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2007.07.27
書 評
 
新木敬子
 部落解放・人権研究所では、2006年度大阪府より「人権啓発推進リーダー養成のための実践調査等研究事業」を受託した。当該事業では、人権教育・啓発の推進に職域や地域で取り組む「人権啓発推進リーダー」の人権問題に関する意識状況を見るために、部落解放・人権大学講座と大阪市人権啓発推進員リーダー養成研修という二つのリーダー養成研修の修了生に対し、量的・質的調査を行った。

 特に、主に職域の人権啓発の担い手となる解放大学修了生には、解放大学の研修の効果を問うと共に2005年大阪府民意識調査と同様の質問を行い、府民全般と解大修了生の人権意識の比較を行った。その結果から、解放大学を修了した人の人権意識が高いことと、人権について学んだ解放大学での経験を多くの人が肯定的に受け止めているということを示した。

 また、質的調査においては、それぞれのインタビューイーの生き生きとした語りから、企業や行政での人権啓発担当者、地域の人権啓発推進員など様々なバックグラウンドや経験を持つ人たちが、上記の研修を通じてどのように変化していったのか、また、それぞれの場所や生活に戻った後どのように人権や人権啓発と向き合っているのかを描き、効果的に人権教育・啓発を進めていくためのポイントを示した。

 これらの調査結果が得られたのは、大阪府が「大阪府人権施策推進基本方針」(2001)に基づき、大阪府の人権施策として人権教育の推進のためにこれに取り組む指導者層の養成を行ってきた成果といえよう。指導者層はもちろん、府民一人ひとりが主人公となって成人の学びとしての人権教育を進めるための方策が求められている今、その端緒を報告書のまとめとして提示している。

 なお、本報告書は研究所HPにて閲覧いただけるので、積極的なご活用をお願いしたい。