1.調査の概要
甲賀市・湖南市が合併後のよりよい行政サービス実施のために、様々な年齢や立場の方の生活・福祉・教育・就労にかかる客観的基礎データを把握することを目的として、この調査が行われたが、本報告では、就労支援計画策定に資するための、就労に関して再集計したものを検討する。
2.甲賀・湖南市の就業状況
県全体に比べて、労働力状況は男性では大きくは変わらないものの、女性では労働力人口が10ポイント高い。また就業者割合は男性で5ポイント、女性で11ポイント高い。女性に関しては、全ての年齢層で労働力化率が県全体に比べて高い。ただし、就業上の地位で見ると、女性で臨時雇い割合が県全体にくらべて13ポイント高い。非正規雇用化率を見ると、若年層男性ではあまり差は見られないが、女性では高卒以下の学歴が非正規雇用と結びついている。中高年層では、男女とも学歴が低いほど非正規雇用化率は高い。
産業分類について見ると、男性では、県全体に比べて製造業が7ポイント高く、卸売り・小売業、サービス業が5ポイントほど低い。また、職業分類では、男性が「管理的職業従事者」「専門的職業従事者」が高く、「生産工程・労務作業者」「販売」「事務」が低い。女性では、「生産工程・労務作業者」の割合が高い。
収入については、若年層で、正規雇用に比べ非正規雇用は、平均年収が男性で144万円、女性で133万円低く、中高年については、男性で409万円、女性が251万円低い。
3.甲賀・湖南市同和地区の就業状況
労働力状態は、地区男性は労働力人口が6ポイント低く、両市男性に比べ、就業者が6ポイント低い。女性も、労働力人口は5ポイント、就業者が4ポイント低い。特に65才以上男性で労働力化率の低下が顕著である。他方女性では、年齢層によっては両市女性より5ポイント程度高い。
就業上の地位では、地区男性は雇用者の割合が7ポイント、特に常雇いが11ポイント低く、自営業者が7ポイント高い。女性では、雇用者割合は同程度だが、常雇いが10ポイント低く、臨時雇い、日雇いが9ポイント高い。雇用形態では、正規の職員・従業員が男性で9ポイント、女性で7ポイント低く、男女とも、非正規雇用への偏りが見られる。
産業分類では、建設業が16ポイント程度高く、製造業の割合が10ポイント程度低い。また、職業分類では、男女とも、ブルーカラー層が厚く、ホワイオトカラー層が薄いという偏りがある。就業期間では、地区男性がやや短い傾向がある。就業ルートでは、男性で学校の紹介が14ポイント程度低く、公的機関、知人紹介、自営業がそれぞれ6-8ポイント高い。勤め先の従業員数は、女性では一貫した差は見出し難いが、男性では、1-9人で18ポイント高く、100人以上で低くなる。従業員規模は少ない方向へ大きな偏りが見られる。
収入では、地区男性では両市全体に比べて低収入層が分厚く、高収入層が薄い分布となっている。平均年収で96万円ほど低い。女性では一貫した大きな違いが見いだし難い。
転職理由については、男性では人間関係によるものが14ポイント高く、定年によるものが9ポイント低い。地区女性では人間関係によるものが7ポイント高い。無業理由では、男女とも高齢と病気が高いが、地区女性では、家事によるものが12ポイント低い。
4.甲賀・湖南市母子世帯の就業状況
世帯収入では、100-200万円未満が30%、200-300万円未満が23.4%であり、両市全体に比して低位に偏っている。特に母子のみ世帯では200万円未満が過半数を占めている。
労働力状態については、就業者が同世代女性に比べ、11ポイント高い。労働力化率は母子のみ世帯で95.3%に達している。また、常雇いが4ポイント高く、雇用形態では派遣社員が5ポイント、契約社員が4ポイント高く、正規職員が10ポイント低い。母子のみ世帯は、正規・パートの割合がそれぞれ5ポイント低くなっている。産業分類では製造業、福祉医療、その他サービス業がやや高く、教育・学習支援業、卸売り・小売業がやや低い。職業分類ではサービス業が5ポイント、生産工程・労務が3ポイント高く、専門・技術、事務ともにやや低い。終業時間については、両市同世代女性に比べて長い傾向にある。逆に就業期間では、短い方向に偏っている。
なお、本報告の時点では、十分な分析を行っていない。今後の課題である。
|