いでいく必要があると思われる。 (新木敬子) |