西成高校は創立以来100名以上の障害のある生徒が入学・卒業しており、「共に学び、共に育つ」ために原学級保障に取り組んできた。2001年度から調査研究校として知的障害のある生徒2名の別枠募集が始まり、2006年度から自立支援コースが設置され3名の募集枠が設けられた。現在は一般入試合格者も含め、障害のある生徒は12名在籍しているが、軽度発達障害も含めると数はもっと多い。
障害のある生徒の進路状況をみると、企業就職が少なく福祉就労が多い。また、近年は大学進学希望が増加する傾向にあり、大学にも自立支援コースが欲しいという声もある。進路支援策として、全学年で「にしなりウイング」(授産施設)にて夏季休業中に早期就労実習を行っている。また、インターンシップも全学年で実施しており、3年生は長時間の実習も行っている。さらに、2005年度から3年生に選択科目として「自立活動」を設定し、校内で作業実習を行ったり、日常生活に必要な知識技能を習得させている。しかし障害のある生徒の状況は個々に違っており、基本的に対応はケースバイケースである。
これまで、企業就職できたのは、早期就労実習等により勤労観や知識技術が身に付いており、本人の適性・能力に見合った求人があったケースである。同和地区出身の生徒では、地域のバックアップがあることも大きい。しかし、卒業後に職業訓練校に進学して就職できなかったケースや、一旦就職したが退社して「にしなりウイング」に入所したケースも多い。
企業就職に関しては、企業と養護学校の連携があるため普通科高校の求人が少ないことや、就労条件の厳しさ、同一企業へ生徒を継続的に就職させることの困難さという課題がある。また、就労のためスキルを身に付けさせるためには実習を増やすことは、これまでの原学級保障の取組みとの両立という面でジレンマを感じている。
(文責 事務局)