調査研究

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2006.12.26
部会・研究会活動 < キャリア教育と人権研究会>
 
キャリア教育と人権研究会
2006年11月04日
大阪府における障害のある児童生徒の進路について」

加藤典夫(大阪府教育委員会障害教育課)

 大阪府の障害教育の特徴は、義務教育においては養護学級と通級指導教室に在籍する児童生徒が多いこと(小中学校の教室設置率97%:全国平均60%)、後期中等教育が多様化していること(2005年度府立高校在籍障害のある生徒約1800名、盲・聾・養護学校高等部在籍者2864名)等である。今年度から府立高校9校に知的障害生徒自立支援コースが設けられた他、2校が共生推進教室モデル校となっている。

盲・聾・養護学校(高等部)の生徒にとって、進路選択は大きな課題となっている。知的障害生徒の企業就職率は13%に過ぎず、作業所や授産施設での福祉就労に就く者が多い。このため、学校では1、2年生の段階から就業体験実習を行ったり、学校内での作業学習に力を入れている。また、「企業の会」をつくり、より多くの企業が来校し関心をもってもらえるよう工夫している。さらに、学期に1度は関係行政機関と学校によるブロック会議を開催し対応を協議している。また3年間は「追指導」を行い、フォローアップに努めている

次に地域との連携に関して、ある養護学校ではクリーニングの作業学習を行うために業者を招いて指導を受けた。現在では、企業からクリーニング業務を請け負っている。これは生徒のコミュニケーション力や社会性を育むことに成果を上げている。

 また、学校、作業所、授産施設が共同で開催する「春をよぶみんなのコンサート」は企業からのサポートやボランティアを受けている。「企業の会」を活用して企業とのつながりが増え、企業が障害のある生徒の実習や雇用のために空き缶のリサイクル設備を投資した例もある。

 障害のある生徒に向いた仕事が少なくなる中、実習の受入先や働きやすい職場を開拓するための仕組みを考えることが課題である。


西成高校における障害のある生徒の進路実現のための支援について

日野晴之 (大阪府立西成高校)

 西成高校は創立以来100名以上の障害のある生徒が入学・卒業しており、「共に学び、共に育つ」ために原学級保障に取り組んできた。2001年度から調査研究校として知的障害のある生徒2名の別枠募集が始まり、2006年度から自立支援コースが設置され3名の募集枠が設けられた。現在は一般入試合格者も含め、障害のある生徒は12名在籍しているが、軽度発達障害も含めると数はもっと多い。

 障害のある生徒の進路状況をみると、企業就職が少なく福祉就労が多い。また、近年は大学進学希望が増加する傾向にあり、大学にも自立支援コースが欲しいという声もある。進路支援策として、全学年で「にしなりウイング」(授産施設)にて夏季休業中に早期就労実習を行っている。また、インターンシップも全学年で実施しており、3年生は長時間の実習も行っている。さらに、2005年度から3年生に選択科目として「自立活動」を設定し、校内で作業実習を行ったり、日常生活に必要な知識技能を習得させている。しかし障害のある生徒の状況は個々に違っており、基本的に対応はケースバイケースである。

 これまで、企業就職できたのは、早期就労実習等により勤労観や知識技術が身に付いており、本人の適性・能力に見合った求人があったケースである。同和地区出身の生徒では、地域のバックアップがあることも大きい。しかし、卒業後に職業訓練校に進学して就職できなかったケースや、一旦就職したが退社して「にしなりウイング」に入所したケースも多い。

 企業就職に関しては、企業と養護学校の連携があるため普通科高校の求人が少ないことや、就労条件の厳しさ、同一企業へ生徒を継続的に就職させることの困難さという課題がある。また、就労のためスキルを身に付けさせるためには実習を増やすことは、これまでの原学級保障の取組みとの両立という面でジレンマを感じている。

(文責 事務局)