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2004.06.19
部会・研究会活動 <「人権のまちづくり」事例収集比較研究・提言プロジェクト
 
「人権のまちづくり」事例収集比較研究・提言プロジェクト・学習会報告
2004年5月20日

『地域再生推進のためのプログラム』について

岡先 雅史 (大阪府企画調整部企画室課長補佐)

はじめに
  「地域再生推進プログラム」は、2003年10月に発足された地域再生推進本部(本部長は内閣総理大臣)によって2004年2月に策定された。このプログラムは、地域に限定して規制緩和を進める「構造改革特区制度」とともに小泉内閣の「構造改革」を推進させるための施策である。

  地域再生推進本部では、まず2003年12月に「地域再生のための基本指針」を決定、その基本指針に基づいて2004年1月15日を締切り期限として提案の募集を行った(第1次)。392の主体から673件の提案が寄せられたが、プログラムではこのうち地域限定23件、全国対象118件の計141件の実施が盛り込まれている。

地域再生とは

  地域再生とは、経済的に困難な状況に直面している地域に対して、「地域が自ら考え行動する、国はこれを支援する」ことを通じて、地域経済の活性化と地域雇用の創造を図り、「持続可能な地域再生」を実現することである。

  仕組みとしては、

  1. 地方公共団体と民間事業者等が、国(地域再生推進室)に対して地域再生構想を提案し、構想実現のために必要となる具体的な支援措置について要望する(支援の要望・構想の提案)、
  2. 国は、地方公共団体等からの提案をもとに対応可能な支援措置を決定して「地域再生プログラム」に掲載する(支援措置の決定)、
  3. 地方公共団体は、「地域再生プログラム」の中の支援措置を盛り込んだ地域再生計画を作成して国へ申請する。そしてその計画が国で認定されれば必要な支援措置を受けられる(申請・認定)、

という手順となる。

地域再生に向けた取り組みの概要

第1次提案募集に係っては、権限委譲、行政サービスの民間開放、その他の規制改革等の制度改革等や、施策の利便性の向上や施策の連携・集中、に重点が置かれ検討が進められてきた。

  主たるものを紹介すると、

  1. 補助対象施設等の有効活用として、補助金で整備された公立学校の廃校校舎等の弾力的転用や公共施設の転用に伴う地方債繰上償還の免除、公共施設を転用する事業へのリニューアル債の措置、指定管理者制度の積極的活用や電気工事士免状交付事務の外部委託、PFI事業の積極的活用、中小小売商業高度化事業構想推進事業者(TMO)となれる者にNPO法人を追加等、
  2. 地域の視点に立った雇用対策の推進として、地域再生雇用支援ネットワーク事業の創設や若年者のためのワンストップサービスセンター(ジョブカフェ)の整備等、
  3. 地域再生の担い手育成等のためのノウハウの支援として、「地域再生伝道師」や「地域再生マネージャー」制度の導入、「地域再生支援チーム」の設置等、
  4. 地域の基幹産業の再生のため、中小企業ファンドの組成促進や、コミュニティ・サービス事業の活性化支援等、
  5. 地域観光の活性化等、
  6. 地域のIT化・バリアフリー化等、
  7. 地域再生実験の推進として、地域通貨モデルシステムの導入支援等、
  8. 支援施策の集中として、「まちづくり交付金」等の積極的活用や生涯学習まちづくりモデル支援事業の活用等、
  9. 政策金融等の利便性の向上として、日本政策投資銀行の低利融資やコミュニティ・ファンドの形成支援等、
  10. 地域再生の推進に資する法整備、

 等がある。

今後のスケジュール

  今後については、2004年6月に第2次の地域再生構想の提案募集が行われ、9月に第2次提案を受けてプログラムが追加され、11月申請、12月認定の予定になっている。

  参加者からは、各地方自治体ではまだこのプログラムに対する取り組みがしっかりと進んでおらず地方自治体の姿勢こそが障壁になっているのではないか、またそのために具体的な実例の情報提供などをもっと強化すべきではないかという意見や、このプログラムは応急処置的なもので現行諸制度の矛盾こそが根本的に改善されるべきではないか、事業を申請した地方自治体とそうでない地方自治体との格差がより広がるのでは、といった問題点を中心にした意見が出された。

(松下 龍仁)