調査研究

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2005.11.16
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キャリア教育と人権研究会
2005年09月17日
普通科高校における日本版デュアルシステムの取り組み

易寿也(大阪府立布施北高等学校)

布施北高校は、2004年から始まった文部科学省の「専門高校等における『日本版デュアルシステム』(実務・教育連結型人材システム)育成推進事業」の研究指定を受けた高校としては、日本で唯一の普通科高校である。

かつての布施北高校は府内でも生徒指導の困難な学校の一つであった。そこで生徒育成の二本柱に「生活指導」と「生徒の可能性を育てる多様な取組み」を掲げ、生徒にダメなものはダメと厳しく指導すると同時に、自尊感情を育てる取組みを始めた。保育実習で園児に接する生徒が大変良い顔をしていることがヒントになって、「働く体験」で生徒の自尊感情を育成することを考え、デュアルシステムの研究指定校に手を挙げたのである。

2004年度は、1〜3日間のインターンシップを行うとともに、教育課程の改訂や受入れ企業の開拓を行った。教育課程では「企業実習」という科目を設定し、週に1回、企業での実習を終日行うことができるようにした。受入れ企業については、製造系、販売系、福祉・保育・看護系の3系統とし、さまざまな苦労があったが9割までを自力で開拓した。

今年度から本格的にスタートしたデュアルシステムには、17名の生徒が参加している。参加生徒の動機はさまざまであるが、言葉や体験が豊かになるなど、着実に生徒が育っている。取材の新聞記者から「アルバイトとデュアルシステムの違いは?」と質問された生徒は、「アルバイトは教えてくれないが、デュアルは教えてくれる。アルバイトは休めるがデュアルは休めない」と答えていた。さらに、小学校での出前授業など、生徒が新たなネットワークの要になってきている。また、デュアルシステムを通して地域の企業経営者とのつながりも深まった。

一方で、今後の量的な拡大にどれだけ応えられるか、フリーターやニートになる可能性が高い生徒層にどれだけ近づけるか、デュアルシステムが具体的な進路保障につながるまでのタイムラグに学校や地域が耐えられるか、社会的支援の拡大、などの課題点もある。

今後は3年間の研究成果を生かして、デュアルシステム専門学科を目指した取組みを進めていきたい。

伯太高校のグローバル・スタディーズの取り組み

山本弘(大阪府立伯太高等学校)

伯太高校では「総合的な学習の時間」と進路指導の連携によるキャリア教育の推進に取り組んでいる。

これまでの進路指導は、3年生の担任による進路HR(ホームルーム)を中心にして行われてきた。しかし、出口指導が中心で、進路未定者やフリーター希望者が具体的な指導の対象となりにくいという問題点もあった。

一方、1998年に始まった総合的な学習の時間「グローバル・スタディーズ」(以下GS)は、多様な教材や外部講師等を活用し、「気づき」を引き出す人権教育として取組みを行い、生徒の自己肯定観の育成を目指してきた。

そこで、新学習指導要領への改編と本校が普通科総合選択制へ改編されたことを受けて、それまで1年生だけであったGSを全学年に拡大し、進路指導とGSを連携させる取組みが始まった。進路HRの内容をGSが取り込み、逆に進路指導の中でGSの手法を取り入れて、個々の生徒が自分と向き合うことで自信を高め、将来の生き方を考えて進路を切り拓いていくことができるよう取り組んでいる。

成果として、生徒が自分の生き方を考え、自分の言葉で語り出すとともに、互いに刺激しあって、夢や目標を探し求め始めるようになってきた。また、進路指導が若干スムーズになり、個別サポートも向上してきている。さらに、今年度から始まった「キャリア育成推進事業」により本校に派遣されているキャリアコーディネータも有効に活用し始めている。

その一方で、教員の高齢化や人事異動により、生徒に向き合う姿勢やGSに対する考え方が、教員全体の共通意識になっていないという課題もみられる。

(文責:事務局)