7月13日、本年度第1回の高校部会オープン学習会が開催された。テーマは、「高校における総合学習の取り組みについて」。本格実施まであと1年に迫った「総合的な学習の時間」。この間、先行実施を積み重ねてきた大阪府立金剛高校より実践報告を受け、大阪教育大学の長尾彰夫先生から助言をいただく形で進められた。以下、概要を記す。
総合学習を大きなスパンで考えていく必要
1 総合学習をめぐる動向
高校そのものが非常に多様化し、高校間格差が非常に激しい中で高校の総合学習はこうあるべきだとは一口では言えない難しさがある。総合学習をめぐる高校の動向は大別して次の3つぐらいにまとめられるのではないか。
いわゆる「進学校」では総合学習より受験。センター入試が5教科7科目になるのがものすごく影響している。「総合」なんて飛んでしまっているという感じだ。
一方で、「総合」を頑張って生徒をなんとか元気が出るようにしていきたいという学校もある。これは定員割れなどの危機にさらされている学校のパターンとして出てきており、「しんどい高校」の実践の中ではかなり出てくる総合学習の一つのパターンだと思う。
その真ん中にある学校の実践が「進路(自分探しの旅)」の取組だろう。これは広い意味でのキャリアエデュケーション(職業教育)として、自分を振り返り、どういうふうに生きていこうかという視点を大事にした総合学習だ。
2 小中高の系統性は?
小中高が全て総合学習をやりだしたら、高校の総合学習の質をどうするのか求められるだろう。「もうそんなん中学校でやった」という形になるかもしれない。うまくいけば、小学校でやった総合学習の力を中学校で継承し、高等学校ではさらに力を発揮できるようになるかもしれない。例えば、職場訪問や仕事体験について言えば、すでに兵庫県ではトライアル・ウィークで中学2年生が一週間も体験している。高校では、生半可な職場体験では難しいだろう。小学校で4年間、中学校で3年間、計、7年間総合学習を経験した生徒たちが高校に入ってきたとき、だいぶ展開が変わってくるだろう。
3 高校カリキュラムへの危惧
先日、カリキュラム学会で「産業社会の変化と高校のカリキュラム」という課題研究をおこなったとき、高校における広い意味での職業教育をどうするのかという点と、「ナビゲーション(自分探し)」のような機能を高校のカリキュラムの中にどう位置づけていくのかという点が非常に重要であるということが指摘されていた。いずれにしても高等学校のカリキュラムの構造的な変化が必要だということについてはかなり共通認識になりつつある。そういう視点からすると総合学習の位置づけがもっと重要になってくるという気がする。
4 総合学習をもっと大きなスパンで!
総合学習をもう少し大きなスパンで考えていかねばならない。高校の総合学習105時間をどうするのかという問題ではなく、青年期の教育を含めて日本の子どもたちの「育ち」の一貫した流れの中でカリキュラムの問題として考える必要がある。
また、産業構造の変化によりフリーターが増加するという急激な社会変化が起こる中で、だからこそ総合学習はこういう内容でやっていこうという位置づけを明確にしなければならないのではないか。