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女性部会・学習会報告
2000年7月17日
女性2000年会議(北京+5)参加報告

(報告)熊本理沙(反差別国際運動日本委員会事務局長)
谷口真由美(大阪大学大学院国際公共政策研究科博士後期課程)

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 今回は、6月にニューヨークの国連本部で開かれた国連特別総会『女性2000年会議』に先だって開催された北京+5・グローバルフェミニストシンポジアに参加した、藤岡美恵子さん(反差別国際運動事務局次長)と谷口真由美さん(大阪大学大学院国際公共政策研究科博士後期課程)から報告を聞く予定だったが、藤岡さんが急遽出席できなくなったため、替わって熊本理沙さん(反差別国際運動日本委員会事務局長)が、複合差別研究会の取り組みを中心に報告した。

 国連特別総会『女性2000年会議:21世紀に向けての男女平等・開発・平和』は、6月5日〜9日にかけて、1995年に『第4回世界女性会議(北京会議)』で採択された北京行動綱領のフォローアップをすることを目的としていた。6月10日に採択された最終文書は1.行動綱領の12項目の達成状況と障害2.北京会議後の課題3.新たに明らかになった障害、の3つの柱で構成されている。

 谷口さんによると、政府間会議では多様性、家族、セクシャルライツ(性的指向)、女性に対する暴力、夫婦間レイプ、ポルノ、武力紛争、平和、相続、女児、中絶、トラフィッキング(人身売買)などの点で、対立があったという。

例えば、家族に多様性については、EUではゲイ、レズビアンを含めて家族を形成する権利を認めているのに対して、イスラム諸国、バチカンは『多様性を認めなくてもよい』立場を主張した。全体的に、93年の世界人権会議で『女性の権利は人権』と女性の人権を主流化しようとする流れの中で採択された北京行動綱領の成果に逆行する動きが見られたとのことだ。

 また、今回の会議でハイライトになるはずだった女性差別撤廃条約の選択議定書の署名も3カ国にとどまった。選択議定書は国連への個人による通報を可能にする条約で、国際人権規約の自由権規約選択議定書には世界で90数カ国が批准・加入をしている。会場から、選択議定書の普及が必要ではないか、という意見が出された。

 谷口さんからは、この他にNGO主催のワークショップに参加した経験に基づいて、1.情報へのアクセスがデジタル・ディバイド(情報格差)によって大きく異なり、日本からの参加者はことばの壁と併せて、行動が困難だったこと。2.日本からは若者の参加が少なく、全般的に日本国内・国外ともにNGOのネットワークづくりが十分ではない、という印象が語られた。

 北京会議に比べてNGOのパワーや関心が薄れたのではないか、という見方がある反面、課題が個別化・具体化し日常的な調査研究やネットワークの方が進展することによって、このような大規模な集会に集う必要がなくなったのではないか、という印象も受けた。

(西村寿子)