調査研究

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部会・研究会活動 <若年未就労者問題
 
「欧米における学校からの職業への移行期の指導・援助」

日本労働研究機構調査研究報告1997年

  我が国の長期雇用システムの変化が議論されているが、こうした中での若者の就業問題は、学校から職場への一時点での「就職」問題としてでなく、教育から職業への長期にわたるキャリア形成プロセスとして捉えることが重要になってきている。この過程で、個人の指導・援助を行う学校や職業安定機関におけるキャリアガイダンスは、今後ますます重要性を増すとともに、長期にわたる移行期間を前提とした新たな役割を期待されている。

  こうした問題意識の下に日本労働研究機構では1994年から総合プロジェクト研究「若者の職業意識の変化とキャリアガイダンスに関する研究」を実施してきたが、本報告書は、その一環として行ってきたアメリカ、ドイツ、フランス3カ国についての文献研究及びヒアリング調査の結果をとりまとめたものである。

  主な内容は、各国の教育制度の概観とその特徴についてのとりまとめ、中等教育・高等教育から職業への移行プロセスの実態とその各段階での教育行政・労働行政の支援策の紹介である。

  各国とも、若年者の高失業率が課題となっているが、アメリカでは、高等教育からの移行のシステムが比較的スムーズで問題視されていないのに対して、中等教育修了・中退者への対策が重視されており、また、ドイツでは中等教育からの移行システムは伝統的な枠組みに支えられているが、急増する高等教育修了者の移行について新たな試みが展開されている。一方、フランスでは、中等教育・高等教育ともに抱える問題が大きいと認識され、これまでの行政の枠組みを越えた全般的な支援策が講じられている。

  こうした取り組みの中で共通しているのは、在学中の職場での労働体験やカリキュラムへの産業界のニーズの反映など、職業と教育との接点を広げる方向への改革であるといえる。(『内容抄録』より)