青少年拠点施設プロジェクトの第9回会合は、4月19日(火)18時半から、もと日之出青少年会館において開催された。
今回の会合では、尼崎市の神崎地区において、現在、旧青少年会館施設を活用した多世代交流広場「スマイルひろば」の活動に取り組む方から、青少年会館事業の廃止から「スマイルひろば」活動実施に至る経過について報告をお願いした。以下、その報告の概要を記しておきたい。
まず、大阪市内と同様、尼崎市においても旧青少年会館6館が開設されていたが、2006年4月に条例廃止を迎えた。また、その頃は尼崎市においても、旧青少年会館を含む地区内公共施設の再編が検討されていた。その旧青少年会館所在の各地区のうち、神崎地区については、青少年活動だけでなく地区内の多世代交流の広場として、旧会館施設を活用する方向を検討した。その背景には、住民側からの「青少年会館は地域の宝」という声があがったことや、青少年会館事業廃止後、そこに通っていた地元中学生などの行き場がないといった地元青少年の課題があった。
そこで神崎地区では、地元の青少年や住民を巻き込む形で、旧会館施設を利用して、ワークショップやたこ焼き大会、フリーマーケットなどの行事を行なってきた。このときのイベントやワークショップへの中学生・高校生など地元青少年の参加がひとつの実績となり、若者の居場所を中心とした多世代交流広場の開設へとつながったという。
その一方で、地元の住民などを中心とした「スマイルひろば地域推進委員会」を設置し、ここが旧会館施設を「若者の居場所」を中心とした多世代交流広場として利用する方向で案をとりまとめ、尼崎市の行政当局と交渉を行ったという。また、若者たちの居場所づくり活動の実施あたっては、兵庫県の実施する「県民交流広場」事業の助成金を申請した。そして、和太鼓サークルの利用にあたって、旧会館施設に防音設備を設置する改修工事を行い、2008年3月、「リニューアルオープン式」(約600人参加)を開催するに至った。
現在、「スマイルひろば」では、主に地元の諸団体の代表者や学校関係者などからなる委員会が結成され、運営にあたっている。また、中学生・高校生中心の居場所活動のほか、午前中を中心とした子育てサークルの活動、和太鼓・料理講座などの文化活動、バスケット・卓球といったスポーツ活動などの多彩な営みが、自主サークル活動として取り組まれている。なお、施設使用にあたって、現在は若干の費用負担を利用者側にお願いしているとのことである(子ども・若者の居場所活動は無料)。
当日は神崎地区からの報告をうけて、参加者から「中高生が多く立ち寄り、活発に活動できている背景にどういった工夫があるか」「日常的な館の管理はどうなっているか」等、多くの質問・意見が出された。
今回報告された「スマイルひろば」開設に至る過程では、行政と地元側からの「協働」ということを意識した取組みが行われてきたことが重要である。特にイベント等の開催を通じた旧会館施設利用の実績を示すとともに、たとえば推進委員会やワークショップの取組みなどを通じて、今後の利用形態の検討に関して地元の多様な人びとの参加を求め、積極的に行政側に政策提言を行ってきたことが注目される。また、具体的に政策提言づくりを行うにあたって、地元関係者側が、たとえば行政当局の事業評価のあり方など、最近の行財政改革の手法についての理解を深めたことも、今回の取組みの重要な点として記しておきたい。大阪市においても今後、旧青少年会館施設の活用だけでなく、人権文化センター等地区内公共施設の再編が検討されているところである。そのような状況下にあって、「スマイルひろば」開設に至るプロセスには、今後、大阪市内での取組みにおいて参考にすべき点が多々あると思われる。
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