この会は、「長吏文書」(仮称)を解読し、その刊行をめざす研究会である。
「長吏文書」は、天王寺の悲田院長吏を務めていた家から流出し、その後、紆余曲折を経て神戸市立博物館が購入、現在は同博物館が所蔵している。これを大阪の部落史編纂事業の中で確認し、一次整理を行った。
この文書は、内田九州男他編『悲田院文書』(清文堂)と一体をなすものと考えられるが、総史料数は約1200点、『悲田院文書』205点の6倍に達している。内容は、由緒書・宗門改帳・類族改等々多岐にわたっており、また、悲田院長吏だけではなく、道頓堀・飛田・天満を含む四ヶ所長吏に関わる史料も多く、「長吏文書」の解読は、大阪における非人研究をおおきく前進させることになろう。
研究会は、つぎのメンバーで構成されている(アイウエオ順)。
臼井 寿光(部落史研究家)
小野田 一幸(神戸市立博物館)
高久 智広(神戸市立博物館)
寺木 伸明(桃山学院大学)
中尾 健次(大阪教育大学)
藤井 寿一(田辺市役所市史編纂室)
藤原 有和(関西大学全学共通教育推進機構)
松永 友和(関西大学大学院在学)
村上 紀夫(大阪人権博物館)
藪田 貫(関西大学)
研究会では現在、分担を決めて翻刻作業に入っており、二ヶ月に一回のペースで研究交流会を開催、意見交換を行っている。今後の活動にご注目いただきたい。