〈神戸市〉
「神戸市における平成14年度以後の同和行政のあり方について(答申案)」(平成13(2001)年)
これまでの取り組みの総括として、物的基盤整備はほぼ完了したものの、地区住民の自立促進や地区内外住民の交流、周辺地域を含めたまちづくりの課題と差別意識の残存を指摘している。そしてこれらの課題解決のために以下の点を中心とした方向を提起している。
<1>基本的には特別措置を廃止する、<2>地区住民の自立促進について、生活文化会館は隣保館としてではなく「開かれたコミュニティセンター」として地域の自主活動・交流の拠点支援とし、その側面的支援を行い、公民館については地域の社会教育施設として市民の生涯学習を支援する施設として重点をおく。さらに、地域改善向け住宅については神戸市同和施策住宅改善基本計画上の残戸数の解消を示している。<3>概ね4年の期間、経過措置として、同和入学支度金、職業技能修得事業、共同浴場、保育所運営費等加算を講じていく、<4>周辺地域を含めたまちづくりの課題について、住民の主体性を重視した既存の側面的支援施策の活用、たとえば「ふれあいのまちづくり」事業の活用、<5>人権教育・啓発について、国の動向を踏まえて推進体制を整備するとともに、その前提として市職員の人権問題への理解の深化と感覚を身につける必要性、等々。
人権教育・啓発に関する基本計画(平成16(2004)年1月)
人権教育・啓発に関しては、とくに人権救済の前提としての相談制度の充実や、協働の理念に基づく人権のまちづくりのためのコンセンサスの確立、地域重視の人権啓発、講演会やイベントのような「マスプロ型」啓発に加えて「フェイス・トゥ・フェイス型」啓発の推進、そして総合的かつ効果的な体制、関係機関との連携・協力の強化、民間団体等との連携・協力の強化、等が提起されている。
[尼崎市]
同和問題解決に向けた施策の今後のあり方(平成13(2001)年12月)
尼崎市でも神戸市と同様、今後の同和問題解決の向けた施策について一般施策による実施が示されている。具体的には、<1>特別対策としての同和対策事業の終結、<2>総合センター(隣保館)等地区施設を活用した地区内外住民の交流を促進するための取り組み推進、<3>コミュニティづくりに向けた地区住民の自己実現と自立の促進、<4>市民の人権意識の高揚のための人権啓発活動、等である。ただし、<3>については激変緩和措置として、教育奨励金給付事業、専修学校・各種学校奨励金支給事業、技能修得事業(普通自動車免許除く)、同和保育料及び入所要件、同和施策住宅にかかる修繕費用の負担と退去時の清算措置ならびに共益費の減免措置、の3年間の経過措置が示されている。
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