調査研究

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2006.09.15
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キャリア教育と人権研究会
2006年7月29日
わたしひろがれ!-『人間関係学科』ライフスキルの向上をめざして-

畠山 久子(松原市立松原第七中学校)

  松原第七中学校は、生徒数約260人で創立22年目の学校である。校区においては保、幼、小との連携による縦軸のネットワークと、七中校区国際文化フェスタに代表される地域教育協議会との連携による横軸のネットワークを構築している。

  本校は、2002年から研究開発校の指定を受け、不登校の予防及び不登校生の学校復帰について取り組んできた。具体的には、人間関係トレーニングを中心とする「人間関係学科」の創設と、不登校生を対象に個別指導を行う「ほっとスペース」の設置である。

  「人間関係学科」においては、WHO(世界保健機構)が提唱した10のライフスキルを身につけるために、パーソナルワーク、グループワーク、ロールプレイなど、生徒が参加体験できるプログラムを開発して実践してきた。当初は手さぐり状態であったが、最初にストレス対処トレーニングを行ったところ、生徒の大きな反応があり、「人間関係学科」の可能性を教員が確信できた。

  この取組みを始めて、生徒の不登校率は6%台から1%台へ減少し、暴力事件も激減し、学校の取組みに対する保護者の意識も肯定的に変化した。さらに、教員が自信を持ち、カウンセリングマインドを持って指導にあたるとともに、チーム力も向上した。3年間取組んでみて、子どもたちには自己肯定感と社会的有用感をバランスよく育てることが必要だと考えている。今後も、教育的に不利な条件に置かれている子どもたちのエンパワメントの実現を根底においた取組み内容の発展を目指したい。

大阪府における外国人生徒の進路の現状と課題

安野 勝美(大阪府教育センター)

  2005(平成17)年における大阪府内に在籍する外国人(外国籍)の小学生は5,754人、中学生は4,439人、高校生は2,645人である。国籍法改正の影響で在日韓国・朝鮮籍を始め、外国籍の児童生徒は減少傾向にあるが、外国にルーツを持つ児童生徒数は減っていない。さらに在日韓国・朝鮮人以外はベビーブームということもあり、中学1年生の渡日生徒の半数以上は日本生まれという状況もみられる。

  府立高校に在籍する外国人生徒全体の大学進学率は30%台だが、中国からの帰国生徒は入試に特別枠がある関係でやや高い。一方、高校進学については、府立高校5校に帰国渡日生徒の特別入試枠が設けられるなど徐々に開かれているが、大人教の調査では渡日生徒の全日制高校への進学率は60-70%台となっている。特に小学校1-2年時に日本の学校に編入した者の高校進学率や大学進学率が低くなっている。

  新渡日の児童生徒にとって重要な支援は母語保障であり、これは「自分が何人なのか」という本人のアイデンティティの問題である。母語教育が行われている学校では、母語を話せることで子どもと家族の間で会話が復活したという例もあり、バイリンガルとしての人材育成に取り組んでいる高校もある。その一方で、中国で日本語学科を卒業した学生との就職での競合という現実もある。

  外国人児童生徒の進路保障に関しては、まだまだ課題が多い。就労等に関して日本人の課題のしわ寄せが外国人に向いている面もある。しかも就学義務がないので、そもそも学校に行かない外国人の子どももいる。学校教育だけで解決できることには限界があり、福祉や労働行政を含めたネットワークの構築が必要である。

(文責:事務局)