2005年度から2006年度にかけて、「就労困難な若年者支援」研究会を立ち上げ、若年者を焦点に当てて、就労支援の枠組みについて調査研究を進めてきたが、2007年度は、これらの調査研究を基礎として、対象を若年者に限ることなく、広く就労困難者を対象とした就労支援のあり方を検討することを目的として、地域就労支援研究会を設置した。
この研究会の趣旨は、次のとおりである。すなわち、今日、日本においては、就労意欲を持ちながらも実際には就労に結びつかないでいる人々、いわゆる就労困難層が増加しつつある。これらの人々は、それぞれ複合的な就労阻害要因を抱えていると思われるが、その実態とは、いわゆる社会的排除という状態に深く埋め込まれているものと考えられる。
そこで、本調査に当たっては、いわゆる「社会的排除指標」に注目しつつ、社会的排除に関する他の実態調査と、できるだけ比較可能なデータを収集したい。そのために、就職困難者の就労相談を行っている大阪の地域就労支援事業の相談者を対象として、実態調査を実施したい。
また、就労困難層と日常的にかかわりをもち、相談事業を実施しているコーディネーターも、就労困難層が抱える複合的な就労阻害要因の実態について理解がなされていると思われるので、補足的に、これらコーディネーターの助言を仰ぎ、分析を進めたい。
これらの調査を通じて、困難層の就労阻害要因を「社会的排除」の観点から明らかにするとともに、他方で継続的な就労につながった諸要因(本人の努力、相談コーディネーターの役割、受け入れ先の支援)を探りながら、就労へのプロセスを明らかにしたい。