大阪府においては、1998年の「大阪府人権尊重の社会づくり条例」が施行されて以降、人権擁護に資する施策の一つとして、人権に関わる総合的な相談窓口の整備を進めてきた。その具体化として、「人権相談機関ネットワーク」を構築している。この人権相談機関ネットワークでは、大阪府、大阪府人権協会、市町村、各種NPO・NGO等の相談機関の間で緊密な連携関係を構築し、実際の相談活動をより効果的に運用するための様々な事業が取り組まれている。
大阪府の相談機関ネットワーク事業では、機関相互の連携協力体制の確立のために、システム検討会議を立ち上げ、ネットワークの運営、相談事例集約・分析などについて検討を進めている。また、人権相談機関相互の情報交換・意見交換を図り、迅速且つ簡易な相談システムの確立を進めるネットワーク連絡会が組織されている(2004年7月現在、232機関・団体が加盟)。
また、大阪府人権協会については、人権協会独自の相談事業(人権相談・法律相談・特別法律相談)や事例集約・分析事業を実施し、また人権相談員の養成・育成を受託し、各種口座を開催している。さらには、市町村において、人権相談員による身近で当事者の立場に立ったきめ細かな人権相談窓口体制の整備を進めている。
これらの人権相談の取り組みを通じて、人権侵害の予防・早期発見を、また生活相談などの枠組における地域での見守り・包み込みを通じ、地域の再生、福祉、自立支援を図り、差別のない、人権が尊重される社会づくりを進めているところである。(李 嘉永)
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