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部会・研究会活動 <「人権のまちづくり」事例収集比較研究・提言プロジェクト
 

「人権のまちづくり」事例収集比較研究・提言プロジェクト

<「人権のまちづくり」事例収集比較研究・提言プロジェクトとは>

 2002年10月、鹿児島県で開催された部落解放研究第36回全国集会において、部落解放同盟は「新たな人権政策の確立にむけて」と題した3つの人権政策検討委員会中間報告を提案した。(1)新同和行政推進施策、(2)人権の法制度、(3)人権のまちづくり運動、である。

 このなかの「人権のまちづくり」運動については、「部落解放運動の新たな活力源」として位置づけ、これまでのいわゆる「地区内まちづくり運動」としての部落解放総合計画運動の継承・発展としての新しい提案がされている。すなわち、これからの「人権のまちづくり」運動は、生活圏を中心とした校区単位・行政区単位での居住運動が基本的形態であり、これまでの部落解放運動の多くの経験の周辺地域・他地域との共有を目指し、日常的かつ具体的な人権や差別撤廃の課題を解決し、豊かな人権文化を築こうというのである。

 今日、2000年4月から施行されている「地方分権一括法」は、法律上、長く続いてきた中央集権的上意下達型社会から、国と自治体とが対等の関係になる分権型社会へと移行をはじめており、「地方の時代」を迎えている。提案では、「人権のまちづくり」運動とはこの社会全体の動きに合致した、言い換えれば、生活をしている住民の顔が見えない中央集権的・画一的な「まちづくり」から、そこに暮らしている「住民主導」「住民参加」による地域コミュニティ・地方自治を確立し、地域共同体の民主的改革を進めていく取り組みであり、そこから第三期の部落解放運動の展望を見出す重要な場づくりだという位置づけがされている。

 そして、その動きはすでに各地で動き始めており、それぞれの状況のなか創意・工夫ある取り組みが進められている。

 小学校区や中学校区で教育を中心にしたまちづくり、少子・高齢化がすすむなか地域福祉を中心としたまちづくり、環境を中心としたまちづくり、産業・労働の課題を中心に取り組んでいるまちづくり、「情報」をキーワードにしたまちづくり、等々である。

 また、部落といっても大型の都市部落があれば、都市周辺の部落、農漁村部落もあり、規模もそれぞれまちまちであり、それぞれの状況にあわせた取り組みもある。

 そこで本年度、「『人権のまちづくり』事例収集比較研究・提言プロジェクト」をおこなうこととなったのは、これら各地での一つひとつの取り組みについての調査研究をおこない、「人権のまちづくり」についての中間報告をより具体化させるための提言をまとめるためにある。

 それは、単に取り組み内容を紹介するのではなく、「何から始めるか」「これまでの経験の何が活用できるか」「新しく何を吸収し創造していくのか」等についての検討や、たとえば、取り組みのひとつをとってみても、地域の住民一人ひとりの立場でできること・やるべき課題、地域の住民みんなとしてできること・やるべき課題、公的機関(行政)の立場でできること・やるべき課題、等多面的な検討が必要となってくるであろう。

 「人権のまちづくり運動」の提案は、中間報告の他の2つのテーマ、「新同和行政推進施策」、「人権の法制度」、とも密接に関わっており、そういう意味では2001年度から2002年度にかけての「人権条例調査比較研究事業」での成果や課題も踏まえた事業としても展開されていく側面を持っている。

 なお、このプロジェクトは自治労中央本部の積極的な参加・支援も得て実施される。

 ぜひいろいろな方からのご意見や助言をいただければ幸いである。

(文責:事務局)