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国際身分制研究会研究会・学習会報告
1999年02月07日
部落民とは何か


(報告)野口道彦(大阪市立大学)


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 今の被差別部落というものを考えた時に、状況の変化がある。それをあるがままの形で捉えていくとどういう事になるのか。最近、「部落民とは何か」ということが議論されている。そこで変化している部落民という概念を改めて考え直すことによって、部落解放の展望をつかむための必要な作業と思われる。

 これまでは井上清の「三位一体論」によって部落が捉えられていた。しかしそれが唱えられた1960年代初頭から年月が経ち、今では部落の状況も大きく変わってきた。例えば部落産業に関わる人が少なく、流入者が主流となっている地域もある。果たしてこれを部落と言えるのかが問題である。私はこの伝統的・固定的な「部落民」概念を考え直す必要があると感じている。

 「部落民」の定義は、行政機関、差別者、部落民自身からなされる。行政機関は「同和地区住民」や「同和関係者」という言葉で現されているが、仮に事業を廃止した場合その概念はなくなる。また、差別者はなぜ部落の人を避けるのかは自覚していないことがアンケートの結果わかっている。

 では、部落民自身による定義はどうなのか。初めに被差別体験から「部落民」と受動的に意識させられ、それが「部落民」共通の体験として受け止めた時、能動的概念に変化すると思われる。すると、「部落民とは部落差別を受けた体験を共有しうる人、差別に対する憤りや悔しさを共感できる人」と定義できると思う。これは必ずしも血縁関係や系譜的連続性を条件としない。

 解放の1つの道として、有効な戦術は、間違えられることを恐れない、間違えられることを歓迎するといったことも可能性としてあるのではないか。部落の多様化が進行している実態をどのように把握していくのかが大きな課題である。