結婚差別に関する啓発プログラムを考案するにあたって、結婚差別の現状を事例に基づいて呈示し、現状を踏まえた啓発を行うべきだという構成にしている。
結婚差別の時にどのような反対理由が述べられるかについて、事例に基づいて類型化を行っている。(1)明らかに差別的な反対である明示的反対、(2)以前から持たれているステレオタイプの正当化、(3)「部落の人でなくても他にいい人がいるかもしれない」とする別の配偶者の示唆、(4)親戚の忌避の予期、(5)世間の忌避の予期の5つである。
事例の中では、(1)のような形で明らかに差別的に反論するケースはなく、(4)や(5)のような形で差別する主体が「親戚」や「世間」にずらされており、カップルが反論する際には「差別はいけない」という反論は封じられてしまっている。こうした現状を踏まえたうえで、啓発プログラムへの提言としては、・現状を踏まえたうえでの啓発、・反対可能性をめざす議論が目指されることになる。
また、国立社会保障人口問題研究所の調査では、結婚を考えている人の中で結婚しない理由に、親の反対をあげている人が3%ほどいる。両性の合意のみで可能なはずの結婚ではあるが、親の影響は少なくないことについてどのように考えるのかという課題を設定することもできる。
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