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「まちづくり」ということばには2つの意味合いがある。
1つは、特に日本の行政主導の都市計画に対置するものとしてのまちづくりである。産業基盤の整備を優先したお上の手による都市計画を批判し、それに対置して住環境整備を中心に、福祉などソフトな分野を重視し、住民参加を保障するものとしてのまちづくりの提唱である。
もう1つは国際的な流れとして、コミュニティ デベロップメントという概念が意味するまちづくりがある。発展途上国のコミュニティや先進国の荒廃したコミュニティの開発に多用された概念であり、コミュニティの組織化(住民の主体的な参加)、仕事づくり、家族計画、教育計画、公衆衛生、住宅建設などコミュニティの総合的な開発を意味している。
1970年代後半から展開された「部落解放地区総合計画」(以下「総計」と略。)や今日提唱されている「人権のまちづくり」は、部落を対象とするコミュニティ デベロップメントを運動として展開することと理解している。
さらに1970年代後半からの「総計」と1990年代以降の人権のまちづくりには、6つの差異がある。
1つめは、前者は格差論に基づく行政要求闘争であるのに対し、後者は行政とのパートナーシップを求めている。
2つめは、前者では行政への要求が強く結果的に行政依存を強めたという批判もあり、後者では自立支援の姿勢をとっている。
3つめは、前者は部落内での運動がテーマであったが、後者では周辺と一体のまちづくりが求められている。
4つめは、前者では遅れた生活を改善するという視点が強かったが、後者では部落の生活・文化を肯定的に捉える視点を導入している。
5つめは、後者では高齢者への生活支援、多様な住宅供給、文化、環境といった新しいテーマへの対応が試みられている。
6つめは、前者では計画、事業は「やらねばならぬ」という位置づけであったが、後者ではまちづくりを「楽しみごと」として位置づけつつあるように思われる。
この部落のまちづくりの変容は驚きであり、その意味するものはきわめて魅力的である。部落のまちづくりから学ぶことは大きい。