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●男女共同参画2000年プランは、96年7月に答申された男女共同参画ビジョンを受けて策定された行動計画である。従来、1975年の第1回世界女性会議に始まる3回にわたる世界女性会議を受けてつくられた世界行動計画を受けて、日本政府も国内行動計画を策定してきた。今回は、新たに第4回世界女性会議で採択された北京行動綱領を反映した行動計画といえる。従来の行動計画とは違って、ビジョンを明確にし女性差別撤廃のための踏み込んだ表現が随所に見られる。
●プランは、男女共同参画ビジョンで明らかにされた男女共同参画社会の目標を実現するものとしている。男女共同参画社会の目標とは、「人権の確立」「政策・方針決定過程への参画による民主主義の成熟」「ジェンダーに敏感な視点の定着と進化」「地域社会への貢献」であり、現状では社会制度や慣行の中に性別による偏りがあること、職場・家庭・地域における男女の参画に大きな偏りがあること等を是正することが必要としている。
●これを受けて、2000年プランでは11の重点的な柱を立てている。ここで、すべてを紹介する紙幅はないが、意思決定レベルへの女性比率30%という国際目標を実現するためのポジティブ・アクションの導入。社会制度や慣行の中で明示的に男女の区別を設けていなくても結果的に中立に機能しないという認識、家庭責任を男女がともに担い社会全体が支援するための緊急な条件整備等、積極的な表現が見られる。
●しかし、踏み込んだ考え方をどう実現するかという具体的施策の部分はさまざまな施策の羅列にとどまっている。また、とりわけ教育の分野でまず課題になる教科書の表現について触れられていない等の問題もある。さらに、女性を施策の対象としてのみ見る枠組みは変化せず、女性自身のアクセスを重視するという視点が欠落している。
●昨年12月に成立した「人権擁護施策推進法」や「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画等とともに、今後の女性政策を研究していく必要がある。