茨木市にある豊川中学校区は、文部科学省のキャリア教育推進地域の指定を受け、校種間連携によるキャリア教育の推進に取り組んでいる。
この10年間で、少子化の進行、保護者の意識の変化、ニュータウンの造成など、豊川中学校の状況は大きく変化した。さらに、学校や同和地区での取組みが弱まってきたことや、中国にルーツを持つ子どもや家庭支援の必要な子どもの増加という状況もみられる。
このような変化の中、校区では「ふれあい教育推進事業」を受けて以来、「18歳時点での多様な進路選択のできる子どもたちを育てよう」をテーマに保育所から高校まで連携した取組みを進めている。さらに3年前に文科省の指定を受けてからは、キャリア教育の観点からこれまでの取組みを再構築している。まず、保育所や小学校低学年では基本的な生活習慣を確立させることが重要と考えており、小学校中学年から中学校では、集団づくり、仲間づくりに重点を置いている。校区の全保育所・小学校では生活習慣の定着を目指して毎年生活点検表の取組みも行っている。
本校では、ジェンダー概念にとらわれている生徒、家庭の影響で働くことにイメージを持てない生徒、高校を中退した先輩を見て進路について安易に考える生徒が多いこともあり、1997年から職場体験に取り組んでいる。当初は1日体験であったが、複数で体験した場合に効果が薄く、地区の生徒が地区内でしか体験しなかったため、3年目は一人一事業所で3日間の体験とし、さらに生徒がイメージしにくい職業について職場体験を行った。この時体験した地区の生徒は、連携している福井高校が生徒の進路意識に合った選択科目を設定したこともあり、卒業後も自分の目標をきちんと持って進路を選択している。
豊川中学校区では、校種間連携を通じて、高校から中学校へ、中学校から小学校へ、小学校から保育所へ、卒業生から見えてくる課題を返しながら、それぞれがキャリア教育の実践を進めている。
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