調査研究

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部会・研究会活動 <若年未就労者問題(小中高のキャリア教育/労働市場問題)>
 
若年未就労者問題
(小中高のキャリア教育/労働市場問題)
学習会報告
2003年5月29日
既存調査の報告

内田龍史(部落解放・人権研究所)

 現在、部落解放・人権研究所では、若年未就職者問題の実態調査を行っているが、今後データ分析を行うために、これまで行われてきたフリーター調査の分析視角と知見を概観する研究会が開催された。

 今回の報告で取り上げた文献は、『フリーターの意識と実態――97人へのヒアリング調査より』(日本労働研究機構 2000 調査研究報告書No.136)、『進路決定をめぐる高校生の意識と行動――高卒「フリーター」増加の実態と背景』(日本労働研究機構 2000 調査研究報告書No.138)、『自由の代償/フリーター――現代若者の就業意識と行動』(小杉礼子編 2002 日本労働研究機構)の3点である。

『フリーターの意識と実態』では「フリーター」と呼ばれる若者たちの就業行動の実態と意識、その背景を探ることを目的としており、誰がなぜ「フリーター」になるのか、「フリーター」の生活、「フリーター」の就業意識、キャリア形成・能力開発の問題、学校から職業への移行の仕組みについて、分析が行われている。

『進路決定をめぐる高校生の意識と行動』では、進路決定をめぐる高校生の意識と行動を研究する上での既存の研究成果がまとめられており、それらを踏まえて以下のような課題について分析が行われている。いわゆる「進路多様校」における進路選択と、その中での「フリーター」の比重。「フリーター」増加要因としての高卒者の正規就業の困難化の重要性。大学・短大や専門学校等への進学予定者と「フリーター」予定者の間の、進路決定をめぐる意識や行動の違いや共通性。「フリーター」予定者の類型。「フリーター」を含む生徒の進路選択の過程における、各高校が行う進路指導の方針や内容の影響。高校生の職業意識の特徴と、進路選択への影響。アルバイト経験の進路選択や職業意識への影響。高校生の学校生活や家庭生活の類型と、その進路選択への影響。高校生の進路決定に対する政策的支援。

『自由の代償/フリーター』は、「ヒアリング調査」(上述『フリーターの意識と実態』)、「高校3年生調査」(上述『進路決定をめぐる高校生の意識と行動』)、「都内若者調査」(日本労働研究機構 2001 『大都市若者の就業行動と意識――広がるフリーター経験と共感』調査研究報告書No.146)、「就業構造基本調査再分析」で得られたデータをもとに、高卒労働市場、学校から職業への移行、フリーターの現状、フリーターの職業意識、高校進路指導の変容、高校生文化、階層分化、ジェンダー、経済状況などの幅広い視点から現代若者の就業意識と行動について分析が行われている。

 今後、研究会では、これらの調査・分析で得られた知見を参照しながら、大阪独自の分析を行う予定である。

(ここで紹介した文献のより詳しい内容についてはホームページを参照されたい。)